臨場感に鳥肌 ゲームを再定義するプレステVR
本当にいいもの100選
鳥肌が立つレベルの臨場感だった。バーチャルリアリティ(VR)モニター「プレイステーション VR(PS VR)」向けのデモ、「サマーレッスン」を体験した後の率直な感想だ。PS VRを頭にかぶると、視界すべてがゲーム空間に。家具や少女のキャラクターにはリアリティがあり、自分のパーソナルスペースに他人がいる緊張感すら感じたほどだ。
臨場感の秘密は、プレイステーション4(PS4)に接続した2つのカメラで、頭の「向き」だけでなく「位置」を認識することだ。安価なVRモニターは加速度センサーで顔の向きだけを認識するが、PS VRは、ヘッドセットの空間内での位置を認識。一定範囲なら頭をどう動かしても映像に反映される。
「顔を向けた方向が見える」にとどまらず、身を乗り出せば景色が近づき、しゃがみ込めば視点が低くなるなど、視界に全く違和感がない。ゲーム中の机の下をのぞき込んだら、天板の裏側まで見えたのには驚いた。さらに、映像と連動して「音の聞こえる方向」も変化させており、背後からの音や耳元でのささやきなどが臨場感を増幅させる。
その代わり、プレーする人は設置したカメラの前にいる必要がある。テレビ画面は見ないけれどテレビの正面に座って遊ぶ光景は、何ともユーモラスだ。
PS VR用のゲームとしては、ホラーや一人称視点の射撃などがまず頭に浮かぶが、従来とは全く異なるタイプの作品も増えそうだ。例えば広大な世界を駆け回らせるよりも、限られた空間を精緻に作り込んで見せたほうが、VRとしては効果的な表現になるだろう。主人公は同じ場所にいて、周囲で次々と何かが起きる、そんな設定が多用されるようになるかもしれない。ゲームだけでなく、ライブ映像の観賞など応用範囲は広い。
また、基本的に1人プレーかと思いきや、ヘッドセットを付けた人とテレビ画面を見ている人との同時プレーも考えられている。図のデモの場合、テレビ画面を見ている人(最大4人)は黄色の怪獣を攻撃するが、ヘッドセットを付けた人は怪獣の視点になり、実際に頭を動かしてその攻撃を避けたり、反撃したりする。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年1月号の記事を再構成]
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