有村架純 映画で実績を積み、満を持して月9主演日経エンタテインメント!

日経エンタテインメント!

近年、10代から20代前半の若手女優の飛躍が目覚ましい。中でも、2015年にNo.1といえる結果を残したのは有村架純(ありむら・かすみ)だろう。主演映画の『ストロボ・エッジ』と『ビリギャル』が、興行収入20億円を超えるヒットを記録。『ビリギャル』は興収28億円を超え、15年の邦画実写映画3位、女優主演映画ではトップとなった。そしてCM好感度1位のau「三太郎」シリーズに起用されたほか、WOWOWの『海に降る』では連ドラ初主演を経験した。

1993年2月13日生まれ。兵庫県出身。13年のNHKの朝ドラ『あまちゃん』で注目される。16年は『僕たちがいない街』のほか、4月23日に『アイアムアヒーロー』が公開に(写真:藤本和史)

これまで積み上げてきた人気と知名度に説得力のある数字が伴い、女優として頭ひとつ抜け出た有村。2016年はフジテレビの看板枠“月9”で放送している坂元裕二脚本の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』でスタートを切った。地上波のゴールデン・プライム帯(19時から23時)の連ドラに主演するのはこれが初めてだ。

「女優を志してから、いつかは“月9”の主演をやってみたいっていう気持ちはありましたが、まさかこんなに早くそのときが来るとは思っていませんでした。みなさんの期待を考えると、不安やプレッシャーは感じます。でも、それも自分のなかでひとつのエネルギーに変えて頑張りたいです。

坂元さんの作品では、『最高の離婚』や『問題のあるレストラン』を見ていました。今回の作品にも、共通するようなテンポのある掛け合いのシーンがあって。日常会話のセリフが多くて覚えやすいですし、説明ゼリフがない分、感情を作りやすいです」

『人生はつらい、でも恋をしているときは忘れられる』というキーワードで、地方から東京に出てきた若者たちが描かれる。有村が演じる音(おと)は、北海道の養父母のもと、ずっと自分の気持ちを抑えて過ごしてきたが、1人の青年・練(れん、高良健吾)と出会い、逃げ出すように東京に出る。

有村と高良健吾が主演するリアルラブストーリー。若者たちが前を向いて進んでいく姿を丁寧に描く。脚本は、『mother』『最高の離婚』など、数々のヒット作を持つ坂元裕二。音のキャラクターは有村をイメージし、ある程度当て書きをしているという。(月曜21時/フジテレビ系)

「音は、外でごはんが食べたいとか、そういうみんなが普通にしていることも諦めちゃっている子なんです。たとえ鳥かごの中でも、それなりに生きていけると考えてしまうような。でも実は、奥底にしまっている気持ちは絶対にあるので、そこを大切に演じたいです。

第1話の台本を読んだとき、涙が出ました。切ない、苦しいっていう感情じゃなくて、どうにもならないところから引っ張ってくれた練君との出会いに光が見えて。ずっと我慢していたものが解き放たれた、そこにぐっときました。この役が大好きですし、いい作品にするために、高良さんと一緒に精一杯取り組みたいです」

音は介護士という設定のため、事前取材にも行ったという。有村の役に対する姿勢に関してプロデューサーの村瀬健氏は、「真面目で一生懸命。介護の仕事は簡単にはできないと分かっていて、取材時は少しも聞き逃すまいと、ずっとメモしながら話を聞いていた。音の抱えているものを自分の中に取り込み、役をしみ込ませて演じてくれている」と明かす。

恋愛を演じるのは楽しい

「介護士さんは体力勝負のお仕事で、精神的にも忍耐力が必要。やっぱり実際に目で見て、聞いたほうが体にも入り込んでくるし、こういう準備は大事だと思います。

ラブストーリーは、役と一緒に自分の心が動いていくのが分かるので、演じていて楽しいジャンルです。相手を本当に好きにならないと画面にも映ってしまうような、繊細なところが難しいと感じますが、ささいなことでも大きな気持ちの揺れになる、そんな瞬間をきちんと表現していきたいです」

2016年はドラマのほかにも、現時点で『僕だけがいない街』『アイアムアヒーロー』と、2本の出演映画の公開が決まっている。

自分の意志とは無関係に時間が遡る現象に巻き込まれた悟(藤原竜也)が、過去をやり直し、2つの殺人事件の謎を解く。有村はヒロインを演じる。原作は三部けいのミステリーコミック。(3月19日公開/ワーナー・ブラザース映画配給)(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

「15年は、映画『ビリギャル』のギャル役をはじめ、自分にとって初めてのことが多かった年でした。auのCMでのかぐや姫役も、途中からの加入だったのでドキドキしましたが、今ではコミカルな設定にも慣れてきました(笑)。

 3月公開の『僕だけがいない街』は、過去と現在を行き来する特殊な現象が描かれますが、家族や友達を思う気持ちが胸に響くいい映画です。4月公開の『アイアムアヒーロー』では“半ZQN(ゾキュン=ゾンビ)”を演じて、誰もが分からない領域に踏み込ませていただきました(笑)。ZQNになってからはセリフがなく、全部表情での演技だったので本当に難しかったですね。

 16年はどんなことが待っているか想像がつきませんが、お仕事に対する姿勢や態度はこれからも変わらないでいたい。心を乗せて演じれば、見ている人には伝わるかなと信じています。まずは、一つひとつの仕事を乗り越えること。そして、それが自信になるように取り組んでいきたいです」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2016年2月号の記事を再構成]

エンタメ!連載記事一覧