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お米をといで炊くくらい簡単な絶品プリン

日経DUAL

2016/2/12

日経DUAL

 「身近な食材で、手早くできて、しかもおいしい」と三拍子そろった働く親思いのレシピで人気の料理研究家、上田淳子さん。双子の息子さんたちが小さいころは食が細く、おやつにも気を使った経験があるそうです。そんな上田さんが、お子さんのリクエストに応えてたびたび作ったのが、子どものための「しっかりプリン」。「しっかり」と言いつつも、舌の上でとろけるなめらかさ。このおいしさで、しかも上田さんは「お米をといで炊くくらい簡単」と言います。早速作り方を教わりましょう。

■「買ってくるより楽」が手作りおやつの基本姿勢

上田さんの「子どものためのしっかりプリン」(写真:吉澤咲子)

 今回ご紹介するのは、卵と砂糖と牛乳だけで作るプリンです。「子どものための」と呼んでいるのは、生クリームが入った濃厚でトロトロしたプリンとは違い、昔ながらの食感だからです。しかも、思い立ったときに家にあるもので作れます。

―― プリンって本当に子どもが大好きなおやつですよね。このプリンは上田さんが実際にお子さんのためによく作っていたものなんですか。

 そうなんです。子どもが小さいころは本当によく作っていました。とはいっても、18歳になった今も家に帰ってきて冷蔵庫を覗いてプリンが作ってあると、「お、プリンか!」とうれしそうに食べていますよ(笑)。おやつって、作り続けるのが大変なものではなく、「買いに行くより楽」というスタンスがいいと思うんですよ。

―― 「買いに行くより楽」……つい、買ったほうが楽だと思ってしまいます。

 すぐ近くにコンビニがあれば、確かにそうなりますよね。でもね、砂糖と牛乳と卵はたいてい家にあるでしょう。甘さも家で作るなら加減ができますし、手順そのものはとても簡単ですから、慣れればあっという間ですよ。

 では、まずカラメルソースを作りましょう。

―― いきなりここでつまずきそうです。焦がさないコツはあるのでしょうか。

 コツは砂糖をきちんと溶かすことです。最初は弱めの中火で、時折鍋を揺すりながら砂糖を溶かします。ちゃんとシロップになったところで、火を強めて焦がしていきます。

 2つ目のポイントは、怖がらずにしっかり焦がす。

―― あ、焦げてきました。このくらいでしょうか。

 これではまだ、べっ甲あめです。カラメルソースは、ちゃんと焦がしたほうがおいしいですよ。カラメル液が泡立って、煙が出てくる……ここまでやってください。そして煙が出てきたところで水を入れて、火を止めます。

「べっ甲あめ」から少しガマンして焦がしたところで、水を入れる。ジュッ!と派手な音がします(写真:吉澤咲子)

■火を通しすぎないので柔らかく仕上がる

―― やはり、水を入れたときに盛大な音がするところが怖いですよね。

 最後に水を入れるのは、それ以上焦げないようにするための加熱止めの水です。そして、水を入れることでカラメルソースがゆるくなるのです。怖くてうまく入れられないという場合は、柄の長い鍋を使って水を入れるといいですよ。

 音がやんだら、すぐにプリンの容器に均等に分けていきましょう。容器はプリン型でなくても、マグカップやお湯のみなど、何でも構わないですよ。

 カラメルソースを冷ます間に、プリン液を作ります。卵と砂糖をよく混ぜたところに、温めた牛乳を少しずつ入れます。それをこして、冷めて固まったカラメルソースの上に注ぎ、蒸していきます。

―― 見ていると本当にあっという間ですね。蒸し器ではなく、オーブンでもなく、鍋に直接入れるのですか。

「地獄蒸し」の準備中。火の当たりを和らげたいときには、底に1枚ふきんを敷いてからプリン型を並べるといいとのこと(写真:吉澤咲子)

 今回の作り方は、いわゆる「地獄蒸し」と呼ばれる方法です。卵は60℃くらいから固まる性質があるので、それを利用して、周囲の湯の熱でプリン液を固めていくのです。これだと、「す」が立ちにくくて柔らかく蒸し上がります。

 型に入れたプリンそれぞれに、アルミ箔で蓋をします。そして大きめの深鍋に入れ、水をプリン液の高さまで入れます。中火にかけ、ゆるゆると加熱して、沸騰したら鍋の蓋をして、ごく弱火で1分、蒸したらすぐに火を止めます。そのまま15分ほど放置して粗熱を取り、あとは冷蔵庫で冷やすだけです(※詳しいレシピはページ下にあります)。

―― 放っておいて、失敗しにくいというのはうれしいですね。

 表面は少しプツプツと泡が見えますが、中は必要以上に火が入らないので、なめらかなはずですよ。

―― 確かに。卵の味がしっかりして、ものすごくなめらかで柔らかい。しかも、いったん沸騰したら蓋をして火を消して放置していればできる、というのは気楽です。

 そう、慣れてしまえばもう、お米を計ってといで炊くくらいの勢いで作れるようになるんです。カラメルを作るのが面倒だったり、やっぱり怖かったりするならば、チョコレートシロップやハチミツをかけてもいいわけです。

■少食だったのでおやつを与えない方法を考えていた

―― 今はさすがに、2人の息子さんからこのプリンのリクエストが出ることもないのですか。

 そうですね、「おやつ信仰」はなくなりましたね。そもそも、おやつの時間帯に家にいませんものね(笑)。やっぱりおやつが欲しいのって小学生くらいまでなのかなって思います。

―― では、小さいころに手作りおやつの思い出をたくさんつくっていたわけですね。

毎日手作りおやつではなかったから、よけいに手作りおやつの価値が上がったと、上田さん(写真:吉澤咲子)

 うーん……でも、私があまり、おやつを食べさせたくないタイプだったんです。というのも、子どもたちが2人とも食が細くて、好き嫌いもあったので、おやつを食べ過ぎると絶対にごはんに影響するでしょう? 

 どちらかというとデザートに引っ張ったほうです。おやつで甘いものを食べるよりは、食後のデザートとして食べたほうが、量もそれほど食べられないし、デザートにつられてごはんを食べるときもあるので。ご褒美に近かったかもしれないですね。

 たくさん食べる子だったら、おやつも気にせずに与えていたと思うんです。でも「ここでおやつを食べさせたら、この後のごはんを食べないかもしれない」と思うと必死でおやつを食べさせない方法を考えていた気はします。

―― しかも好き嫌いがあったのですね。

 うちの息子たちは野菜があまり好きじゃありませんでしたし、プリンは好きだったのに、茶碗蒸しは大の苦手でした。理由は甘くないから。初めて食べたとき、びっくりして泣いていた記憶があります。がっかりしたみたいですよ。

―― かわいいですね(笑)。 

■好き嫌いは大きくなると自然となくなる

―― 好き嫌いはどうやって克服したのですか。

 克服したというよりは、大きくなって自然となくなっていった感じです。

 双子のうちの1人はナスが嫌いだったんですが、今はもう嫌いでも何でもないんです。最近になって「どうして嫌いだったの」と聞いてみたら、「怖かったんだよね、あの色が」って。面白いでしょう? 

 子どもが何かを嫌いな理由って、大人には分からないところにあることが多いんですよね。でも大きくなっていくと、ふと「なんで怖かったんだろう」「どうして食べられなかったんだろう」と思う瞬間が来るものです。そういう瞬間を逃さないように、今嫌いだからといって全く食卓に出さない、ということだけはしないようにしていました。

―― あの手この手で、苦手な食材も食卓に上げていたのですね。

 食事を楽しいと思えなくなるのはいやなので、絶対に無理強いはしませんでした。それに、すごく頑張ってみじん切りにしたり、すり下ろしたりして入れたって、敵は見つけるんですよね(笑)。

 ですから、ごく自然に大人が食べるかたちで出していました。私がおいしそうに食べていたら、横取りされたこともあるんです。あるとき、私は自分でバジルのパスタをどうしても食べたくなって作ったのですが、子どもにはトマトのパスタを用意したんです。絶対にバジルなんて食べないだろうと思ったので。そしたら「何それ?」って聞かれて、「葉っぱのスパゲティだよ」と言ったら、「ちょうだい」と言うので一口あげたところ「取り替えて」って。「ええっ」となったこともありました。よほど私がおいしそうに食べていたんでしょうね(笑)。

■少食で悩んでいたのがウソのような時期がやがて来る

―― 好き嫌いを何とか克服しなきゃと思いつめたりはしなかったですか。

 むしろ、子どもたちをよく観察していました。この食材の何が嫌いだから食べないんだろう? くさいかな、食感かな、と。

 1人の息子が、2歳くらいのとき、特に嫌いな様子はないのに、必ず青菜を口から出していたのです。チューインガムのように20分くらいずっとかんだ後、最後に出してしまっていたんです。奥歯ができ上がっていなかったから、擦り切れなかったんですね。双子のもう1人は少し体が大きく生まれていたためか、ちゃんと飲み込めていました。

 うちは双子だから、そうやって比較して分析もできたんです。でも、双子のように同じ条件の下に生まれて、1人が食べて1人が食べられないということは、もう「個性」と捉えるしかないんですよ。だから「なんで焼いた肉は食べられないのにソーセージは食べるんだろう」って悩んでいるお母さん、大丈夫です。大きくなったら絶対、焼き肉食べますから。

 それから、食べない野菜も揚げると案外食べるんですよね。例えばニンジンを素揚げにして塩やお醤油をかけたりすると、子どもが食べやすくなるんですよね。「こんなに大きなニンジンが食べられた!」という成功体験になると、次に行けますからね。

 子どものほうだって、毎回きっちり全部食べてほしいと言われても、きっと困っちゃいますよ。それよりも、お母さんが頑張って作ったんだからと無理矢理食べさせられるとか、食べないから与えないということのほうがよくないかもしれません。

 しかも、小さいころは食が細くて「どうしたら食べるかな」とか「残ったものをどうしよう」と悩んでいましたが、大きくなって食べ盛りになると、今度は1日に家のお米が1キロなくなるんですよ! 鶏肉が1人1枚じゃ足りないんですよ!

■大事なのはお母さんがちゃんと食べること

―― そういう時期が来るんですね。少食だった双子の息子さんも、育ち盛りにはもりもりと食べていたんですね。

 そうです、そうです。逆に食べ過ぎて悩んでいるお母さんもいらっしゃいますが、これも過度に太っていなければ心配いりません。

 それより、子育て中のお母さんのほうがちゃんと食べないと5年後、10年後病気になります。子どもを元気に育てるためにも、気をつけなきゃいけないですよ。私の周りでも、子どもが小学校の高学年や中学校に入ったころ、体調を崩す方が結構いました。仕事を辞めなくてはいけなくなる人もいて。

―― そうなると、元も子もないですよね。

 子どもが小さいと、どうしても自分の食事はおざなりになってしまいがちなんですよね。1食抜いちゃったとか、パン1枚で済ませちゃったとかって。そうすると、今は元気でも必ず5年後10年後に不調に陥りやすい体質になってしまいます。病気にまではならなくても、冷え症になったり、体力が急に落ちてきたり、バランスは崩れてきてしまいますよ。

―― まるで経験しているかのような……。

 実は私自身、子どもが生まれてから食生活のバランスが崩れて、40代になって具合が悪いなと思ったら、健康診断で貧血の数値が出てしまったんです。幸い病気になるまでには至りませんでしたが。それ以降は気を付けるようになりました。

 例えばトーストだけしか食べられないときでも、プチトマトをパクッと口にするとか、冷ややっこを足すとか。どんなに忙しくても、意識してバランスを取るようにしたほうがいいと思います。

子どものためのしっかりプリン
●材料(口径7センチ、高さ5センチの型4個分)
卵 2個
砂糖 40g
牛乳 300ml
★カラメルソース
砂糖30g
水大さじ1
●作り方
1. 鍋にカラメルソースの砂糖を入れ、弱火にかける。砂糖が溶けてきたら、均一になるように時々混ぜる。茶色くなるまで煮詰めたら、水を加えて全体をなじませ熱いうちに型に注ぎ入れる。
2. ボウルに卵と砂糖を入れ、卵をしっかりほぐしながら混ぜ合わせる。
3. 牛乳を電子レンジで2分加熱し、2に少しずつ加え混ぜる。
4. 3をこし器でこしてから1に流し入れる。
5. アルミ箔でそれぞれ蓋をし、大きめの鍋に入れる。型の周りに水を注ぎ(プリン液と同じくらいの高さまで)、中火にかけ、沸騰したら鍋の蓋をしてごく弱火で1分加熱する。火を止めたらそのまま約15分置いて余熱で固まらせる。粗熱を取って冷蔵庫で冷やす。
※型の厚みによって火が通る時間に差が出ます。
上田淳子
 料理研究家。神戸生まれ。調理師の専門学校の西洋料理研究職員を経て渡欧。スイスやフランスのレストランやパン店、ハム・ソーセージ専門店などで修行を積む。帰国後は東京・下北沢にあるサロン・ド・テでシェフパテシエとして勤務。現在は吉祥寺にある自宅で料理とお菓子、およびワイン教室を主宰。 料理研究家として雑誌やTV出演などで活躍する一方、子どもの「食育」についての活動も行う。著書に『共働きごはん』(主婦の友社)、『中学・高校生のお弁当』(文化出版局)他、多数。

(ライター 相川直美、編集協力 Integra Software Services)

[日経DUAL 2015年11月24日付記事を再構成]

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