60歳以降も働こう 無職では退職金が底をつくバラ色老後を引き寄せる年始の計(4)

起業すれば必ずもうかるほど単純ではありませんが、気持ちよく自分のペースで仕事ができ、ほどほどの収入を得つつ60歳代前半を過ごし、うまくいけば65歳以降も稼げる可能性を得ることができます。起業できそうなスキルや知識、資格がある人は50歳代後半から準備をしておくといいでしょう。

また、起業ではなく再就職を今いる会社とは違うところで実現する方法もあります。自分のスキルや経験を評価してもらえる別の会社や組織にお世話になるパターンです。ただし周囲から声がかかることはまれで、自分から就職活動をすることが基本です。また、少ないポストを争うこともあり、タイミングや人との縁にも左右されます。「自分は60歳になったらどこそこにお世話になる(新しい職を得ている)」と思い込んでいたら、意に反していきなり無職ということもあります。

人脈や縁、人間関係づくりもバラ色老後のための財産になる

60歳以降の働き方は、「タイミング」「運」「縁」のようなものに大きく左右されます。考えてみれば、新卒の頃の就職だって何かしらの縁や偶然があって今の会社に勤め始めることになったわけですし、世の中は昇格や昇進のすべてが合理的に決まっているわけでもないでしょう。60歳以降の働き方もすべてが理屈で決まるわけではないわけです。

その意味では、人脈づくりや日々の人間関係の積み重ねも、60歳代前半の働き方を左右するかもしれません。60歳以降の働き方についていろんな人に希望を告げておき、便りが届く可能性を増やしておくのもいい方法です(このとき、声がかかればラッキーだなと思うくらいがちょうどいいのです)。

60歳以降の働き方についてはある種の「おおらかさ」が必要ではないかと思います。独立起業を目指した夢がかなわなくても、「まあ残念だけどしょうがないか」と考え直してみてはいががでしょう。継続雇用で働きはじめて席次が大きく変わったときも、「毎日午後5時に退社して人事評価も考えなくていいのだから5年間を楽しんでみよう」と思えるような余裕が欲しいところです。

人間関係が重要というのは、継続雇用を選んだ場合であっても同様です。人間関係がこじれて継続雇用の話がご破算になる可能性はゼロではないからです。特に管理職以上になった人が同じ会社で再雇用されたものの職場でうまくいかず、1年で辞めることになるケースはしばしば見受けられます。

60歳以降の働き方については何かひとつの正解があるわけではありません。飛び出すほうがいいか継続雇用を選ぶほうがいいかは、柔軟に現状を見極め選択するといいでしょう。

今週は若い読者にとってはまだぴんとこない話だったかもしれませんが、「できるだけ長く働くことは、何千万円もの貯金をすることと同じ価値がある」ということは覚えておいてください。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『20代から読んでおきたい お金のトリセツ!』(日本経済新聞出版社)。twitterでも2年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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著者:山崎俊輔
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