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不動産リポート

都市圏でも人口2割減 エリアが住宅価格を左右不動産コンサルタント 長嶋修

2016/1/20

不動産リポート

シンガポール国立大学不動産研究センター教授である清水千弘氏らの研究によれば、このまま少子化が解決せずに高齢者割合が増加し、現役世代の負担率が上昇し続ければ、地価を押し下げ、日本全体の住宅価格は2010年から40年にかけて46%下落するという。

しかし、これはあくまで全国平均であり、エリアによって大きくコントラストが出るはずだ。

東武伊勢崎線は人口大幅減

国土交通省の予測によれば、首都圏では、例えば東急田園都市線沿線は、利用者の増加が見込まれる代表的な路線だ。高齢者数の増加こそ避けられないものの、今後も夜間人口や生産年齢人口の増加が見込まれている。京王線、東急東横線、埼玉高速線、京葉線なども、高齢化は避けられないが、その割合は相対的に低く、今後もなお夜間人口の増加が見込まれている。

(出所)国土交通省「東京都市圏における鉄道沿線の動向と東武伊勢崎線沿線地域の予測・分析」

一方で、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)は非常に厳しい。05年から35年の間に夜間人口は23.4%、生産年齢人口は36.1%も減少するとされている。これは、空き家の増加による街の価値の毀損、上下水道やゴミ収集など自治体サービスの非効率化や担税力の低下による自治体財政の悪化を意味する。

沿線でもとりわけ弱さを露呈しているのが埼玉県春日部市だ。00年をピークに、沿線ではいち早く人口減少局面を迎えたのに加え、固定資産税や地方税は県内最下位。市民所得も少ない。また、隣接する越谷市に08年、越谷レイクタウンがニュータウンとして整備され、イオンレイクタウンが開業したことで、購買行動も吸い取られる形になっている。

春日部市のホームページより
春日部市のホームページより

自治体の計画に注目

大阪府箕面市のホームページより

こうした事態を受けて春日部市は、沿線ではいち早く「立地適正化計画」の策定に乗り出している。すでに大阪府箕面市、熊本市、札幌市は具体的な計画案を公表している。例えば箕面市の例では、市街化区域のうち「居住誘導区域に含まないエリア」を公表している。

全国200程度(15年7月末現在)の自治体によるこうした取り組みは、来年度、再来年度に次々と表面化する。住まい選びや所有不動産の扱いは、こうした動向を勘案しながら意思決定しよう。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。さくら事務所では、新居の引渡し前の内覧会を控えた方々へのセミナーを開催。23日(土)はマンション向けに開催します。詳しくはHP(http://www.sakurajimusyo.com/seminar/160116-23)まで

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