銀河系内に高度な文明をもつ惑星が存在する可能性

日経ナショナル ジオグラフィック社

2016/1/24
ナショナルジオグラフィック日本版

球状星団の「ターザン5」。銀河系にはこのような球状星団が約150個ある。(PHOTOGRAPH BY ESA/HUBBLE & NASA)

地球外知的生命による通信電波を探している天文学者は、少し意外な場所を覗いてみるといいかもしれない。恒星が互いの重力で球形に集まった天体「球状星団」だ。

球状星団には恒星が密集していて、惑星がほとんどないように見える。だが、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのロザンヌ・ディ・ステファノ氏は、2016年1月6日に米国天文学会で発表を行い、ここに非常に長い歴史をもち、高度に発達した文明が存在する可能性を指摘した。

なぜ惑星は見つかりにくいのか

銀河系には約150個の球状星団があり、銀河系と同じ頃の約100億年前に形成された。1つの球状星団は数千個から数百万個の恒星からなるが、これまでのところ球状星団内の惑星は1つしか発見されていない。

球状星団に惑星がほとんど見つからないのは、密集した恒星間の重力の相互作用によって、惑星系内にあった惑星がはじき出され、恒星間空間をさまよっているためだ。現在の観測手法では発見できないとされている。

もう1つ考えられる理由は、球状星団の恒星の多くは金属量が非常に少なく、そうした恒星は大きな惑星をもっていない場合が多いことだ。

しかし、金属量が太陽の数分の1しかないような恒星の周りでも小さな地球型惑星が発見されていることを考えると、単に球状星団の中では見つけにくいだけなのかもしれない。

NASAのケプラー太陽系外惑星探索ミッションに従事するスティーブ・ハウエル氏は、「暗い星と密集している恒星は、太陽系外惑星を探すのに向いていません。球状星団の恒星はその両方に当てはまるのです」と説明する。

文明をもつ惑星の条件

球状星団内に惑星が存在しているとしたら、そこは安全で快適な場所だろう。ほとんどの星は小さくておとなしく、穏やかな死を迎えると予想されている。今にも超新星爆発を起こそうと荒れ狂っているような巨星は1つもないのだ。

古く安定した恒星集団の中で生まれた惑星は、何十億年も存続することができるだろう。生命が誕生して高い技術を発達させるには十分な時間だ。文明の寿命の長さと恒星間の距離の近さを考えると、知的生命体が星間旅行をして居留地を築いている可能性もあると、ディ・ステファノ氏は語る。

球状星団の中で高度な技術力をもつ生命体が進化したら、彼らはお互いに連絡を取り合うだろう。地球から最も近い恒星であるケンタウルス座アルファ星にさえ、光速で送信されるメッセージが届くまでに約4年かかる。だが、球状星団の中なら1カ月ほどで届くだろう。星間旅行にかかる時間も短い。おそらく、地球からケンタウルス座アルファ星に探査機を送り込む時間の100分の1もかからないはずだ。

では、球状星団の恒星間の距離が近すぎる場合はどうか。近くを通りかかった恒星のせいで惑星の公転軌道が乱れて星間空間に押しやられ、惑星上の生命を死滅させてしまうのではないだろうか?

その可能性を検討するため、ディ・ステファノ氏は、インド・タタ基礎科学研究所のアラク・レイ氏とともにシミュレーションを行い、生命をはぐくむ惑星が生き残れそうな球状星団内の場所を探した。その結果、惑星が恒星から1000天文単位(太陽から地球までの距離の1000倍)離れていれば、近さの点でも遠さの点でもちょうどいいことが明らかになった。

つまり、これらの惑星は、近くを通り過ぎる恒星に押しやられず、同時に、隣の惑星系を訪問できるぐらい近いのだ。

ディ・ステファノ氏は、地球外知的生命体探査(SETI)の研究者たちと意見を交わすべく、銀河系内で地球外生命体の通信を傍受すべき領域のリストを作成している。「地球外知的生命を探す場所として、球状星団は良いターゲットなのです」と彼女は言う。

(文 Nadia Drake、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年1月13日付]

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