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不動産リポート

耐震設計、建築基準法の改正時期に要注意 不動産コンサルタント 長嶋修

2016/1/13

1950年に建築基準法ができてからというもの、大きな地震が起きるたびにその被害の度合いを勘案し、耐震設計基準は段階的に何度も見直され、強化されてきた。

まず、81年の「新耐震設計基準」が一番大きな変更で、木造軸組工法(在来工法)、ツーバイフォー、鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)全ての構造における耐震設計基準が大幅に変更された。95年の阪神大震災では、ビルやマンションなどのRC構造の建築時期が、この「新耐震設計基準」の前なのか後なのかで、建物被害に大きな差が出た。基本的に「新耐震設計基準」を満たしていれば、人命を損なうような倒壊は防げるとされている。

RCや鉄骨の建物を検討する場合は特に、建築確認申請年月日が81年6月1日以降かどうかというのが大きな分かれ目だ。竣工(完成)年月日ではなく、確認申請の日付であることに注意が必要だ。

2000年の改正では壁の配置などについて明確な基準が示された

2000年の建築基準法改正では、在来工法の基準が大幅に変更された。耐震性の観点から、木造軸組工法はこの2000年を基準に考えよう。変更になった点は新築時点での地盤調査が事実上、義務化されたこと。そして金物の明確化、壁の配置にバランス計算が必要になったことなど。

具体的には、改正前は壁の配置について「釣り合いよく」といった、曖昧な表現だったものが、「偏心率30%以内」かつ、「建物の外周近くに一定量の壁があること」と明確に示された。木部をつなぐ「継ぎ手」に関しても、「くぎその他の金物を使用」と曖昧な基準だったが、筋交いの大きさや、柱の位置、筋交いの強さによって、使用できる金物や接合方法が具体的に指定された。こうした変更で、一面が全面開口部になっていたり、バランスが悪かったりする建物をつくることは難しくなった。

2000年以前の在来工法の中古住宅を検討する場合にはまず、耐震性を確認しよう。比較的最近の新築物件でも、中には法改正内容を知らずに、昔の基準のままで施工されているものもある。築浅の物件であっても注意が必要だ。ただし、これらの日付以前の物件であっても、現行の耐震基準を満たしているものもあることを付け加えておきたい。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。さくら事務所では、新居の引渡し前の内覧会を控えた方々へのセミナーを開催。1月16日(土)は一戸建て向け、23日(土)はマンション向けに開催します。詳しくはHP(http://www.sakurajimusyo.com/seminar/160116-23)まで

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