思い出のビデオを「デジタル断捨離」 専用機で一気に
手持ちのビデオテープが何本あるのか、どのテープをデジタル化して残したいのか、見ないで捨ててもよいのか──。その辺の状況は人それぞれだ。ただ、過去にビデオカメラで撮影したテープは、デジタル化しておかないと、テープが劣化したり、対応ビデオデッキやカメラが壊れて手に入らなくなったりすると再生できなくなる。テープに記録されていたはずの貴重な映像は永遠に失われてしまう(図1)。
大量ビデオも楽にデジタル化
テレビ番組を録画したテープにも懐かしい思い出が詰まっている。当時、残したいと考えて録画した番組だ。見ないでこのまま廃棄してしまうのは惜しい。だが、デジタル化にかかる手間を考えると、諦めざるを得ないという人も多いだろう。
しかしわずかな手間でデジタル化できるのであれば状況は変わる。ここではアイ・オー・データ機器のビデオキャプチャーボックス「アナレコGV-SDREC」を使ったデジタル化の手法を紹介しよう(図2)。"ビデオのICレコーダー"とでもいうべき製品で、ビデオデッキやカメラにつないで映像を動画ファイルに次々と変換できる。
映像のデジタル化のポイントは、とにかく動画ファイルに変換して保存することにある。動画ファイルはテレビやパソコンなどで視聴できるし、必要とあれば後でDVD化も可能。作業工程は、デッキやカメラとつないだら、あとはひたすらビデオを取り込んでいくだけだ(図3)。
デッキとつないで放置するだけ
デッキやカメラのライン出力をGV-SDRECに接続し、テレビにはHDMIケーブルで接続する(図4)。記録媒体はSDメモリーカードまたはUSB端子に接続する外付けHDDだ。
動作状態はテレビ画面に表示される(図5)。ビデオの取り込みはレコーダーに取り込むのと同じ考え方だ。GV-SDRECで記録を開始したらビデオデッキで再生を始める(図6)。ビデオ再生が終わったら記録を終了する。
取り込んだ映像はGV-SDRECを再生モードに切り替えると一覧表示され、見たい映像を選択するとその場で再生が始まる(図7)。最大120倍速の再生機能を備えており、取り込んだ映像を素早くチェックできる。例えばテレビ番組を録画しただけのテープかと思ったら、途中に家族の映像が入っていた、などといった可能性もある。そうした場合でも発見することが容易だ。
さらにGV-SDRECは、大量のテープを次々と取り込むための便利な機能を備えている(図8)。「シンクロ開始」機能をオンにしておくと、GV-SDRECの記録開始のボタンを押した後、ビデオデッキからビデオ信号が実際に入力された時点から記録を開始する。動画ファイルの冒頭に何も映っていない無駄な部分ができるのを防げるわけだ。
「自動停止」機能は、ビデオ信号がなくなると30秒で記録を終了する機能だ。記録停止のボタンを押し忘れて、何も映っていない動画ファイルが延々と続くといった事態を避けられる。
デッキやカメラの仕様によっては、テープの再生が終了してもビデオ信号がなくならず、全面青い画面などのビデオ信号を出し続ける場合もある。そのときは記録時間を指定して、自動停止すればよい。ビデオテープの長さよりも若干多めの時間を指定しておけば、ビデオを取り込んだ後、自動的に停止する。自動停止機能によって、記録開始のボタンを押した後は、終了時間を気にせずに放置できるので、例えば、就寝中や外出中に取り込んでおきたいときなどにも便利だ。
視聴機器や視聴方法は多彩
記録できる時間が長いのも省力化に役立つ。GV-SDRECは、SDメモリーカードなら最大10時間30分記録できる(図9)。デジタル化したいテープが大量にあるならHDDを使おう。最大2テラバイトのHDDをつなげれば、654時間にわたる動画を記録できる。2時間のビデオテープなら327本分を1台のHDDに収められる計算だ。
DVDなどを使うと、データがいっぱいになるたびに新しいディスクに入れ替える手間が発生する。しかも、その時点で何の映像が入っているのか、きちんとレーベル面に書き込んでおかないとせっかくデジタル化してもまたわからなくなってしまう。その点、HDDなら大量に保存できるので、入れ替えの手間が少なくて済む。
取り込んだ動画ファイルを視聴する機器や方法が多彩なのも後々都合が良い。GV-SDRECからの映像をそのままテレビで見られるほか、対応したテレビであれば、映像を記録したSDメモリーカードを挿し込んで視聴することもできる。動画ファイルをパソコンで閲覧したり、DVDに加工することも容易だ。
クラウドサービスにアップロードすればスマートフォンやタブレットでも視聴できるほか、遠隔地に住んでいる家族と動画を共有することも可能だ。
(日経PC21 森本篤徳)
[日経PC21 2016年2月号の記事を再構成]
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