洋服の「捨てどき」の見極め方
洋服を正しく捨てて、手持ちの服を最大限に生かす
働く女性が一番捨てたいものなのに、捨てられないアイテムが「洋服」だ。多過ぎる服の収納や管理に頭を抱える一方、たくさんの服を持っているのに「今日、着ていく服がない」という悩みは尽きない。
「着ていないなら、洋服を持っていないも同然。着る可能性が低い洋服の収納に頭を悩ませるのは、やめませんか。持っている服を最大限に生かすためには、手持ちの洋服を棚卸しすることから始めましょう」。そう話すのはエッセイストの金子由紀子さん。下の3つのステップで、手持ちのアイテムを〇△×の3つにランク分けしよう。その際、判断基準となるのが「これまでの活用頻度」だ。
また、特に判断に迷うのが、△ランクの服。「コーディネートの主戦力となる〇ランクに格上げされるか、処分の対象となる×ランクに格下げとなるか。△ランク服の振り分けを間違うと、死蔵品がたまる一方になります」。その振り分け方には2つのポイントがある、と金子さん。
「毛玉やシミなどひと目で分かる"消費期限"と、流行や嗜好の変化で自分のなかで"終わってしまったもの"、食品でいうところの"賞味期限"とがあるんです。この2つで見極めるとうまくいきますよ」。
以下の具体的な見極め方を参考に、棚卸しをスタートしよう。
「もったいない」「捨てるべきか分からない」洋服は、こうして振り分ける
【Case1】 思い出深いものは別の形にして残す
処分したほうがいいと明らかな場合でも、思い出が詰まって捨てられないことも。「思い出は"スペースを取らない場所"にしまいましょう。生地を切り貼りして額縁にしたり、写真に撮ってアルバムにしたりして残すのも一考」
【Case2】 外で着られない大好きな服は、とことん部屋着で楽しむ
古くなり外では着られないが、着心地が良くて手放せない…。そんなときは、「家でも好きな服を着れて、24時間幸せ、というポジティブな気持ちで部屋着にスイッチするといい」と金子さん。
【捨てどきジャッジ・1】 洋服の"消費期限"で見極め
毛玉がたくさんできている、破れてしまった、取れないしみがあるなど、ひと目で着られないと分かるほころびや傷みがあるかで判断する。
【捨てどきジャッジ・2】 洋服の"賞味期限"で見極め
流行が去った柄や形のものなど「古くさく見える」と思うなら、"賞味期限切れ"と判断を下そう。該当するものは処分の対象に。
・シャツ:襟や袖の汚れなど、傷み具合で判断
襟や袖の汚れ、黄ばみが洗濯で取れなくなったら買い替えのサイン。デザイン的にはここ数年は大きな流行の変化がないので、数年前のモノでも問題なしの可能性大。
・カットソー:直接地肌に触れる首周りの汚れに注意
直接地肌が触れる首周りに、汚れや黄ばみが目立ち始めたり、洗濯後に生地全体がヨレてしまったりしたら、捨てどき。
・ショーツ:ゴムの緩みが捨てどきサイン
使用頻度が高いショーツは、洗濯回数にもよるが、1年程度が消費期限。脚の付け根のゴムの緩みや、取れない汚れがあれば、買い替えを。
・ジャケット、スーツ:テーラード型は特に流行があるので注意
襟や袖口に擦れ、汚れが目立ったり、肘や背中の横じわが取れなくなったりしたら、処分を検討。アームホールや襟の形に流行が出る。特にテーラード型は顕著。
・ニット:生地がやせやすく1年で買い替えも
バッグや腕が当たる脇腹辺りが擦れて、毛玉やほつれが起こりやすい。比較的低価格のニットは生地がやせやすいため、1年を目安に買い替えを。
・ストッキング、靴下:毛玉などの目に見える"消費期限"で判断
ストッキングに毛玉ができると、取れない上に伝線のきっかけになるので処分を。靴下は指先とかかとに注意。薄くなったり、穴が開いたりしたものはNG。
・コート:しわや毛玉、生地のやせ具合をチェック
肘の内側に取れないしわができたり、素材にもよるが、バッグが当たって擦れるところに、毛玉ができたり生地が薄くなったりしたら捨てどき。
・パンツ・スカート:流行が変わるアイテムは賞味期限に注目
大流行中のガウチョパンツは、ポケット位置など、微妙に流行があるので、数年前のものはNGの可能性も。スカートは横じわが取れなくなったら捨てどき。
・ブラジャー:ショーツ同様、年に1度は確認を
1年程度が消費期限の目安。サイズに変化はないか、ワイヤの曲がりや背中側のゴムの緩みなどをチェック。レースの傷みも買い替えのポイント。
この人たちに聞きました
スタイリスト。雑誌、広告、タレントのスタイリングなどで幅広く活躍。10年より、ファッションコーディネートサービス「リルティン」を立ち上げ、個人向けのコーディネートを開始。近著は『「今の自分」に似合う服』(天然生活ブックス)。http://liltin.com
エッセイスト。出版社勤務を経てフリーランスに。"シンプルで質の高い暮らし"を軸に、幅広い分野で執筆を行う。シンプルライフのノウハウや、朝時間の過ごし方などについての著書多数。近著は『クローゼットの引き算』(河出書房新社)。
[日経ウーマン 2016年1月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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