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マネー研究所
不動産リポート

2016/1/6

不動産リポート

いわゆる「空き家」本が百花繚乱(りょうらん)だった15年。空き家を利活用するプレーヤーは目に見えて増加しているが、長期的な大幅人口減少トレンドの中では焼け石に水だ。現在約200の自治体が、人口密度を保つ地域とそうでない地域を選別する「立地適正化計画」に取り組んでいる。すでに大阪府箕面市が公表しているが、今年は多くの自治体で具体的な中身が次々と公表されるだろう。行政効率化の観点からも立地性向を限定し、メリハリの効いた官民の空き家活用が望まれる。

16年税制改正大綱には、親などから相続した空き家や土地を売却した場合に税負担を軽くする制度の新設が盛り込まれた。相続後3年以内に取り壊しや耐震リフォームをし、建物や土地を売却した場合に譲渡所得から3000万円を特別控除する制度が導入される見込みだ。使い勝手によってはかなりの政策効果が見込まれそうで、空き家が大量に売りに出る可能性もある。

不動産仲介市場で行われてきた「物件情報の囲い込み」は今月4日以降、全国でできなくなった。どの不動産仲介会社も原則としてフラットに情報を持てることになった。従って、不動産探しは「物件選び」から「不動産仲介会社選び、エージェント選び」へと変化していくだろう。

【民泊が賃貸住宅市場の起爆剤に】

一般住宅に旅行者を泊める「民泊」は、国の規制緩和の中身次第で、賃貸市場、空き家活用の起爆剤となる可能性がある。国は「民泊」に関して旅館業法の「簡易宿所」の基準を緩和し、今年度中に解禁する見通しだ。恒常的なホテル不足の現状に加え、東京五輪を控えて、さらに外国人観光客の流入することが見込まれるなか、民泊の解禁は規制緩和の1丁目1番地だ。

国家戦略特区では7日以上滞在などの条件付きで民泊が認められるが、宿泊日数がさらに短縮された場合には、賃貸不動産市場の活性化が起こり、空き家活用にも拍車がかかりそうだ。

例えば、民泊で月当たり20日稼働できれば、一般に賃貸として貸し出すのに比べて2倍程度収益性が上がる。そうなると、民泊を前提とした利回り計算に基づく収益物件価格が形成され、物件価格が上昇する可能性がある。それでも、インバウンド需要を取り込むためには、それにふさわしい立地に限られるだろう。大半の地域では空室率上昇と家賃低下の傾向が続いていて、これに歯止めがかかる要因はない。相続増税対策で新築アパートが造られ続けている一方で、人口減で借りては減少を続けているからだ。

【REITは堅調か】

Aクラスビルなどを対象とした不動産投資信託(REIT)は賃料もまだ上昇余地を残しており、安定的に推移しそうだ。それ以下のREITで、15年あたりに新規物件保有を増加させてきた銘柄に注意したい。賃料上昇や価格上昇を相当程度織り込んでいて、高値買いをした物件が含まれている可能性がある。

【海外不動産市場に注目】

かねてより海外不動産投資は一定程度行われてきたが今年はより注目されるだろう。国内不動産市場では優良立地は価格天井感があるし、それ以外は供給過剰で市場の頭打ちが明白だ。しかし、国によって市場性や取引慣行もそれぞれ大きく異なるため、「こんなはずではなかった」といったトラブル増加が懸念される。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。さくら事務所では、新居の引渡し前の内覧会を控えた方々へのセミナーを開催。1月16日(土)は一戸建て向け、23日(土)はマンション向けに開催します。詳しくはHP(http://www.sakurajimusyo.com/seminar/160116-23)まで

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