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不動産リポート

五輪、民泊、税制… どうなる2016年不動産市場不動産コンサルタント 長嶋修

2016/1/6

不動産リポート

果たして2016年の不動産市場はどうなるだろうか。今回は新築住宅市場、中古住宅市場、賃貸住宅市場など、市場カテゴリーごとにざっと俯瞰(ふかん)しよう。

【新築マンション価格は上昇トレンド】

新築マンション市場は、アベノミクスによる財政政策や金融緩和に円安、東京五輪・パラリンピック開催による都心・湾岸地区の不動産価格の上昇期待、相続税強化など、ここ数年、マネー流入の理由に事欠かなかった。

一貫して価格上昇を続けてきたものの、15年後半には契約率が好不調の分け目となる70%を一時、割り込むなど、市場にはやや減速感が出てきた。15年の発売戸数は、当初見積もられていた年間4万5000戸程度(首都圏)を大きく下回る見込みだが、16年も同程度の4万戸台前半の供給となろう。

このところ上昇を続けてきた建築費は15年に入って落ち着き、今後当面はコストプッシュ型の価格上昇はないものと思われるが、価格は相変わらず都区部を中心に上昇トレンドにある。16年も都心・都市部の好立地など、立地を吟味した分譲傾向に変わりはない。

15年後半に市場を冷やした、いわゆる「地盤データ改ざん問題」による混乱は、かつての「耐震偽装問題」同様、今年半ばには収束しているだろう。

新築一戸建ては長期的な着工戸数下落トレンドにあり、それは今年も変わらないだろう。都市部の優良立地にあるものは一定のニーズをつかんで売れたとしても、それ以外の大半の地域では苦戦しそうだ。

住宅購入層の人口減に加えて、晩婚化・非婚化傾向もあり、持ち家率は日を追って低下し続けている。17年の消費増税が見えてくれば一定の駆け込みがみられる可能性もあるが、その後、駆け込み分以上の落ち込みを見せそうだ。

【中古住宅市場は株価動向次第】

都心部の中古マンション市場は在庫や価格、融資の水準を見れば一服感は明らかだ。これ以上の上昇のためには実体経済が好転したり、株価が上昇したりするなどの理由が必要だ。都心3区(中央、千代田、港)の中古マンション市場は12年の安倍政権誕生以降、価格上昇を続けてきたが、成約数はすでに減少傾向にある。一方で新規登録は増加しているため在庫が大幅に増加し、市場は踊り場にある。

加えて不動産向けの貸出残高は1989年のバブル時や2007年のプチバブル時をはるかに上回る水準だ。金融庁は地銀による不動産向け貸し出しに対する監視を強化するとしており、こうした沈静化機能がうまく機能するなら価格が上昇基調で落ち着き、在庫が徐々に整理され、ソフトランディングする1年になるだろう。

貸出残高の増加が止まらないようなら、実力以上の価格上昇が起きそうだ。「マンション価格を左右する株価の動向に注目(15年12月9日付)」でお伝えした通り、都心3区はとりわけ株式市場との連動性が高い。そしてその流れは都心5区(中央、千代田、港、新宿、渋谷)、23区、東京都全体、神奈川、埼玉、千葉の順で「の」の字を描くように波及していく。

中古一戸建て市場は、耐震性などで新築住宅並みの厳しい認定基準を設けたうえで、優良物件だけを売る業者に国が「お墨付き」を与え、消費者が安心して中古住宅を買えるとする制度が来年度から導入される予定だ。しかし、どの程度、市場の活性化に効果があるかは未知数。筆者は限定的とみている。

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