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18歳、ボランティアで存在感 「目指すはマララさん」

2016/1/5

10代が運営するボランティア団体が存在感を高めている。中心メンバーの多くは18歳。社会とかかわりたい、日本の未来を拓(ひら)こうと、大人顔負けの行動力だ。17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(18)をロールモデルに、社会貢献活動に向かっている。

「バングラデシュ産のオーガニックコットンを使ったTシャツです。フェアトレード(公正な取引)をご存じですか。ぜひ買ってください」

2015年12月19日、東京都江戸川区内の公園で開かれた地球環境を考えるイベント。中西容子(18)は来場者に呼びかけた。中西は、10代によるボランティア団体「クラブワールドピースジャパン(CWPJ)」(東京・渋谷)の主要メンバー。この日は、フェアトレードを通じてバングラデシュの貧困層の自立支援をアピールする団体のブースを仕切った。

地球環境関連のイベントでTシャツを売る「クラブワールドピースジャパン」のメンバー。左から大泉さん、佐々木さん、中西さん(東京都江戸川区)

中西は桐朋女子高校(東京都調布市)3年生。4月に青山学院大に進学する予定だ。14年10月にCWPJ入りした。CWPJは09年7月、当時中学生だった富樫泰良(19)が「子どもでも社会貢献ができる」と設立。11年の東日本大震災で現地に出向き、被災地の子どもに寄り添った。10代の共感を呼び、メンバーは900人を超える。

「みんな社会問題に意識が高い。少子高齢化、格差社会など、私たちの将来は決して明るくない。今できることは何かを考えて活動している」

こう話す中西を父親の直也(54)は「頑張れ」と応援する。直也は91歳になる自身の母の介護で休職中。「父は大変だと思う。それでも私を進学させてくれる。感謝しきれない」。中西はつぶやく。就職して自立し、弱者の側に立つのが父への恩返しだと考えている。

中西を含めて常時、活動するメンバーの大半は、小中高一貫教育の私立学校に通う。大手企業で働いたり、会社を経営したりする親を持ち、何不自由なく育った子ばかりだ。親とも仲がいい。親からボランティアを通じて地域と接点を持つよう言われるという。

5月、18歳になる佐々木舞音もその一人だ。

「マララさんの生き方は励みになる。恵まれた環境で過ごす私はまだまだ甘い」

横浜雙葉高校(横浜市)2年生の佐々木は、パキスタンで女性が学校に行けるよう活動して命を狙われたマララさんを尊敬し、彼女の理念に近づきたいと考える。それだけに、活動を実りあるものにしたい。

佐々木は15年5月、CWPJに入ってまもなく、東日本大震災で今も復興に取り組む地域の学校に文房具を送った。だが、「モノを送れば事足りるのか。それに文房具が行き渡ったら、地元の商店の売り上げが落ちてしまうではないか」と考えるようになった。マララさんはどう動いたか。現場に行ったのではないか、継続的に支援するのではないか……。相手の気持ちを考えたボランティアとは何かが、佐々木のテーマだ。

マララさんを目指し、社会とのかかわりを強めようと頑張る18歳。彼らは、この夏に予定される参院選で導入される「18歳選挙権」にも前向きだ。

「もちろん投票します。若者が投票しないので、お年寄りの意見が政治に採用されやすい。そこを変えたい」

15年のクリスマスイブ前日。東京都港区で路上のゴミを拾いながら、大泉遼(17)はこう話した。3月に18歳の仲間入りをする大泉は、現在、法政大学第二高校(川崎市)3年生。4月から法政大に進む予定だ。政治に関心が強いものの、一部の若者が繰り出すデモ活動は「ちょっと違う気がする」。ゴミ拾いなど地に足のついた行動で世の中を良くしたいという考えだ。

大泉らの取り組みは、ボランティア活動を日常の当たり前の文化として日本に定着させる可能性を秘める。

中西、佐々木、大泉それぞれ強い信念を持つが、真面目一辺倒ではない。「お小遣いが増えないかな」(中西)、「ボーイフレンドが大学受験で忙しくて会えないのが寂しい」(佐々木)、「僕はサーフィン命」(大泉)。どこにでもいる高校生たちだ。その上で、3人は同世代に問う。

「学校を飛び出してみませんか。この国をよりよくしようよ。私たちの次の世代に迷惑をかけてはいけないから」

(文中敬称略)

■18歳で選挙に行く「76%」

リクルート進学総研(東京・中央)がまとめた「高校生価値意識調査2015」によると、選挙権を取得した場合に「選挙に行くと思う」と答えた高校生が76%にのぼった。

15年9月にインターネットで調査し、高校1~3年生の計1437人が回答。性別で見ると、男子の80%が「行くと思う」と答え、女子より8ポイント高かった。

フリーコメントで「18歳選挙権」に期待していることを尋ねると、「これから将来を担う世代の意見が反映されやすくなる」「投票率の上昇」などが挙がった。一票を投じようと意欲的な高校生に、国造りのバトンをどう渡すか。大人の一票も問われている。

女性面編集長・石塚由紀夫、保田井建が担当しました。

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