マイナンバーのメリット 年金や手当手続き簡単に

にいさ マイナンバーがないと確認できないの?

たいきち マイナンバーは1人につき1つだから、確実に個人を特定できるんだ。今は書類の氏名と住所、生年月日などでその人を特定するけど、個人情報を登録した場所によって住所が違ったり、結婚で名字が変わったりすると確認が面倒になる。同姓同名で生年月日が同じ人を取り違える可能性もある。番号で管理すればシステムを連携させる上でも使いやすい。

りこ それって、公共機関が個人情報を簡単に見られるということ?

たいきち 個人情報を自由に見られるわけではありません。国税庁や日本年金機構といった国の機関や自治体が持つ個人情報は、あくまでそれぞれの組織で保管します。別の組織から情報提供を受けても利用するのはその目的に限られ、一定期間後に削除されます。

りこ でも使う人たちがルールを守ってくれるという前提でしょう。

たいきち 使う側を監視できる仕組みが用意されています。公的機関がマイナンバーで個人情報の照会をする際は政府が運営する「情報提供ネットワークシステム」に許可を得ます。照会の条件は厳格に決まっているので、むやみに情報を得ることはできません。さらに、いつ、どんな目的で個人情報をやりとりしたかの記録も残ります。

とうしろう その記録は我々も見られるのかい?

たいきち ええ。住民は17年1月からインターネットの「マイナポータル」というサイトで、自分の個人情報がいつ、誰に、どんな目的で使われたかを確認できます。情報提供ネットワークの運営や各機関の利用については、独立した組織がチェックする仕組みになっています。

にいさ 不正に使われたと後から分かっても遅いんじゃない? 情報は民間企業にもあるんでしょう。

たいきち 悪意のある人が情報を持ち出す可能性はゼロではないね。マイナンバーは個人を特定できるから、複数のルートから漏れた情報を組み合わせれば正確な個人情報のリストを作られてしまう危険はある。だから悪意のある人が個人情報を不正に扱った場合は、懲役刑など厳しい罰則を用意しているんだ。

とうしろう 少々心配でも、もっとメリットがあるといいんだが。

たいきち 確かに来年の段階ではメリットは限られそうですね。ただマイナンバーの利用範囲が広がれば、恩恵も増える可能性があります。例えば17年7月から引っ越した先の自治体で、以前の予防接種の履歴を確認できるようになります。その後は個人番号カードを健康保険証として使う予定もあります。医療機関の受診情報や処方薬の記録を電子化し、薬の重複をチェックしたり、予防接種を促したりするということも実現するかもしれません。

■海外は医療にも活用
富士通総研経済研究所主席研究員 榎並利博さん
政府はマイナンバー導入で公平・公正な社会の実現を目指しています。行政が組織を越えて情報を共有すれば生活保護の適切な支給や年金の不正受給防止といった機能を強化できます。メリットは添付書類を減らせるといった程度に限らず、大きく広がる可能性があります。海外では確定申告の手間を大幅に減らしたり、医療サービスの充実につなげたりした例もあります。
海外のトラブルを踏まえて仕組みを作っており、制度や運用面での安全性はより高くなっているといえます。仮に自分のマイナンバーを知られても、使う際は身元の確認が必要なので、即座に被害を受けることはないとみています。年金生活者などマイナンバーを利用する機会が多い人は写真入りの個人番号カードを作るのが一案です。身元確認がしやすく、偽造されるリスクを減らせます。(聞き手は長岡良幸)

[日本経済新聞朝刊2015年12月26日付]

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