2016/1/15

吉井:ETFがさらに拡大するには、もっと使い勝手がよくなることが必要だ。分配金が自動再投資されるタイプや、為替ヘッジ型が必要だし、1本で主要なアセットクラスへの分散投資ができるマルチアセット型のETFも増えてほしい。

カン:売買委託手数料無料のフリーETFの普及もポイントになる。日本ではカブドットコム証券が一部の銘柄(13種類)について取り扱っている。

渡邊:米国ではアドバイザーがETFポートフォリオの構築に、フリーETFを多く扱う証券会社を顧客に薦めたりする。日本でもそういう仕組みが今後必要だろう。

アクティブ型投信に近いETFも

──個人投資家はETFをどう活用すればいいのか。これからのETF像も伺いたい。

吉井:ポートフォリオ運用に「コア・サテライト」という手法があるが[注3]、コアの部分でETFを活用してほしい。コストが低いだけでなく株と同様に売買できるので、投信より機動的に運用できるはずだ。

カン:ETFをポートフォリオのコアに使うことには賛成。繰り返しになるが、日本国内の円建て資産しか持たない人にとって、ETFは非常に活用性が高い。新興国にも手軽に投資できる。グローバル投資の第一歩として、1カ国にとどまらず広い地域をカバーするETFを強く薦めたい。

渡邊:伝統的なETFの使い方は次の3つ。長期分散投資を低コストで行う、個人が投資しづらい市場にアプローチする、短期的なトレーディングツールとしてレバレッジ型などを使う。

これに加えて最近のETFの動きとして、従来のインデックス連動を上回るパフォーマンスを狙う、投資戦略的なものが出てきている。スマートベータ指数[注4]への連動を目指すETFなどだ。いわばアクティブ型投信に近いが、ETFなのでコストは安い。これによりETFが第2ステージに入りつつあると見ている。

まずは1本買ってみること

──最後に、本日の来場者に向けてメッセージを。

カン:世界中でETFの重要性や利便性に気付いて投資を始めている人がたくさんいる。日本の個人投資家もETFを利用することで自分の資産形成がより有利になることを念頭に置き、まず何か1本銘柄を買ってみてほしい。意外だろうが、国内上場のETFの約7割が2万円以下の額で投資できる。実際に買ってみることで分かることがたくさんあるはずだ。

吉井:メッセージ代わりに私がどんな運用をしているかお伝えしたい。各資産ごとにETFとアクティブ型投信を半々ずつ組み合わせて、前述のコア・サテライト運用をしている。ETFを組み合わせることによりコストが下がり、資産全体の運用効率がよくなるので、アクティブ型投信で運用している人には是非試してほしい。コストの低いETFが良いパフォーマンスを上げる時もあれば、アクティブ型が強い局面もあり、両者の良しあしを知ることもできる。

渡邊:現在の個人投資家には高齢者が多い。だが今後、相続で投資資金を持つ層に世代交代が起こると、テクノロジーを使った運用が広がるだろう。ETFについてもしかり。AI(人工知能)を利用したロボ・アドバイザーで投資戦略を立てたり、PCやスマートフォンでアドバイスを受けたりということが普及していくと見ている。新しいテクノロジーは積極的に使ってみるべき。より効果的な資産形成につながるだろう。

[注3]資産を「コア(核)」として安定成長を狙う商品と、「サテライト(衛星)」としてハイリターンを狙う商品に配分して運用する手法。
[注4]単純な市場平均の指数ではなく、より高いパフォーマンスを狙い、財務指標など特定の要素に基づいて構成された指数。ROEの高い銘柄で構成された「JPX日経インデックス400」が一例。

(ライター 萬真知子)

[日経マネー2016年2月号特別付録の記事を再構成]