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「ETFは長期投資に最適なツール」 プロ3人が激論

2016/1/15

日経マネー

 去る2015年11月24日に東京・大手町で開催された「日経ETFフォーラム」。その中で、当代きってのETF専門家3人によるパネルディスカッションの場が設けられた。日本のETF(上場投資信託)市場の課題からETF先進国である米国との対比、今後の見通しまで、様々な視点から白熱した議論が繰り広げられた。(司会は日本経済新聞社インデックス事業室総務・守田正樹、肩書は当時のもの)

──本日は経歴と立ち位置の異なる3人のETF専門家の方にお集まりいただいた。まず初めに、ご自身とETFとの関わりについてお聞かせ願いたい。

カン・チュンド(以下カン):私がFP(フィナンシャル・プランナー)のオフィスを開業したのは15年前で、日本のETFが現在のような形になったのもその頃。共に歩んできたようなものだ。この間ETFの裾野は広がったものの、複雑で分かりにくいと誤解している人はまだまだ多い。だが、投資初心者を含めて、ETFほど個人の長期的な資産形成に向く商品はないと確信している。

吉井崇裕(以下吉井):私はファンドアナリストの立場から、5000本以上ある投信の一つとしてETFに関わってきた。加えて今はIFAという独立系ファイナンシャル・アドバイザーに向けて、人材育成やアドバイス業務も行っている。ETFの市場拡大にはこうしたアドバイザーの存在が非常に重要だと考えている。

──「三度の飯より投信の目論見書を読むのが好き」との評判だが。

吉井:まさにその通り(笑)。

渡邊雅史(以下渡邊):私はインデックス型投信やETFの運用から入り、次に機関投資家や個人投資家にETFを紹介する仕事を担当してきた。機関投資家にはETFでの運用がかなり浸透しているが、個人投資家にはまだまだ受け入れられていない。

 一方、ETF投資で日本より先んじている米国では、フィンテック[注1]によるロボ・アドバイザー[注2]を活用して、ETFのポートフォリオを個人投資家に提供するというサービスが注目されている。日本でも同様のビジネスを広めたいと考えている。

■ETFは情報が少ない

──日本のETF市場は今どういう状況で、どんな課題があるのか。

カン:ETFの登場により個人投資家の“選択肢”は非常に拡大した。特に2007年から08年にかけては上場本数が18本から68本に飛躍的に増え、国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)、原油や金などのコモディティーといった多様なアセットクラスに手軽に投資できるようになっていった。だが現状では一部のETFに人気が集中しており、流動性や売買のしやすさの面で問題がある。

渡邊:東証のETF保有割合を見ると、個人は1割と少ない。米国では個人のETF保有割合は5~6割だが、多くはアドバイザーを介しての投資だ。日本でも幅広くETFを活用してもらうには、個人の投資を手助けするサービスが必要だろう。

吉井:ETFの情報が少ないのも課題の一つ。米国のモーニングスターではETFの詳細な情報提供をしているが、日本で同程度の情報を得ようとすると我々のようなプロでも難しいのが現状だ。

[注1]FinTech。Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。
[注2]コンピューターによる資産運用の支援システム。運用方針に合ったポートフォリオが自動的に構成され、運用実績をリアルタイムでチェックできる。

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