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今年こそ読みたいマネー本 編集委員座談会

2016/1/1

■今こそ原点回帰

深田:清水さんは聞いていてどう?

清水:市場が効率的だからインデックスが正しいというテーゼは、じゃあ全員がインデックスやったら効率性は下がっちゃうでしょという、根本的な矛盾を抱えているよね。全員がインデックスをやっていたら、銘柄発掘の努力などがだんだんなくなってきて……。

北沢:ただ乗りだよね。

田村:その議論はアメリカでもある。だけど結局、インデックス運用が増えると良い銘柄が取り残されがちになって市場が非効率になり、アクティブ派の成績が良くなるから、アクティブ派が再び勢力を挽回する。そういうメカニズムが働くことによって、市場全体がインデックスになることは現実的にはないわけだから、そこを心配しなくてもいいのではないかというのが、とりあえずの結論になっているのでは。

清水:年金運用などのせいで、インデックス運用があまりに増えてしまったことの弊害はある。参加者すべてがインデックス運用になることは理論的にはないが、一定の許容範囲を超えたことで、市場の効率性を逆に下げている面が気になる。

深田:プロがやり始めるとよくないということ? 普通の人たちはわからないならインデックス投資でいいのではないかと思いますが。ウォーレン・バフェット氏がインデックスやるかというとそうじゃないわけでしょ。

田村:でも、バフェット氏自身が書いた個人株主への手紙には……。

北沢:奥さんにはS&P500を持てと言っているという話でしょ?

清水:でも、それは自分みたいなプロがいるからっていうことなんじゃないの?

田村:そうそう。

『新賢明なる投資家(上・下)』(ベンジャミン・グレアム著、パンローリング)

北沢:しかし、S&P500と、例えばTOPIXという2つのインデックスを単純に比べるというのは間違いですよ。TOPIXは市場全体だけど、S&P500って選ばれた500銘柄なので、それを単純比較して、じゃあ日本ではTOPIXでいいじゃないの、という議論はすごく乱暴だよね。

清水:S&P500というのは一種のアクティブですよね。

北沢:そうそうそう、(財務指標や株価の変動率など銘柄の特定の要素に基づいて構成された)スマートベータ指数に近い。

深田:北沢さん、じゃあ個人はどうすればいいでしょうか。インデックスなら簡単だからできるという人は多いと思うんだけど。

北沢:いや、いいと思うよ、リスクが取れる人はインデックスで。だけど、こういう時代だからこそリスクをもっと真面目に考えましょうよと言いたい。いまこそ、『新 賢明なる投資家 上・下』(ベンジャミン・グレアム著、パンローリング)のような古典を読んで、原点回帰をすべき時代なのではないかという気がする。

この本には、株式投資のリスクをどうやって抑制するかということが書いてある。「安全域」というのがキーポイントなんだけど、値が高いときに変な株を買うから失敗するわけで、高くない株価になるまで待てばそんなに大損しないでしょということを書いてある。銘柄選択の本でもあるんだけど、個人にわかりやすくリスクを説いている本だと思う。

(「今年こそ読みたいマネー本 編集委員座談会」はここでひとまず一区切り。その後、為替や金融政策のテーマに移りました。こちらからどうぞ)

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