均等法30年の現実 「マタハラ」いまだに絶えず
池田心豪
男女 ギャップを斬る
今年も残すところわずかとなった。1年を振り返ると、女性労働に関する話題が尽きない年であった。女性活躍推進法が制定され、女性管理職の増加が議論された同じ年に「マタハラ」が話題にもなった。経営戦略や成長戦略のもとで登用される女性が増える一方、妊娠・出産を機に職場から排除される女性も後を絶たない。それが均等法制定30年後の現実だ。このギャップを埋めることが来年以降の課題である。
均等法や育児・介護休業法は妊娠・出産・育児休業・介護休業を理由とする解雇や減給・降格等の不利益取り扱いを禁止している。加えて、先日の労働政策審議会雇用均等分科会に均等法と育児・介護休業法に盛り込むマタハラ防止策として、上司や同僚からの嫌がらせを防止する措置義務を企業に課す案が出された。
もう一つ、育児・介護休業法の改正案としてパートや契約社員、派遣社員といった形態で働く期間雇用者の育児休業に関する新たな規定が示されたことも評価したい。先日の分科会で示された案は育休の適用対象について「子が1歳6か月に達するまでの間に、労働契約期間が満了し、かつ、労働契約の更新がないことが明らかである者を除く」としている。期間雇用者の多くは現在3か月・6か月・1年という短い契約期間を繰り返し更新して同じ会社で働き続けている。前に指摘したように現行法は雇用継続見込みの規定が分かりにくく、育休後の契約更新の可能性をめぐって労使のトラブルが起きやすかった。だが、改正案では、更新がある契約で働く期間雇用者の育休申請を、会社は今後更新しない可能性があるという理由で拒否することはできなくなる。
これらが実際に法律となるかは今後の動向を見守らなければならないが、新年に向けて期待の膨らむ話である。法律になったら今度は実効性を確保する必要がある。個々の企業においては、人事担当者とともに労働組合の役割も重要である。仮にパートや派遣社員が組合員でなくても、一緒に働く女性の問題を放置するわけにはいかない。実は私、このたび勤務先の労働組合の委員長になった。他人事ではなく、しっかり取り組んでいきたい。
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