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米大物投資家の苦戦に学ぶ 集中避け長期視点で

2015/12/19

米国の大物投資家たちが今年、ヘッジファンドの運用で苦戦している。相場の変動をとらえて柔軟に収益を確保するという本来の持ち味を発揮できず、特定分野への集中投資で傷口を広げる例が目立つ。失敗の原因を見ていくと、日本の個人投資家にとっても参考にすべき教訓があることがわかる。

米大手証券リーマン・ブラザーズ株を破綻前に空売りして巨額の利益を上げたことで知られる米投資家デービッド・アインホーン氏。その率いる主力ファンドの年間運用成績が今年、1996年の運用開始以来2回目となるマイナスに転落するとの見通しが米運用業界で話題になっている。

大きな原因のひとつは、資源価格の下落だ。同氏は春先、原油相場に底打ちの気配が見られたことから米国の株式市場でエネルギー関連株の保有を増やした。だが予想は外れ、原油はその後、一段安となり運用成績が悪化した。

■資源安を読み誤る

大物原油トレーダーとしても有名なアンディー・ホール氏もファンド運用で苦戦する。原油安が進んでいた夏以降も「世界の原油供給は過剰ではない」と強気な姿勢を崩さなかったのが裏目に出て、主要ファンドの成績は年初来で30%近いマイナスに落ち込む。

今となっては資源安を招いた大きな要因が中国の景気減速であることは市場の定説。世界市場の底流に大きな変化が起きていることを読み切れず、自らの相場観に固執して運用方針を機敏に変えられなかったファンドが打撃を受けている。

「中国は投資先として安全な場所ではない」。運用額約20兆円と世界最大であるブリッジウォーター・アソシエイツを率いるレイ・ダリオ氏が、顧客向けのリポートでこう認めたのは7月。新興国株などで運用する上場投資信託(ETF)の保有を大きく圧縮せざるをえなくなり、9月末の時価持ち分は34億ドルと3カ月前の半分に減った。

米ヘッジファンドは、個人の超富裕層や年金基金など限られた顧客から最低100万~500万ドル単位の大口資金を集め、少数のスペシャリストが運用を手掛ける。対象は株や債券、為替、商品とさまざまで、運用状況の開示は限定的だ。

空売りを駆使し、相場の下落局面でも損失の回避(ヘッジ)を狙う点が、一般的な公募投資信託と異なる特徴。運用手数料は高く、預かり資産残高の2%を基本とし、超過収益分の20%を成功報酬とする「2.20」が業界スタンダードだ。

にもかかわらず、業界全体の運用成績は1~11月に0.3%と、米国の代表的な株価指数を大きく下回る(グラフA)。市場平均にさえ及ばない成績で、年金基金の間では資金を引き揚げる動きも出ている。

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