働く女性には離婚の危機が続々?

日経WOMANが読者を対象に実施したアンケートで、既婚読者の半数が1度は夫との離婚を考えた経験があり、その4割が「夫の生き方や性格を尊敬、信頼できない」という理由を挙げた。
「結婚後も働き続ける女性が増えるなか、離婚の危機に直面する夫婦が増えている」と語るのは、離婚問題を多く手がけてきた弁護士の中村久瑠美さん。約3組に1組が離婚する今、働き盛りの30代前半の女性の離婚率が全世代中最も高くなっている(グラフを参照)。
ではなぜ共働き家庭で、離婚の危機が増えているのか。『なぜ、結婚はうまくいかないのか?』の著者、森川友義(とものり)さんは妻側の理由をこう分析する。「専業主婦と比べ、家事と仕事との両方を行う『キャリア主婦』は経済的に自立している人が多い。また、仕事を通じてさまざまな男性と知り合う機会も増える。一方で、プライベートでは忙しさから夫と一緒に過ごす時間が減ったり、家事や育児の分担で、夫に対する不満や不公平感を持ったりしがち」
また、今回の読者アンケートでは離婚経験者のうち6割以上が自分から離婚を告げていた。
「驚きました。専業主婦の場合は8割が夫から離婚を告げられています」と夫婦問題カウンセラーの岡野あつこさん。経済的に自立しているから、結婚生活を続けられないと思ったらその気持ちに正直に決断することもできる。一方で、だからこそ円満な夫婦関係を続けるための互いの努力が必要なのかもしれない。
【働く女性が離婚を考えるとき】
読者アンケート詳細:2015年9月に日経WOMAN公式サイト上で実施。既婚読者168人(平均年齢41.0歳)から回答を得た。


この人たちに聞きました

弁護士。中村久瑠美法律事務所代表。夫の暴力が原因で離婚。その後司法試験に合格し弁護士に。著書に『バツイチなんて言わせない?離婚女性たちのQOL向上宣言』(PHP研究所)『離婚バイブル』(文春文庫)などがある。

夫婦問題カウンセラー。自らの離婚経験を生かし、37歳のとき「岡野あつこの離婚相談室」を開設。25年間で3万件以上の相談を手がける。近著に『貴女が離婚を決める前にしなければならない8つのこと』(ゴマブックス)。

早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士。専門分野は日本政治、恋愛学(結婚学)、進化政治学。『なぜ結婚はうまくいかないのか?』『結婚しないの できないの?』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など恋愛・結婚に関する著書多数。
(日経WOMAN 福島哉香)
[日経WOMAN 2015年12月号の記事を再構成]