マンション価格を左右する株価の動向に注目不動産コンサルタント 長嶋修

株価と連動してきたのは、あくまで都心部のマンションのみである(グラフC)。12年のマンション成約単価を100とすると、都心3区は150.6まで伸びたのに対し、東京全体では128.8にとどまる。以下、神奈川111、埼玉110.3、千葉105.9と続く。

一方で新築マンション市場はどうか。1980年代のバブル時、またリーマン・ショック前のプチバブル時は、都心から郊外へとマンション価格の上昇が波及した。立地においても、より安価な分譲立地を求め、国道16号線を超えて分譲される動きが見られた。ここ数年の傾向では、分譲立地はむしろ大きく引き締められ、より都心・駅近に集中しているのが、かつてのバブル期、プチバブル期とは大きく異なるところだ。

新築マンション市場は中古市場と異なり、用地の仕入れや企画などの都合でタイムラグがあり、株価にやや遅れて動くといった特徴があることを知っておこう(グラフD)。

結局のところ今後のマンション市場の行方は、株価動向次第である。日米欧の中央銀行による金融政策の動き、世界的な経済動向、テロリスクなどの諸変数と、都心の中古マンション、新築マンション市場は強く連関している。

今期、来期と企業業績が上向き、給与所得者の所得が増え、国内総生産(GDP)が増大するなどして、株価が再び上昇基調に入れば、マンション市場が一段と上昇することもあるだろう。一方で、何らかの理由で株価を下げるようなことがあればマンション価格も下がる。リスクオフの要因となるような大きなショックに見舞われれば、連動して暴落することさえあり得る。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。
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