マイナンバー時代、副業は難しくなる?第41回 副業とマイナンバー

マネーの達人、公認会計士・税理士の山田真哉さんに旬のマネートピックについて聞くコラム。今回のテーマは「副業とマイナンバー」です。来年から始動する税と社会保障の共通番号、いわゆるマイナンバー制度。これが始まると、会社に内緒でやっている副業がばれてしまうのでは? という疑問を持つ人がいるようです。本当のところはどうなのか、山田さんに聞いてみました。

忘れがちな住民税申告

――マイナンバーの交付を巡っては各地でいろいろなトラブルが報告されていますが、うちには先日届きました。これからこの12桁の番号と長いつきあいが始まるわけですね。

「マイナンバーは従来あった11桁の住民票コードを非可逆変換した数字なんですよ。その数式はというと……複雑ですね」

――見ただけでくらくらする数式です。ところでマイナンバーが導入されると、副業が会社にばれてしまうのかという疑問をよく見ます。実際、どうなんでしょうか。

「副業にも2種類あると思います。まず、会社員が自身のブログでアフィリエイトをしたり、掘り出し物を転売する『せどり』をしたりして、ちょっとしたお小遣い稼ぎをするケースです。この場合、会社からもらう給料は給与所得、副業は雑所得になります」

――給与所得以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は必要ないということでしょうか。

「原則としてはそうです。ただし、年間20万円以下であっても、市区町村に住民税の申告をしなくてはいけません。会社の給与については、勤務先から各市区町村に『給与支払報告書』が送付されるので、それを基に住民税が決まります。副業に関しては、確定申告をするなら住民税申告は必要ありませんが、確定申告をしないなら、本来は市区町村に申告が必要なんですよ」

副業分は普通徴収

――なるほど。それはマイナンバー制度とは無関係に、そもそもそういうものなのですよね。ただ……データがあるわけではありませんが、この「ちょっとした副業」について、あえて確定申告したり、住民税の申告をしたりする人は、あまり多くないのではないかという気がします。

「善しあしは別として、そうかもしれません。副業で黒字が出ていれば、申告すると税負担は増えますからね。そもそも、マイナンバーで『副業がばれる』という言葉は、『勤務先にばれる』と『税務署や市区町村にばれる』の2種類の意味で使われていると思われます。まず、勤務先にばれるかどうかについては、副業について確定申告や住民税申告をしたとしても、副業分の住民税について給与から天引きされる『特別徴収』ではなく、『普通徴収』を選べば、マイナンバー時代になっても、会社には副業がわからないはずです」

――以前、「副業は会社にわかる? 住民税の不思議(2014年5月29日付)」で取り上げたように、副業部分の住民税については自分で納付するわけですね。

「ただ、税務署や市区町村のほうはどうかというと、マイナンバー時代には個人の収入を1つの番号で簡単にひも付けられるようになるので、ばれる可能性がかなり高くなります。例えば、アフィリエイトだとサービス提供会社から報酬という形で収入を得ますよね。サービス提供会社が源泉所得税を引いていれば、原則、『○○にいくら払った』という情報を『支払調書』で税務署に報告します」

――マイナンバーで変わりそうですね。

「マイナンバーが始まる前は、税務署は名前、住所、生年月日などで個人情報を付き合わせていました。だから、会社には住民票上の住所を知らせていても、副業は実家の住所や旧姓で登録して収入を得ているというような人がいると、それを同一人物だと把握するのは、困難だったのです。しかしマイナンバーだと、すぐに同一人物だとわかります」