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名誉かミリオンセラーか 芥川・直木賞vs本屋大賞

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文学に興味がない人にもその名が知られる芥川・直木賞。しかしここ数年は、2004年に新設された本屋大賞も芥川・直木賞並みに関心を集めるようになってきた。果たして本屋大賞は、80年の歴史を誇る芥川・直木賞を超える文学賞へと成長していくのだろうか。出版業界や書店事情に詳しい書評家・ライターの永江朗氏は、賞としての質の違いをこう分析する。

「芥川・直木賞も本屋大賞も、候補作が公表された時点から書店で特設コーナーが展開されるなど、セールス的に大きな影響があるのは間違いありません。ただ傾向として、本屋大賞は受賞作のみにスポットが当たる一過性のところがあります。毎年4月に大賞が発表されますが、そのときに過去の受賞作や受賞者の過去作品にまで話題が及ぶことはありません。また受賞者も、『本屋大賞受賞作家』とは呼ばれませんよね」

一方の芥川・直木賞は、受賞作と同時に受賞者の過去作品が書店で並べられることも多く、受賞後は「芥川賞作家」「直木賞作家」と肩書に記載されるようになる。

「本屋大賞自体は、セールスの手段としてはよく考え抜かれています。ただ、作家としてのブランドになるかどうかというと、芥川・直木賞のようなことはない。例えば、第1回本屋大賞を受賞した小川洋子さんが、9月に『琥珀のまたたき』というひさしぶりの長編を出されましたが、『第1回本屋大賞受賞者の最新刊』といった形では話題になっていません。やはり『芥川賞作家の最新長編』ですよね」

選考の違いが賞の質に影響

その原因として、永江氏は選考方式の違いに注目する。

「芥川・直木賞は、選考委員による熟議の結果として受賞作が決まります。作品の話題性やセールス状況などは、あまり影響しないと言われています。選考会は文藝春秋の編集者によって進行されるので、その仕切り具合いによって流れが変わることもあるようですけど。選考のプロセス自体は非公開ですが、受賞作が全文掲載される『文藝春秋』には必ず選評がよせられます。一方の本屋大賞は、完全なる人気投票です。参加する書店員の数が増えれば増えるほど、すでに売れている作品に票が集まりやすくなるというジレンマがあります。第3回でリリー・フランキーの『東京タワー』が選ばれたときにも、すでにその問題点が指摘されていました。ある程度の部数が出ているものを対象から外すべきかどうかの議論もされたようですが、ベストセラーを売り伸ばしたい傾向も含めて書店の現状を見てもらおうということになったようです」

大ヒットを生むのはどっち?

本屋大賞受賞作は、過去12回の作品がほぼ確実に映像化されてきた。受賞発表と映像化という2度のタイミングで注目を集めることとなり、ミリオンセラーを達成するタイトルも少なくない。他方の芥川・直木賞は、必ず手に取るというコアなファンはいるものの、受賞の話題だけでミリオンに手が届く作品はほとんどない。芥川賞にいたっては、話題作でも10万部の大台に乗るかどうかというのが実情だ。発行部数が200万部を超えた又吉直樹の『火花』は、まれなケースともいえる。

「芥川賞には、音楽や演劇など他の業界から書ける人材を引っ張ってくる先進的なところがあります。あくまでも新人を対象とした賞なので、可能性を買って与えようとするところがある。その結果、今回の又吉のように爆発的なヒットが生まれることがあります。偶然としか言いようがないかもしれませんが、村上龍や綿矢りさなど時代にジャストミートして社会現象的なヒットが数年か十数年に一度生まれるのも芥川賞です」

ビジネスとしての文学賞

1935年に創設された芥川・直木賞は、2015年で80年を迎えた。本が売れない2月と8月に受賞作を掲載する雑誌『文藝春秋』を売りたいという狙いのある賞だ。本屋大賞は、書店の現場から"売りたい本"を選ぶ賞として生まれた。どちらも、"売りたい"というビジネス的な観点は共通している。

「芥川・直木賞は、編集者など文藝春秋の社員が運営上で担っている役割は大きいです。そのため文藝春秋という会社が存在する限りは、賞も続いていく安定性があります。ですが、本屋大賞は基本的に書店員によるボランティアで運営されています。その体制の違いが賞の今後に与える影響は大きいですね」と、永江氏は指摘する。

 文学賞の主催には、年間1000万円程度の費用が必要になると言われている。資金難を理由に、地方自治体が主催する有名文学賞も次々と休止に追い込まれている。全国で書店が減少し続けるなかで、書店員が身銭を切って運営している本屋大賞はどこまで今の勢いを維持し続けられるのか。ビジネスとしての体系化が問われている。

(ライター 土田みき)

[日経エンタテインメント! 2015年12月号の記事を再構成]

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