絶滅寸前、キタシロサイが残りあと3頭に

日経ナショナル ジオグラフィック社

2015/12/13
ナショナルジオグラフィック日本版

2014年12月に撮影された希少なキタシロサイのノラ。2015年11月に、サンディエゴ動物園で死亡した。(PHOTOGRAPH BY LENNY IGNELZI, ASSOCIATED PRESS)

最後の4頭となっていたキタシロサイのうち1頭が死亡し、種の絶滅がいよいよ現実味を帯びてきた。

死亡したのは41歳のメス「ノラ」。飼育していた米カリフォルニア州のサンディエゴ動物園は2015年11月22日、立て続けに病に襲われたノラを安楽死させる決断を下した。同動物園はノラの感染症を処置し、膿瘍を取り除くために手術もしたが、状態は悪化する一方だった。

残りの3頭も繁殖するには高齢

同動物園は、フェイスブックでノラの死を報告した。「世話をしてきた飼育員をはじめ、ボランティアの皆さん、動物園を訪れる人々、そして世界中にいるノラの仲間たちにとって、大変つらい出来事でした。ノラの遺したものは、永遠に生き続けるでしょう。これで、地球上のキタシロサイはあと3頭を残すのみとなってしまいました」

野生のサイの寿命は、35~40年。ノラは、1989年に旧チェコスロバキアの動物園からサンディエゴ動物園にやってきたキタシロサイだった。

2015年7月には、チェコの動物園でナビレという名のメスが死亡したこともあり、シロサイの亜種であるキタシロサイ(学名:Ceratotherium simum cottoni)は、地球上にあと残りわずか3頭となった。その全てが、ケニアのオルペジェタ自然保護区で飼育されている。激しい密猟から守るため、武装した警備員が24時間態勢で監視している。

残り3頭のうち2頭はメス、1頭はオスだが、いずれも自然繁殖をするには年を取りすぎている。種の保存へ最後の望みをかけて、既に取り出してある精子と卵子を体外受精させ、同じシロサイの仲間であるミナミシロサイを代理母とする計画だが、これには10年以上かかることが予想される。

ミナミシロサイは回復

アジアとアフリカのサイは、生息地の消滅や密猟のため、過去数十年間で急速に数を減らしている。密猟が後を絶たない主な原因は、アジアでサイの角を病気の治療薬として珍重するためだ(西洋医学では、その効能は認められていない)。

キタシロサイは、かつてはチャド南部からコンゴ民主共和国まで、中央アフリカの各地に多く分布していた。1960年には2000頭以上生息していたのが、1984年にはわずか15頭まで激減した。

仲間のミナミシロサイも一時は数が減少し、21世紀へ入る頃には一握りほどしか残っていなかったが、人の手による繁殖、他の地域への移動、制限付きのスポーツ狩猟の許可など、南アフリカ政府による保全努力が実り、約2万頭にまで回復した。スポーツ狩猟については賛否両論あるが、そのおかげでサイを育てるようになった土地所有者もいる。

ノラの死について、サンディエゴ動物園は「これが、世界中の野生動物に起こっている事態への警告になるよう願います」と書いている。

(文 Brian Clark Howard、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年11月27日付]

ナショジオメルマガ