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認可外の保育園、利用料高く 認可園との差に不満 6年間で200万円多い例も

2015/12/2

子どもが認可保育園に入園できなかった場合の駆け込み寺が、自治体が独自基準を定めた「認証保育所」や「市保育室」など認可外の施設だ。人員配置や設備などの基準が認可園と異なるうえ、保育料は高めになっている。認可園との格差解消を求める声は少なくない。

体操プログラムに取り組む3歳から5歳の子どもたち(東京都品川区のポピンズナーサリースクール東品川)

「保育料負担を考えると頭が痛い」。東京都A区の会社員Bさん(35)の長男(2)は0歳児から東京都認証保育所に通う。認可園の入園選考に漏れたためだ。待機児童が多く1歳児クラスでも認可園への転園は無理だった。この先も転園のメドはたたない。

保育内容には満足だが、保育料は認可園より高い。区の差額補助制度は所得制限を超えるため対象外。1歳児の今は月1万円強高く、3歳児以降は月4万円以上高くなる。長男が0歳児から6年間、A区の認可園に通った場合の保育料と比較すると、総額200万円を超える負担増になる(表参照)。10月に第2子を産んだBさん。「保育料はさらに膨らむ」と悩む。

運営費の公費負担が多い認可園に対し、認可外の保育施設は事業者が負担する割合が高く、その分が保護者が払う保育料に跳ね返る。認可園と認証保育所の双方を運営するグローバルキッズ(東京・千代田)の中正雄一代表取締役は「認可や認証といった業態を問わず、同じ水準で保育を提供している。制度の壁が利用者間に負担感の差を生み出している」と話す。

待機児童問題が解決しないなか、預け先確保を優先し、認可外の施設を選ぶ保護者は多い。政府の子ども・子育て会議の会長、白梅学園大学の無藤隆教授は「利用者があえて選ぶというよりは、いろんな理由で認可外の施設を選ばざるを得ないのが現状。認可園と利用料の格差を付けるのは不合理」と指摘する。

認可園は保育士の配置基準に応じて3歳児以上の定員が増えるため、結果として保育料は下がる。認証保育所などの施設は0~2歳児を想定しているため、3歳児以降の定員が少なく、保育料もほとんど下がらない例が大半だ。

一方で認可園でも待機児童の多い0~2歳児を受け入れるために3歳児以上の定員を抑える動きが出ており、認可外からの途中転園は難しくなっている。認可園に入園できなかった家庭が抱える差額負担は膨らみ続ける。

保育サービス大手、ポピンズ(東京・渋谷)の中村紀子最高経営責任者(CEO)は「1人分でも大きい認可園との保育料差額を、2人目、3人目と賄うのは厳しい。少子化につながる」と指摘する。

東京都千代田区は認証保育所や区補助対象保育室などを利用する区民の負担額が、認可園利用時より2割少なくなるよう補助している。認可園にはない入園料などを考慮し、保育料格差を解消した。

広島県は都道府県で初めて、やむを得ず認可外保育施設を利用する世帯への差額補助を6月に始めた。認可園の入所待ちの世帯に、認可外の利用料月4万5000円を上限に認可園との差額を払う。ただ多くの自治体の差額補助は金額が低く所得要件があり全ての世帯が対象ではない。

日本総合研究所の池本美香主任研究員は「現状は認可園に入れるかどうかで格差が生まれやすい構造がある」とみる。「質を保つため一定の公的基準は必要だが、今の認可制度が妥当かは疑問」(池本さん)。英国の教育水準局を例に挙げ、独立した政府機関が保育施設の監査にあたりつつ、利用者側に補助が出るしくみの導入などで「義務教育と同様に、子どもに必要な保育環境を得る権利を公平に保証する必要がある」と話す。

 ◇  ◇

日本経済新聞社と日経BP社の共働き子育て家庭向け情報サイト「日経DUAL」の共同調査によると、認可外の保育施設を利用する世帯に、認可園利用料との差額の補助制度があると答えた自治体は約72%だった。

東京23区で回答のあった19区中、18区は補助制度を持つ。渋谷区は区内外の認証保育所を利用する世帯に一律月額2万5千円を支給している。

港区は全国で初めて、認可園に加え認証保育所の第2子以降の保育料を今年度から無料にした。ただ、上限が2万円以下にとどまる自治体が多く、認可園と認可外施設の保育料格差が残る。

調査は1都3県の主要100自治体と全国の政令市に実施、81自治体が回答した。

=詳細は日経DUAL(http://dual.nikkei.co.jp)に掲載

(南優子、小柳優太)

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