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物忘れに効く、脳によい生活の送り方

2015/12/15

日経ウーマン

 40代から自覚が増えてくる「物忘れ」は、実は更年期によくある症状のひとつ。物忘れへの対策をとれば将来の認知症の予防にもなり、一挙両得です。脳によい生活の送り方を専門家に聞きました。
(C)Pixta

 更年期の物忘れは、工夫次第で十分に対応可能だ。物忘れが多くなったと嘆くだけでなく、攻めのアクションを取ること。これが脳を元気にするコツといえそう。

 「更年期の物忘れの中心は脳の『ワーキングメモリ』の機能の低下ですが、これは脳によい生活を送ることで比較的簡単に回復させることができます」と話すのはTVでもおなじみの脳科学者で人間性脳科学研究所所長の澤口俊之さん。

 ワーキングメモリは「作業記憶」と呼ばれるもので、会話や料理、計算、予定などいろいろな作業や目的を遂行するために一時的に記憶したり、記憶を引き出したりする機能のこと。「その機能をできるだけ多く使うこと、そして運動や食事で脳を守り、鍛えることが重要。更年期の物忘れ対策も将来の認知症予防も、結局やるべきことは同じですから、脳にいい生活習慣を今から身に付けておくことをおすすめします」(澤口さん)

■対策1 運動

体にも脳にも効果 ちょっときつめのウオーキングを

 「物忘れ対策のイチ押しはこれ」と澤口さんが太鼓判を押すのが、ウオーキングなどの有酸素運動。

 「認知機能を改善させたり、認知症を予防したりすることがいくつもの研究から明らかになっています。ウオーキングで認知機能テストの点数がアップしたという報告もあります」と澤口さん。

 運動をすると体全体の血流がよくなり、脳を巡る血液量も増える。ワーキングメモリの中枢である「前頭前野」や記憶を司る海馬は、もともと血液量が特に多い場所なので、血流が低下すると老化も進みやすくなるそう。それを防ぐためにも、日常的な運動が欠かせないのだ。

 「いろいろな研究結果を総合的に判断すると、多少汗ばむくらいの早歩きを1回20分程度、週に3回以上続けるのが効果的。エアロビクスなどの有酸素運動でもOKです」(澤口さん)

 また、日光を浴びて運動するとより効果的。「光を浴びると、認知症の発症率を下げるビタミンDの合成が促されます。ビタミンDには、うつ病のリスクを下げる効果もあるので、日中の屋外でのウオーキングをぜひ習慣化して」と澤口さん。

■対策2 食事

ビタミンDやベリー類、コーヒーは認知機能に効果あり

65歳以上の648人を3年間追跡。カフェインを1日62mg(通常のコーヒー1杯程度に相当)以上摂取していた女性は、22mg以下の女性に比べ、認知機能の低下が約半分に抑えられていた。(データ:Journal of Alzheimer's Disease20( 2010)S175-S185)

 生活習慣病を防ぐようなバランスのよい食事が基本だが、個別の食品や栄養素の効果も明らかになっている。

 「近年の研究で認知機能への効果が確認されているのはコーヒー、ブルーベリーなどのベリー類、ビタミンDが代表的です」と澤口さん。

 コーヒーはカフェインが脳によいそう。1日1杯以上飲むと、認知機能の低下が約半分に抑えられたという報告も。「飲む目安は1日1~3杯程度。ただし、甘くしすぎてはダメ。過剰な糖分はワーキングメモリの機能をを下げてしまいます」(澤口さん)

 イチゴやブルーベリーは、抗酸化作用が認知機能にプラスに働くそう。またビタミンDは不足すると認知機能の低下が早まるという報告がある。魚を積極的に食べたり、日光に当たったりしてビタミンDをしっかり補おう。

 最新の研究では、腸内細菌と認知機能との関係も指摘されているという。「脳のためにも、腸内環境をよくしておくといいでしょう」(澤口さん)

■対策3 会話

人と話す、孫の世話をする 孤独は脳の大敵

 脳の機能を低下させないためには、脳を使うに限る。その代表がコミュニケーションだ。「友人や家族との会話はとても重要。ワーキングメモリを存分に使いますから、脳も自然と活性化します。また、孫の面倒を見ることが女性の認知機能アップに貢献するという報告もあります」と澤口さん。

 ほかにも、本を読んだり、旅に出たり、いろいろな体験を積んだりすることも大切。これらは「認知的蓄え」と呼ばれ、多ければ多いほど認知症になりにくいともいわれている。

 一方、よくないのは孤独。一人でぼーっとするのは脳の大敵。「人間は社会的な動物ですから、人と交わるのが基本。人と直接話すのはもちろん、フェイスブックでたくさんの友人と交流したりすることも、脳にはよい刺激になります」(澤口さん)

この人に聞きました
澤口俊之さん
 人間性脳科学研究所所長。北海道大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。エール大学医学部研究員、北海道大学医学研究科教授を経て、現職。武蔵野学院大学教授も兼任。

(ライター 佐田節子)

[日経WOMAN2015年11月号増刊『日経WOMANsoeur』の記事を再構成]

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