「化粧品業界の人」で終わりたくない ズナイデン房子さん(キャリアの扉)日清食品取締役

2015/11/29

日清食品は低カロリーのカップヌードルライトプラスで即席麺の女性市場を開拓した。この仕掛け人がズナイデン房子取締役だ。化粧品の数々のヒットブランドを手掛けたが、「その業界しか分からない人間として終わりたくない」と2014年6月に日清食品に移った。

ズナイデン・ふさこ 資生堂、ロレアルなどを経て2014年6月から現職。51歳。長崎県出身

1987年に資生堂に入社した。約200人の新入社員の中で、ただ1人マーケティング部に配属された。同世代を狙い自分が欲しいものを追求、若くして大ヒットブランドに関わった。

結婚退社した後、ユニリーバやロレアルなど外資系企業を経て07年に資生堂に戻った。つくった代表ブランドはツバキ。「マーケッターはオーケストラの指揮者」と話す。工場、営業、開発者らの力を引き出し、生まれた新しい価値が市場で認められる達成感が魅力だという。

満足いくまで何度でもダメ出しする。「鬼」と呼ばれた。それでもブランドがヒットし、「あのときダメ出ししてくれてありがとう」と言われたのは大事な思い出だ。

新天地の日清食品で掲げた目標は「カップヌードルを国民食として誰もが大好きにすること」。すぐに女性が鍵だと感じた。即席麺で女性向けは成功しないとささやかれる中、即席麺コーナーをじっくり品定めする女性客を見て確信した。女性のニーズを徹底的に意識した製品は、市場の存在を証明してみせた。

一番苦しかったのはユニリーバで日本人初のアジアディレクターになった時。シングルマザーで子供も小さかった。住み込みのお手伝いさんを雇い、仕事にアクセルを踏んだ。子育ては時間の長さではなく濃さだと考えてやってきた。今や子供も仕事で成功しようという意識が高く、「がんばって良かった」と笑う。

後輩の女性にはチャンスがきたら「やります」と言える強さを持ってほしい。子供ができたら仕事を抑えるのも選択肢だが、より仕事にまい進するのも一つだとエールを送る。自分のチームのメンバーは子供のようなもの。「好きだから厳しく言いたくなる」。敏腕マーケッターとして、これからも市場で認められる完成度の高い製品を追求していく。