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レコードプレーヤー多彩に アナログ盤ブームが背景

2015/11/29

 アナログレコードが世界的にブームだ。国内でも人気アーティストが新作のアナログ盤を発売することが多くなり、レコードを知らないデジタル世代も注目している。そこで人気上昇中なのがアナログレコードプレーヤー(ターンテーブル)。低価格の新製品や、デジタル対応の機種など注目株が目白押しだ。
収録曲のデジタルデータをダウンロードできる権利付きのレコードがアナログ人気の発端に

 アナログ人気が先行したのは欧米。米ビルボード誌によると2015年上半期の米国のアナログ盤の売上高は2億2600万ドル(約278億円)で、前年同期比5割増。英国では今春からアナログ盤のみのランキングの公表も始まった。日本ではサザンオールスターズ、福山雅治、Perfumeなど人気アーティストが今年相次ぎアナログ盤を発売。こうした状況を受け、プレーヤーも改めて注目されている。

 音を増幅するフォノイコライザーなどが必要な本格派プレーヤーでは、デノンの定番「DP-500M」(実勢価格6万6000円)が安定した売れ行き。ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京・千代田)によると「天然木を使うなど音質に配慮し、音楽のジャンルを問わない」(マイホーム商品・オーディオチームの黒川剛さん)。

左からアマダナ「SIBRECO」、デノン「DP-500M」、アイオン「Vinyl Motion」
ティアック「TN-350」はフォノアンプを内蔵し、USBも搭載

 また14年11月発売のティアック「TN-350」(同5万5280円)はフォノ機能を内蔵する一方、USB端子も搭載。「アナログをきちんと聴け、音源をパソコンなどに取り込むことも可能」(同)という。

 単体でアナログ盤の音を再生できるお手軽モデルも出そろってきた。初めての人に手に取りやすいのが米音響機器メーカーのアイオンオーディオの製品。スピーカー内蔵のポータブルプレーヤーで同9980円と低価格な「Vinyl Motion」などを商品展開している。

アマダナのSIBRECOは脚部に内蔵したスピーカーで音を聞ける

 デザイン家電で知られるアマダナ(東京・渋谷)は、製品化資金を集めるクラウドファンディングサービス「マクアケ」で今夏、プレーヤーの予約販売を実施。150万円の目標を大幅に上回る約1400万円を集めた。デザインの良さに加え、アナログをめぐる動向への期待感も含まれているようだ。12月に「Speaker inbuilt record player」の商品名で一般発売の予定だ。

 アナログの魅力はなんといっても音質。デジタルは音声のアナログ信号を似た波形のデジタル信号に変換してデータ化するため、記録できる音の高さや強弱の幅が制限される。このためプレーヤーやカートリッジ(レコード針)、アンプなどを突き詰めるほど、アナログの音質の良さが際立つとされる。

 最近はCDより高音質のデジタル音源「ハイレゾリューション」(ハイレゾ)も人気だが、それでもアナログの方が高音質だと評論家の多くが語る。

 ただ、いい音を実現するには高価な機器のほか、ターンテーブルの水平や針圧など緻密なセッティングも必要。盤面のたわみやホコリは音飛びやノイズのもと。曲の頭出しもできない。

 だが、それがいいのだ。ながら再生、ながら聴きができないので、その時間は音楽と真正面から向き合うことになる。

コルグの「DS-DAC10R」(左)をプレーヤーにつなぎ、アナログ音源をデジタル化

 プレーヤーを手に入れた後の楽しみも多い。楽器メーカーのコルグ(東京都稲城市)は、アナログ盤の音源を手軽にデジタル化できる機器「DS-DAC10R」(同6万円前後)を28日に発売。フォノ入力端子を装備し、パソコンとプレーヤーをケーブルでつなぐだけで、アナログ作品をハイレゾ音質でデジタル化できる。

 レコードは米アマゾン・ドット・コムなどでも購入できる。昔を懐かしく感じる人、アナログ盤に興味がある人は試してみてはいかがだろうか。

 米調査会社Statistaによると、世界のレコード売上高は2006年に約3400万ドル(約41億円)で底を打ってから右肩上がりで伸び、14年には3億4700万ドル(約425億円)に達した。特に盛り上がっているのが米国で、人気アーティストの多くがCDだけでなくアナログ盤も発売する。収録曲のデジタル版を無料ダウンロードできるクーポン付きのレコードなども数年前から多く登場。アナログ盤人気に火をつけた面もある。

(IT・家電ジャーナリスト安蔵 靖志)

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