氷河期の絶滅ライオンの新画像 生後数週間で死亡か

日経ナショナル ジオグラフィック社

2015/12/6
ナショナルジオグラフィック日本版

2015年8月に凍った状態で発見された2頭のホラアナライオンの子ども(PHOTOGRAPH COURTESY OF THE ACADEMY OF SCIENCES OF THE REPUBLIC OF SAKHA (YAKUTIA))

シベリアで凍った状態で見つかった絶滅種ホラアナライオンの子ども2頭について、ロシアの研究者が2015年11月17日に記者会見を開き、発見の経緯や2頭が死亡したときの状況の推測について説明した。

ホラアナライオンは、約1万年前に絶滅したと考えられる現生のライオン(Pantheral leo)の亜種。今回見つかった子ライオンは、シベリアのサハ共和国でマンモスの牙を探していた人々によって発見された。当初はそれが何ものかよくわからず氷河の中に置いておいたが、その後、分析のためヤクーツクの科学者のもとに送った。

生後2~3週間で巣穴崩れたか

2頭は、発見場所であるウヤンディナ川にちなんで「ウヤン」と「ディナ」と名付けられた。先史時代のネコ科の動物がこれほど良好な状態で発見されたのは初めてで、今後より詳しい情報が得られるとみられる。

サハ共和国科学アカデミーの古生物学者アルベルト・プロトポポフ氏によると、2頭は生後わずか2、3週間で死亡したらしい。乳歯はまだ歯肉から出てきていなかった。

プロトポポフ氏は、ウヤンとディナは巣穴が崩れて土に埋もれて死んだのだろうと推測する。悲劇的な出来事だったが、子ライオンたちがこのようにして死んだことが、良好な状態での保存につながった。彼らの死体は凍りついた状態で1万2000年以上にわたって地中にあり、今年の夏のウヤンディナ川の洪水によって初めて地表に露出したのだ。

本当の研究はまだ始まったばかりである。ホラアナライオンは、これまで骨と足跡しか発見されていなかった。ウヤンとディナは、特徴的な厚い毛衣から内臓まで、絶滅したホラアナライオンの軟組織を初めて見せてくれるのだ。

2頭の子ライオンは、1万2000年以上前に、生後数週間で死んだと推定されている。そのうちの1頭を調べるサハ共和国科学アカデミーの研究者ゲンナディ・ボエスコロフ氏。(PHOTOGRAPH COURTESY OF THE ACADEMY OF SCIENCES OF THE REPUBLIC OF SAKHA (YAKUTIA)

遺伝子解析や年代測定も

プロトポポフ氏は、近いうちに遺伝子解析も行いたいとし、「ホラアナライオンと現生のアフリカライオンの血縁関係の近さも明らかになるでしょう」と言う。

ウヤンとディナが死んだのが1万2000年以上前であることはわかっているが、科学者たちは、放射性炭素年代測定法により、その年代をもっと正確に決定したいと考えている。さらなる研究により、彼らがどんなものを食べていて、極寒のステップ草原にどのように適応していたかも明らかになるだろう。

(文 Brian Switek、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年11月20日付]

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