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「NYのベストバーガー」 シェイクシャックが初上陸

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NIKKEI STYLE

本格的な味を売りにしたグルメバーガーが一部の層に受けている。そんななか、ニューヨークで新しいスタイルのハンバーガーショップとして人気を集め、世界9カ国で78店舗を展開している「シェイクシャック」が、日本初上陸。2015年11月13日、1店舗目を明治神宮外苑内にオープンした。

日本での展開の独占契約を結んでいるサザビーリーグ(東京都渋谷区)は、東京五輪が開催される2020年までに10店舗を計画しているという。

シェイクシャックは2014年に「サウスビーチ ワイン&フードフェスティバル」で"ベストバーガー"に選ばれ、同年度版のZagat NYCでも「最も人気のあるニューヨークのレストラン」に選出されている。そのほかにもBon Appetit誌が選ぶ「米国で最も重要なレストランTop 20」や、タイム誌の「歴史上、最も影響のある17のバーガー」に選出されていて、「ニューヨークのベストバーガー」との呼び声も高い。

人気の理由は、高品質なハンバーガーを手に届きやすい価格で提供しているから。パティはアンガスビーフ100%で、健康的に飼育されたものを厳選している。それにもかかわらず、価格はいわゆるグルメバーガーと一般的なバーガーのちょうど中間程度(日本では680円)。"グルメポテト"と呼ばれるユーコンポテトを波状にカットして揚げた「フライ」はSサイズで280円。本格的なメニューをカジュアルなスタイルで提供して人気を得ていることから、「ハンバーガー界のスターバックス」という声もあるほど。

しかし、安全性や味を追求すれば、価格が高くなるのが必然。いったいなぜ、"手に届きやすいカジュアルな価格"が可能なのか。そして味はどうなのか。さまざまな疑問を確かめるべく、オープン前の試食会に足を運んだ。

ワインのブレンドのように、さまざまな肉の部位を混ぜる

シェイクシャック日本1号店があるのは都心の青山とはいえ、明治神宮外苑を見渡せるいちょう並木の真ん中。緑に囲まれた非常に解放感のあるロケーションで、外から見える広々としたテラス席は、いかにも気持ちよさそうだ。

まずは、同店の看板メニューである「シャックバーガー」を味わってみた。一般的にグルメバーガーは素材のよさを強調するため、肉の食感をあえて残すカットをしていることが多い。しかし同店のバーガーをひとくち食べて驚いたのは、非常になめらかで柔らかく、かつジューシーなこと。舌で押しただけで崩れるようなデリケートな食感だが、かみしめると肉汁がどっとあふれ、牛肉の豊かな香りが口の中に広がった。

メニュー開発担当のマーク・ロザッティ氏によると、同店のバーガーに使用するパティの配合は、11年前の創業当時、高級レストランのオーナーだった創業者のダニー・マイヤー氏が研究の末に編み出したものとのこと。「かんだときの食感、脂の多さ、ジューシーさ、香り、すべてのバランスをイメージ通りにするために、さまざまな部位の肉の配合を変えて試した。それはまるでワインをブレンドするような作業だった」と語る。肉は前日に挽いた新鮮なものを使用し、焼き加減も指定できる。

このバーガーのもうひとつの特徴は、バンズの厚さ。「多くのバーガーはバンズが厚すぎて肉の香りがじゃまされている。シェイクシャックでは肉の香りを阻害しない厚みを追求した」という。また同店ではジャガイモを使った「ポテトバンズ」を使用。研究を重ねたパティと同じくらいこのポテトバンズが好評とのことで、米国と同じものを使用している。

ホットドッグスタンドからスタートした同店のルーツともいえるのが、ホットドッグ。特製のソーセージとさまざまな野菜、たっぷりのレリッシュ(薬味)を具にしているため、「ソーセージを野菜畑にひきずってきたような味をイメージして作った。ひと口でソーセージとさまざまな味が体験できるホットドッグ」(マーク・ロザッティ氏)という。

ニューヨークに多いベジタリアンのために開発したのが、「シュルームバーガー」。大きなマッシュルームを横にスライスし、チーズをはさんでフライにしたものをバンズにサンドしている。かむとマッシュルームの汁とともに溶けたチーズがあふれ出て、ベジタリアンでない人にも人気のバーガーだとか。ふつうのバーガーとどちらを選ぶか迷う人が多いため、半分ずつ合体させた「シャック スタック」という商品も販売している。

コンクリートのようなアイスクリームとは

同店のもうひとつの大きな特徴は、スイーツメニューの多さだ。メニューボードを見ると、3分の1を占めているのはデザート。毎日店内で作っている濃厚な味わいの「フローズンカスタード」を中心に、それを基にしたシェイクや、さまざまな素材とミックスしたオリジナルアイス「コンクリート」などのメニューが、日替わり、週替わりでいくつも登場する。

特に注目したいのは、「コンクリート」という名のオリジナルアイス。同店で手作りしているフローズンカスタード自体がもともと、通常のアイスクリームより卵黄やバターが多く非常に濃厚。それにさまざまな素材をプラスして高速でミックスしているため、カップにみっちりつまっていて、カップを逆さにしても落ちないほど。その濃密さから「コンクリート」と名付けられたそうだ。本国でも大人気のオリジナルアイスだが、今回のオープンに合わせて日本限定メニュー4種を開発。日本限定シェイク1種と合わせて販売する。

試食したのは、日本限定の「ザ トウキョウ エディション」。チョコレートカスタード、バニラカスタードに加え、カカオニブス、黒ゴマペースト、マシュマロソースをトッピングしている。食べ始めはスプーンが重く感じるほどの濃密さで、口に入れると舌にからみつくようなねっちりした食感。食べ進むと、さまざまな味、香り、かみごたえが交錯し、「今のは何?」と追いかけているうちに、大きめのカップをぺろりと食べてしまった。カカオニブスはその栄養価の高さから、スーパーフードとしても注目されている素材で、同店の健康志向を感じさせる。カリカリとした独特の食感が楽しかった。

同社では「地元の食材をできるだけ使用する」「感性を同じくする異業種のパートナーとコラボし、新しいものを作りだす」という基本姿勢から、カカオ ニブスは、人気のチョコレートショップ「ミニマル」(渋谷)のものを使用している。本質以外を削ぎ落とした「カカオ」と「砂糖」のみのチョコレートを取り扱い、仕入れから製造まで自社工房で行っている店だという。

また同じく日本限定の「シャックアタック」というコンクリートは、NYでも日本でも大人気のベーカリー「ドミニクアンセルベーカリージャパン」とコラボレーションしている。

ボーリングレーンの廃材でテーブルを手作り

なぜこうした手の込んだメニューを手ごろな価格で提供できるのだろうか。

シェイクシャックのランディ・ガルッティCEOによると、理由のひとつが「多くの客が来るので、原材料費の比率が高めでも価格を抑えられる」ということ。また店舗づくりをする際、安い廃材をリサイクルし、スタッフが手作りしたりして、安くあげているそうだ。

東京店でも同じ雰囲気を出すために、テーブルの一部はブルックリンのボーリング場が解体されたときに出たレーンの廃材を使用。壁や床の一部は、米国で雪除けの柵として使われていた廃材を使用している。キッチン、照明もエネルギー効率を考えた設備を採用しているとのこと。

一般的なハンバーガーショップよりも高品質な商品をそろえているのは、そもそもこの店の成り立ちが深く関わっている。同店の創業者のダニー・マイヤー氏と現CEOのランディ・ガルッティはもともと、"ファインダイニング"と呼ばれる高級志向のレストランをいくつも経営している人物。ハンバーガー店なのにブルックリンのブリュワリー(ビール醸造所)とコラボした生ビールや、ワインを販売している理由も、ゆっくりとくつろいで食事をする場所であるファインダイニングの流れをくんでいるとわかると、納得だ。

米国の一号店は、じつは社会貢献活動の一環として誕生した。11年前、荒廃して人が寄り付かなくなっていたマディソン・スクエア・パークに、コミュニティを再生するために出店した小さなホットドッグカートがスタートだったという。こうした成り立ちから、メニューと同じくらい、人々が集まり親密なコミュニティが形成される雰囲気を重視しているとのこと。「一号店がそうだったように、東京店も人々が気軽に集まり、楽しめる場所にしていきたい」(ランディ・ガルッティ氏)という。

同社は「Stand For Something Good」という企業ミッションを提唱しており、「高品質な食材を使うこと」「環境に最大限配慮した店舗デザインを採用すること」「地域社会への投資と貢献」などさまざまな活動を行っている。例えば「ウォーク イン ザ パーク」の売り上げの5%は、子供たちが安心・安全に放課後をすごせる活動を行っている「放課後NPOアフタースクール」に寄付されるそうだ。こうした企業姿勢もまた、ブランドへの信頼感を高め、人気の要因となっているのではないだろうか。

(ライター 桑原恵美子)

[日経トレンディネット 2015年11月13日付の記事を再構成]

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