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大手出版4社とアニメイト タイから世界へ進出 日経エンタテインメント!

2015/11/26

海外や営業の役員が登壇。左から小学館・相賀信宏氏、KADOKAWA塚本進氏、JMA代表取締役の國枝信吾氏(アニメイト)、講談社・峰岸延也氏、集英社・隅野叙雄氏

出版大手のKADOKAWA、講談社、集英社、小学館と、アニメ・マンガ・ゲーム関連の販売で最大手のアニメイトが、合弁会社「ジャパン マンガ アライアンス」(以下、JMA)を2015年9月1日に設立した。5社がほぼ均等に出資、代表取締役はアニメイトの國枝信吾氏が務める。まずはタイ・バンコクに現地法人を立ち上げ、日本のマンガ・アニメのショップを2015年末~2016年春に出店する。

国内ではもちろんライバル同士。にもかかわらず、各社横並びでの会見は、大きくメディアの関心を呼んだ。この“奇跡的なアライアンス”は、なぜ成立したのか。

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どこが主導でもなく、「2年ぐらい前から自然と始まった」とは、KADOKAWAで海外事業局局長を務める塚本進氏。設立骨子は4つ(図参照)あるが、特に大きかったのが、「海賊版対策」だと言う。「アジアで25年以上出版ビジネスに携わってきたが、流通に注意を促し、時には弁護士も立てるなど、1社で海賊版対策を行うのは本当に大変。オールジャパンで取り組むべきだと、各社とも常々考えていた」(塚本氏)。

同様に重要なのが、「日本のマンガ・アニメファン獲得のための拠点作り」だ。「いわゆる“聖地”がないと、爆発的なヒットになりづらい」とは、JMAの代表で、アニメイトの営業・海外&通販事業を束ねる國枝氏。台湾でも実績を持つアニメイトは、今回、ショップの運営を全面的に任されている。

「ファンが喜ぶ仕掛けとして、情報発信に加え、日本と同じように、人気の声優や作家を招くなどイベントを充実させたい」(國枝氏) 

■日本のホンモノを見せる

1号店の品ぞろえは、タイ語に翻訳されたコミックやライトノベル、日本と台湾から輸入するキャラクター商品が中心。タイトルによるが、東~東南アジアの商品化の権利は台湾の映像メーカーが持っているものも多く、JMAは、それら日本の海外版権を持つ各社が使用許諾している企業から、一つひとつ許諾を得て仕入れを行っていく。

『ONE PIECE』や『名探偵コナン』をはじめ絶大な人気を誇る王道の少年マンガから、2010年代を席巻中の『進撃の巨人』といった新作、アニメやキャラクター商品で人気の『新世紀エヴァンゲリオン』など著名作はもちろん、コアファン向けのタイトルまで、幅広くタイ語化される

塚本氏と國枝氏は、経験上、「アジアで拠点を、となったときに、一番うまくいく可能性が高いのがタイだった」と明かす。 

まず、ライセンスビジネスが発達している点。「タイは台湾と似ていて出版社が10社もあり、日本の各社は、それぞれにライセンスを許諾している実績がある」(塚本氏)。

次に、日本と同様、独自な言語で守られている点。物理的に海賊版が作りにくいのだ。3番目にマーケットサイズ。人口は約6700万人。年々GNI(国民総所得)は上がり続け、現在アジアの中では、韓国・台湾に次ぐ位置につけ、日系企業の進出も順調だ。お国柄もある。例えば中国では、年々メディア、特にネットの規制が厳しくなる一方だが、タイはもちろんそんなことはない。宗教的にも寛容で、イスラム教徒が多い東南アジア諸国ではあり得ないBL(ボーイズ・ラブ)作品も、問題なく販売できる。

ショップ名は「アニメイト」。バンコク店は約200m2の予定。「1フロアで見渡せる、渋谷店に近いイメージ」(國枝氏)。最初は現地のアルバイトも含め10~15名でスタート。オープン時、商戦期など徐々に盛り上げを図る。(上写真はアニメイト渋谷の店内)

しかし、オールジャパンなら、クールジャパンを推し進める経済産業省などによるクールジャパン機構のファンドに、なぜ乗らなかったか。検討はしたが、税金が元手のためリターンが必須。一方で海賊版対策にはけっこうなお金がかかり、採算が採れるのは3~5年後と、長期的視野で見ている。資本金は自分たちでまかなえることもあり、今回は申請しなかった。

バンコク店の後は、他の大陸への展開も視野に入れている。「拠点は、アメリカ、欧州で各1カ所、アジアで2カ所と考えていた。バンコクが軌道に乗るメドが立てば、次(の店舗)へ進む」(國枝氏)。

最初は5社で始めたが、「これをベースに、門戸を開いていきたい」とも。「日本のホンモノを提示し、その良さを世界に広げていきたい」(國枝氏)。マンガ・アニメ界発の海外進出プロジェクトが、クールジャパンの突破口となるか。

(日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2015年11月号の記事を再構成]

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