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『007スペクター』 シリーズ核心に迫る3つのポイント

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 『007』の24作目が2015年12月4日に日本公開。世界中で大ヒットした前作『スカイフォール』に続く新作で、シリーズで度々登場する悪の組織が遂に復活する。ロンドンでの現地取材を基に、見どころを紹介。

『007スペクター』はダニエル・クレイグが4度目のジェームズ・ボンドを演じるシリーズ24作目だ。7月9、10日の2日間、ロンドンでマスコミ向けの共同取材会が行われた。特別映像が披露され、キャストやプロデューサーがインタビューに答えた。

現地取材でまず分かったことは、前作『スカイフォール』に引き続き監督を務めるサム・メンデスの存在感の大きさだ。『スカイフォール』は作品の評価が高く、シリーズ最大かつ全世界的なヒット作となった。

「『スカイフォール』では見事な仕事ぶりだったので、ぜひ戻ってきてほしかったが、サムは『これ以上自分なりに加えることはできない』と言って最初は躊躇(ちゅうちょ)していた。だが、彼は新たな面をもたらす方法を見つけ、監督を引き受けてくれた」(プロデューサーのマイケル・G・ウィルソン)

「『スカイフォール』で我々がやったことは、ある意味、新たな出発となった。悲しいかなジュディ(・デンチ)演じる(上司の)Mは死んでしまったが、(レイフ・ファインズ演じる)新しいMが登場するほか、(シリーズでおなじみの秘書)マネーペニー、(秘密兵器設計者)Qも加わった。新しいキャラクターが登場し、ボンドというキャラクターをさらに追求していくことができて楽しいんだ」(ダニエル・クレイグ)

現地取材でつかんだ映画の見どころは、大きく3つ。ひとつはスペクターの登場だ。シリーズで度々登場する悪の組織のボスで、クリストフ・ヴァルツが演じる。

「ダニエル・クレイグで『カジノ・ロワイヤル』を開始した頃から、『クレイグ版のボンドは彼の成長物語、(スパイの称号である)00(ダブルオー)になるまでの物語』と決めていました。Mはいたけれど、Q、マネーペニーはいなかった。その後、昔のシリーズに近いものにするために、徐々に再登場させていった。そしてスペクターです」(プロデューサーのバーバラ・ブロッコリ)

2つ目は「ボンドの少年時代の秘密を描く」ストーリー。前作で、「ボンドの両親は幼い頃に亡くなり、(スコットランドの)スカイフォールに少年時代を過ごした邸宅がある」ことが明かされた。今作では、前作で焼けた邸宅から発見された少年時代の写真に隠された謎を解き明かすため、ボンドは上司Mの制止を振り切って単独で行動する。予告編では、ヴァルツふんするスペクターのボスが「ジェームズ、よく来た。久しぶりだ」と語るシーンがある。詳細は不明だが、2人は知り合いという設定なのかもしれない。

ボンドと悪の組織が関係?

3つ目はボンドガールとのロマンス&アクション。ボンドガールは『美女と野獣』のレア・セドゥと、『マトリックス』シリーズのモニカ・ベルッチ。セドゥは『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』に登場した敵対組織の一員ミスター・ホワイトの娘、ベルッチはマフィアの未亡人にふんする。 

セドゥはアクションシーンを数多くこなし、「撮影期間が長く、スタントもこなしたので肉体的に大変でした。ロケ地のオーストリアの山の上はとても寒い一方、モロッコの砂漠では50℃の暑さの中でヒールを履いて走らなければならず難しかった」と言う。

一方のベルッチは、現在51歳。シリーズ最高齢のボンドガールとなった。 

「出演依頼があった時、サム・メンデス監督に『私は50歳なのにボンド映画で何をしたらいいの?』と聞きました。すると、監督は『ボンドが大人の女性と関係を持つことは今までなかったことだから、実現させたいんだ』と。女性に対する素晴らしいメッセージだと思います。50歳が魅力あるフェミニンな女性としてみなされたのは初めてですからね」

アクションシーンは、いつものように世界をまたにかけた壮大なスケールで展開する。映画はまずメキシコシティで、祝祭日『死者の日』の群衆のパレードで幕を開ける。オーストリア・ソルデンの山頂では雪山アクション、イタリア・ローマではカーチェイス、モロッコの砂漠、そしてロンドンが舞台となっている。 

『スペクター』は10月25日に英国などで封切られ、12月4日に日本で公開される。前作『スカイフォール』の高評価&大ヒットの後だけに、世界中で再び話題を集めそうだ。

(ライター 相良智弘)

[日経エンタテインメント! 2015年11月号の記事を再構成]

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