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自覚なくとも気管に炎症 ぜんそく予防は先手先手で

2016/1/3

日経ヘルス

 風邪の後、咳(せき)が止まらない。息をするとゼーゼー、ヒューヒュー音がして苦しい…。こんな症状に悩まされていないだろうか。ぜんそくや咳ぜんそくは女性に多く、大人になってから発症する人もいる。ぜんそくは風邪を機に悪化しやすいため、マスクや手洗いなどの予防が欠かせない。こまめな掃除もおすすめだ。
(イラスト:いい あい)

 ぜんそくや咳ぜんそくは、気道の慢性的な炎症が根本原因。たとえ発作や症状がなくても、この炎症があるため、ちょっとした刺激で発作が起こりやすい。「一番多いのは、風邪を機に悪化するケース」(東京女子医科大学第一内科学講座の玉置淳教授)。冬場は風邪やインフルエンザの本番。マスクや手洗いで予防しよう。

 ダニなどのアレルゲンにも要注意だ。「秋は夏に増殖したダニの死骸やフンが増えるため、ぜんそくが悪化しやすい。こまめな掃除を」と半蔵門病院アレルギー・呼吸器内科の灰田美知子副院長は話す。玉置教授は、「見落とされがちなのがカーテン。開け閉めの際にハウスダストが舞う。数カ月に1回は洗濯を」と注意を促す。

 自律神経の副交感神経が優位になる夜や朝方にも発作が出やすい。たばこの煙、気温や気圧の変動、月経、運動、過労、精神的ストレス、月経痛や頭痛に使う薬のアスピリンなども引き金になる。

 ただ、人によって悪化因子は違う。「自分はどんなときに悪化しやすいか把握し、セルフケアに生かすことが重要」と玉置教授は強調する。発作時に気づいたことをメモしておこう。

(イラスト:いい あい)

 また自己管理の強い味方になるのが、気道の詰まり具合を自宅で簡単に測定できるピークフローメーターだ。「自覚症状はなくても、気道がかなり狭くなっていることもある。発作の可能性をいち早く知る助けになる」(灰田副院長)。

 また、性格傾向もぜんそくと関係する。「頑張りすぎる、イヤといえないなど過剰適応タイプの人は悪化しやすい。疲れすぎから風邪などひかないように注意してほしい。時には不義理も必要です」と灰田副院長はアドバイスする。

 できるだけ速く息を吐きだしたときの「最大呼気流量」を調べる。気道が狭くなっていると、この値が低くなるので発作の予測が可能。また薬の効き目なども客観的な数値で確認できる。朝と夜の1日2回、同じ時間帯に測定を。自覚症状では分からない変化を見つけられる。

写真のミニ・ライト ピークフローメーターは英国クレメントクラーク社製。小児用もある。44×153mm、80g。4104円(税込、問い合わせ先:松吉医科器械 tel:03-5816-8819)

 ピークフローメーターの数値、吸入薬の使用、症状が出たときの気候や睡眠状態、月経、アスピリンの使用など気づいたことを記録しておくと、症状や悪化要因の把握に役立つ。記録は受診時に持参を。

■熟練患者が初心者患者をサポートする活動も

 「熟練患者認定試験」にパスした先輩患者が、闘病体験から得たぜんそくの知識や自己管理のコツを初心者患者に伝授する――。「環境汚染等から呼吸器病患者を守る会(エパレク)」(理事長は灰田副院長)では、そんなユニークな活動を展開。ぜんそくの知識普及に努めている。

http://www.eparec.org/

■この人たちに聞きました

玉置淳さん
 東京女子医科大学第一内科学講座(東京都新宿区)教授。日本呼吸器学会理事、日本アレルギー学会会長も務める。「子供も大人もぜんそくや咳ぜんそくの患者数が増えている。冬でもダニが増えるような気密性の高い住環境、欧米型の食事、感染症の減少、大気汚染などが増加の原因になっている」
灰田美知子さん
 半蔵門病院アレルギー・呼吸器内科(東京都千代田区)副院長。NPO法人「環境汚染等から呼吸器病患者を守る会(エパレク)」理事長も務める。「以前に比べて減少したとはいえ、ぜんそくで亡くなる人もいる。重症でない人も油断は禁物。薬の使い方や発作時の対処法を学んでおいてほしい」

(ライター 佐田節子、構成 黒住紗織)

[日経ヘルス2015年12月号の記事を再構成]

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