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キャリア優先で出産先延ばし 90年代就職組のジレンマ

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日経DUAL
こんにちは。女性活用ジャーナリスト・研究者の中野円佳です。1年前に『「育休世代」のジレンマ』という本を出版しました。「育休世代」というのは、2000年代に入り、大企業の新卒採用に占める総合職女性の割合がかなり増えてから入社した世代のこと。この本では制度が整って、育休や時短を取ることがある程度「当たり前」になってもなお残るジレンマを追いました。一方で、それ以前の世代には、環境が整わない中で育児と仕事の両立をしてきたパイオニアの女性たちがおり、この世代には過渡期ゆえの苦しさがあったはず。今回は1990年代に就職したワーキングマザーを集めた座談会で「育休世代より上の世代のジレンマ」に迫ります。

【座談会参加者プロフィール】

●Rさん 45歳、私立(文)卒。電機メーカー勤務。子どもは9歳と12歳

●Sさん 47歳、国立院(理)卒。大手IT企業勤務。子どもは小4

●Tさん 40歳、私立(法)卒。公益法人→私立大学院(文)→派遣・パート→現在は出版関係に勤務。子どもは3歳

●Uさん 39歳、私立(文)卒。広告会社勤務。子どもは3歳と年長

●Vさん 39歳、私立(文)卒。2回の転職後、外資金融に勤務。子どもは2歳

1990年代に入社、出産時は30代

中野円佳さん 皆さんの就職した年と、その後の簡単な経歴を教えていただけますか。

Rさん(以下、敬称略) 1992年に新卒で電機メーカーに入社し、ずっと同じ会社にいます。入社11年、33歳で第一子を産んで、1年育休を取って復職したのですが、その後夫が海外赴任になって、どうしようかなと思っていたら2人目を妊娠しました。3年の出産育児休暇に入り、夫の転勤に帯同した後、2009年に育児休暇から復職しました。子どもは9歳と12歳です。

Sさん(以下、敬称略) 94年に就職し、21年くらい大手企業にいます。プログラマー、営業、企画を全部やってきました。転勤を拒否しなかったので、母子での国内転勤を2回経験しています。引っ越すと保育園に入れず、幼稚園に入れたりしながら綱渡りで続けてきました。そこに会社の配慮は全然なかったですね。出産したのは35歳で、子どもは今、小学4年生です。介護も押し寄せてきています。

Tさん(以下、敬称略) 97年入社です。公益法人に勤めたあと、大学院に進んで2年間勉強し、派遣社員になったりアルバイトしたりという期間があってから、31歳で今の出版系の会社に入りました。子どもは36歳で産み、今3歳です。妊娠と同時に部署を異動しました。

Uさん(以下、敬称略) 98年に新卒で入社して、ずっと広告関係の仕事をしています。子どもは33歳と36歳のときに産み、今は年長と3歳です。早い時間に帰りやすい部署にいます。

Vさん(以下、敬称略) 99年就職で、その後2回転職して、今は金融の会社にいます。子どもを産んだのは37歳で、今2歳です。比較的産んだのが遅く、育休や時短など会社の制度が整ってからだったので、子どもがいることでの周りの理解がなくて苦労したということは少ないです。

中野 入社年は皆さん90年代で、産んでいる年齢は30代。就職時の状況は、92~94年と90年代後半とでは少し状況が違うかもしれませんね。

R 92年の就活はバブルのころで「楽」と言われていたけど、50社くらい受けて個人的には苦戦しました。金融や商社の一般職を受けたのですが、当時一般職で就職しようとすると、そもそも「地方出身の一人暮らしはダメ」という条件が付いていた時代です。

住居手当を出したくないとかの理由があるのかもしれませんが、会社は自宅から通うお嬢さんを採用したいわけです。そうすると、寮がある会社を探さなくては採ってもらえないと思い、メーカーの総合職を受けました。

働きやすさを選べる状況ではなかった

S 就職は国立理系だったこともあり、苦労しませんでした。友人もバブル後期で順調にいっていた印象です。ただ、雇用機会均等法の後なので、「転勤できますよね?」っていうのはついて回りましたね。就職と同時に結婚したのですが、偏見なく受け入れてもらえる代わりに「結婚しても同じ処遇をするからな」って言われて、それを信じてやってきました。同期の女性は転勤などでほとんど辞めています。

T 私は大学のゼミの先生を手伝うアルバイトから正規採用になったので、あまり就職活動をしてないんです。ただ、時期としては就職難で、女友達を見ていると10人に1人くらいしか就職できなかったイメージです。当時ちょうど派遣の仕事も出てきていて、正社員の仕事内容が厳しいところに入社して耐えられなくなり、数カ月で辞めて派遣になるっていう人も多かったような気がします。

U 私は私立文系で、まさに就職難の時期でしたね。何社も応募したし、毎日2社くらい受けていました。どうせ苦労して入るなら、総合職でずっと働きたいと思いました。一般職も試しに受けましたが、向いていなかったのか受からなかったですし。

「働きやすさ」とかは選べるような状況じゃなかったですね。今の会社も入社当初は女の先輩は少なくて、面接のときに「子どもを産んでも働きたいのですが、育休を取って働いている人はいますか」と聞いたら、「誰もいない」と言われました。でも、選べる状況じゃなかったので「先の話だし」と思って就職しました。

V 本当に就職先がなかったですね。普通、学生には就職情報誌が自宅に送られてくると思うんですけど、私立文系の女子大にいたからか、その量が半端なく少ないんですよ。当時、SE(システムエンジニア)がはやっていて、友人の大半はSEになりました。私自身はたまたま拾ってもらえたサービス業の会社に総合職で入りました。

ライフイベントといっても現実は厳しい

中野 就職時、ライフイベントについてはどのように考えていましたか。

S 私はライフイベントを考慮してくれる会社がよかったですね。公務員も志望していました。今の会社もこんなに転勤があるとは想定外でしたが、時短は入社当時からあったし、制度が整っている会社ではありました。私が35歳で使ったのが第一号で、時間通り帰れなくても誰も気にしてくれませんでしたが。

R 私はライフイベントは全く考慮してなかったです。ずっと働ける会社に就職したいとは思いましたが、結婚とか子どもとか想像がつかなくて。定年まで働きたいから、自分のやりたいことをできる会社、年を取り体力がなくなっても働けそうな会社と思って選びました。

T 最初はそういう会社のほうがいいと思っていても、あまりにも現実が厳しいと、面接を受けているうちに思わなくなるんですよね。相手の要望に合わせるっていう思考になっていく。

―― 売り手市場なのか買い手市場なのかなど、就職活動時の環境はやはり大きいと感じました。ただ、今回の参加者は今40代前後で、子どもがいながらも仕事を続けている人ばかり。いずれも当時から比較的キャリアに対する意識が高かった可能性もあり、就職時点で、『「育休世代」のジレンマ』でインタビューした人たちと決定的に意識が異なるという印象は受けませんでした。

中野 産む年齢に対する意識は、今の20代を見て違いを感じますか?

T 私は入籍したのが35歳で、そこからすぐに妊娠して36歳で出産でした。私は結婚とかに対してビジョンがなかったですが、今の若い世代は早めに考えていますよね。女性の数が増えてくれば、会社の対応も変わってくることもあるのかな、とは思います。

U 私は33歳で産んだのですが、自分のときは先人が誰もいなかったので、「産んだら終わりだな」って思ってその先が見えなかった。いつかは産みたいって思ってたけど、この生活がどう変わっちゃうんだろうって想像がつかなくて、ずるずる先延ばししていました。

でも両親のプレッシャーがあったり、不妊治療していた妹から「30を超えると妊娠しにくくなる」と言われたりして、えいやーで産みました。会社の制度が整っていなかったので、同世代には若くして産んで仕事を続けている人は少なくて、やはり30代で産んでる人が多いです。今の若い子たちは、そこまでの覚悟というか葛藤はないような気がします。下の世代は、もう復帰してる先輩も多いし、割と気軽に若くして産むなって。

中野 それは上の世代から見ててどうなんですか。

一同 羨ましい。

U 私は、「この仕事が終わってからにしよう」とか「保育園に入れないと困るから、妊娠するタイミングが早生まれにならないようにしよう」とか色々考えていたので、「でき婚でーす」みたいな気軽な感じで産める下の世代はいいなと思います。

人には「早く産んだほうがいい」とアドバイス

R 今40代で産んでいる人もいますが、体力的なことを考えるとやはり推奨できないですよね。産後を考えると。

V 私は37歳で出産。やっぱり産後つらかったので、もっと早いほうがいいとは思います。私もキャリア優先だったので、「転職してすぐには子どもは産めない」とか、30代になると仕事も面白くなってきたりして、先延ばししてましたね。35歳になると、親から「そろそろ結婚して子ども産んで」とか「大変になるわよ」って言われるようになりました。それでも「自分が認識している体力と年齢は若いはず」と過信していました。産後を考えたりすると、人には「早いほうが絶対いい」と伝えています。

S 私は結婚は早かったのですが、仕事もしたいしキャリアを積んでおきたいっていうのは明確に思っていて、先延ばししていました。周りの男性社員が「妻の妊娠が大変だった」とかで「早く産んだほうがいいよ」などと言ってくるんですけど「あーうざいな」って思ってましたね。大きなプロジェクトを任されると納期があって、「これが終わったら、これが終わったら」と延ばしていて。

33歳くらいで、そろそろ子どもをつくらなきゃと思ったらなかなかできなくて、そこから不妊治療をして35歳で産んだんですよ。33歳のときに病院で「もう遅いよ」「卵子が老化しちゃってるから、だめかもよ」って言われて。あれ、すごくきついんですよ。何歳でも産めると思うのは、高度医療に頼ることになるので危険です。

R たまたま芸能人で産んだ人とかがいると「高齢でも産める」と思ってしまいますが、その陰にはたくさん苦しんでいる人がいるんですよね。「私も大丈夫」と思わないほうがいいかも。

―― 第一子出産年齢は33~37歳だったという今回の参加者たち。すごく遅いという印象も受けませんが、キャリアを優先してきたことによって出産を先延ばしした結果、その年齢になったという語りが多く、一方で不妊の可能性、産後の大変さなどから「早いほうがいい」という意見では一致。今は20代でも産みやすくなっているのであれば、世の中はいい方向に変わっているような気がしました。

中野円佳
女性活用ジャーナリスト/研究者(ChangeWAVE)。1984年生まれ。2007年東京大学教育学部卒、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。14年、育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科に提出した修士論文を『「育休世代」のジレンマ』(光文社)として出版。育休復帰後に働き方、女性活躍推進、ダイバーシティなどの取材を経て、15年4月より企業変革パートナーの株式会社ChangeWAVEに参画。東京大学大学院に通うかたわら、ダイバーシティ推進パートナー事業で発信・研究などを手掛ける。

[日経DUAL 2015年9月28日付記事を再構成]

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