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長寿化時代の年金 働き方やもらい方で受給額に差

2015/11/7

長寿化が進むなか、老後資金の大きなよりどころは公的年金。伸びが物価や賃金の伸びを下回る「実質目減り」時代でも、自分の工夫次第で受け取る年金を増やすことができる。パートの主婦や60歳定年を迎えた会社員の働き方、受給開始時期の繰り下げなどでどれだけ増えるかをケース別にみてみよう。

「あの選択は正しかったのかな」。こう振り返るのは都内に住むA美さん(43)。パートでプロダクション会社に勤務し、イベントの司会をしている。現在の年収は125万円ほど。2年前に別の会社から正社員として入社を打診された。週4日勤務で年収は約140万円、厚生年金に加入するという条件だったが、「収入は上がっても手取りは下がりそうなので断った」と話す。

■手取り減少分補う

気にしたのはいわゆる「130万円の壁」だ。130万円以上になると夫の扶養からはずれ、社会保険料を自分で払うことになる。確かにA美さんの場合は年収が140万円へ15万円増えるのに、年間の手取りは厚生年金保険料や健康保険料の支払いなどで約5万円下がる。

しかしA美さんは「将来厚生年金が増えるのを考えれば、プラスだったのでは」と思い始めている。140万円の収入で厚生年金に10年間加入した場合を大まかに試算すると、65歳以降の年金は扶養のまま老齢基礎年金だけをもらうのに比べ年に約7万8000円増える。手取り減の10年分は50万円なので、これを毎年の増加年金額で割ると6.4年。65歳から6.4年以上生きれば、年金増額が手取り減を上回る計算だ。

厚生労働省によると65歳の女性の平均余命は24年(2014年)。年々伸びているので、計算上は130万円の壁を超えて働いた方が有利だ。

勤務時間によっては130万円以上でも厚生年金に加入できないケースもあり、その場合は年金は増えない。しかし「厚生年金に加入できれば状況次第で障害年金も多く給付されるなど、老後の年金以外にもメリットは大きい」(社会保険労務士の小野猛氏)。16年からはパートの厚生年金の適用基準が緩和され、加入しやすくなる。

厚生年金に加入して働くと年金が増えるのは、60歳以降も働く会社員にも当てはまる。現役時代の収入や60歳以降の月収でも変わるが、例えば大卒後60歳まで38年間、平均年収が500万円だった人が60歳から年収200万円で5年間働くと、65歳以降の年金は年約10万円増える。年収が100万円多くなるごとに、年金はさらに年3万円弱ずつ増えていく。「老後もできるだけたくさん働くことが、老後資金を枯渇させないために大事」(小野氏)

現役時代の平均年収が1000万円を超えるような高額所得者は、厚生年金の年額が年収に比例して増えるわけではない。厚生年金は月収(賞与含まず)なら62万円を上限として計算するためだ。「高額所得者は現役時代に余裕のある暮らしをしていることが多く、年金受給開始後は生活のスリム化に苦労することが多いので要注意」(社労士の井戸美枝氏)だ。

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