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電車内の携帯マナー、なぜ「電源オフ」を緩和?

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

10月1日からJR東日本や関東、甲信越、東北の私鉄、地下鉄など計37事業者が列車内の優先席付近で携帯電話の電源を切るように求めていたマナーを緩和し、「混雑時」だけに限定するようになったのをご存じだろうか?

10月1日から関東・甲信越・東北で、優先席での電源オフは「混雑時」のみに

携帯電話や心臓ペースメーカーなどの技術進歩で電波による医療機器への悪影響が出にくいようになってきたことに加えて、スマートフォンの普及で通話だけでなくてインターネットの利用が増えてきている実情にも対応するのが狙いだという。

JR西日本など関西の25事業者については昨年7月1日からすでに先行して同じマナー変更を実施しており、関東、甲信越、東北の37事業者が1年3カ月遅れて追随した格好。ただ、それ以外の地域の北海道、中京、四国、九州などでは「検討事項だが、様子を見極めている」(JR東海)という状態。全国レベルでの足並みはまだそろっていない。

今回の携帯電話マナーの変更の背景には何があるのかを探ってみた。

後を絶たない優先席付近でのトラブル、スマホ・タブレット使用で

●今年6月――「優先席でタブレットをいじるな!」。JR京浜東北線を走行中の電車内の優先席で男性(70歳代)が隣に座ってタブレット端末を使っていた男性会社役員の肩を殴って怒鳴り、刃渡り約17センチの包丁を突き付ける事件が発生した。70歳代の男性は非番でたまたま列車に乗り合わせていた警官に銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された。

●昨年12月――「電車を降りろ!」。相鉄線を走行中の電車内で男性(60歳代)が優先席でスマートフォンを操作していた若い女性に突然、罵声を浴びせかけ、列車の運行を妨害する事件が発生した。この男性は同様のトラブルを昨年4月から計39回繰り返しており、威力業務妨害容疑で逮捕された。

電車内の優先席付近での携帯電話の使用を巡るトラブルが後を絶たない。列車が緊急停止し、乗客が逃げ惑うような大きな騒ぎはもちろん、「客同士の小競り合いも少なくない」(鉄道関係者)という。

トラブルの発端になっているのは「優先席付近では、携帯電話の電源をお切りください」と定めた統一ルール。そもそも「携帯電話が発する電波がペースメーカーなどに干渉して脈を乱す可能性がある」として2003年に首都圏の17社がこの統一ルールを採用。翌年には関西にも広がり、全国に普及した。先に挙げた2つのトラブルは、この統一ルールが原因で起きたものだ。

状況を変えた2G終了、シールド性能向上も背景

だが、携帯電話の使用環境は大きく変わった。

まず2012年7月に第2世代(2G)の携帯電話サービスが完全に終了し、第3世代(3G)の携帯電話サービスに移行した。電波法の技術基準によると、最大出力は2Gが800ミリワット、3Gが250ミリワット。「3Gの方が2Gよりも電波の出力が3分の1以下でかなり弱い」(総務省電波部)という。

さらに(1)ペースメーカーなどの医療機器も技術進化で電波の影響を減じるシールド性能が向上、(2)ペースメーカーなど医療機器の素材や回路が耐干渉電波仕様に移行――などの理由から、誤動作を起こす恐れが大きく軽減したと考えられている。またスマートフォンの普及で通話やメールだけでなく、インターネット検索に時間を費やす利用者も大幅に増えてきた。

このため「従来の統一ルールは利用実態に合っていないのではないか」と是正を求める声が徐々に強まってきたのだ。

総務省が指針改正、京阪電鉄→関西→関東・甲信越・東北とマナー変更

こうした情勢を踏まえ、総務省は2013年1月に携帯電話とペースメーカーの離すべき距離の指針を「22センチ程度以上」から「15センチ程度以上」へと緩和した。実測調査では「携帯電話がペースメーカーから3センチ以上離れていれば、誤動作は認められなかった」という。

これに真っ先に反応したのが京阪電鉄だった。2013年3月16日に「優先座席付近では混雑時のみ電源オフ」というルールの緩和に踏み切ったのだ。「顧客の利便性を優先し、マナーを携帯電話の利用実態に合わせた」(京阪電鉄)という。

さらに翌年の2014年7月1日からは関西の25事業者が足並みをそろえ、今回の関東、甲信越、東北の37事業者にまで広がってきたというわけ。関西勢が先行したのは「首都圏の方が列車内の混雑がより激しい」(鉄道関係者)という事情も影響したようだ。

マナー緩和について、ペースメーカーの利用者団体や医療関係者の間では「これまでのような厳しすぎるルールは実情に合っていない。ペースメーカー利用者の不安もあおりかねないので緩和するのは望ましいこと」と歓迎するムードが強い。

JR東日本などによると「優先席でもスマートフォンでメールやニュースなどインターネットを通じて必要情報はチェックしたい」という乗客の意見が多く、「電源オフ」を呼び掛けてもあまり守られていないのが現実だという。「マナーを実態に合わせて緩和すれば、暴力がらみのトラブルの発生も軽減できる」とプラス効果を期待している。

北海道、中京、四国、九州ではまちまち、全国の対応はまだら模様

ただ北海道、中京、四国、九州など残った地域の鉄道会社の反応はまちまち。

「新マナー導入後の動向を注視している。他社との路線乗り入れの部分もあり、必要ならばマナー変更を検討したい」(JR九州)、「混雑時のみ電源オフというマナー変更は検討課題」(JR東海)などとりあえずは様子見という姿勢が多い。

一方、「乗客にはむしろ優先席での電源オフを徹底しろという声も根強い」(札幌市交通局)という意見もあり、地域差はまだ大きい。このため、全国レベルでは"まだら模様"の対応になっている。

影響調査について、総務省は携帯電話の電波を最大出力で継続的に発射し、医療機器の感度を最大にするなど「極めて厳しい条件」で実施しており、2015年8月にはあえて指針に「一般生活において調査条件と同様の状況となる可能性は非常に低く、調査において影響が確認された距離まで電波利用機器が近接したとして、実際に影響が発生するとは限りません」などの文言を追加した。

影響調査の「極めて厳しい条件」を社会に改めて周知し、ペースメーカーの利用者に過度の不安を抱かせないように配慮したためだ。

実態に合わない厳しいマナーを無理に呼び掛けるよりも、「最新のニュースをスマートフォンで常に入手できるようにした方が乗客の安全性や利便性を担保することになる」などマナー変更のメリットを強調する声は少なくない。

「混雑時」の定義が曖昧? トラブルを起こす恐れも……

ただ、解釈がなお曖昧なのが「混雑時」の定義。関東、甲信越、東北の37事業者によると、「混雑時」とは「お客さまの体同士が触れ合う程度」としているが、状況次第では解釈が分かれることもありえる。それが原因で新たなトラブルが発生する恐れもないわけではない。

さらに「ペースメーカーが完全に誤動作を起こさないわけではないだろう」として不安を抱くペースメーカー使用者もまだいる。

携帯電話の技術・サービスの進化、利用形態などのライフスタイルは我々の予想以上に速いペースで変化している。「電車内での携帯電話マナー」は大きな過渡期に差し掛かっているといえそうだ。

なぜ「田中さん」は西日本に多いのか (日経プレミアシリーズ)

著者:小林 明
出版:日本経済新聞出版社
価格:918円(税込み)

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