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動物の楽園になった世界の立入禁止区域5カ所

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ナショナルジオグラフィック日本版

戦争、原発事故、そして貧困が生み出すものはほとんど悲劇でしかないが、時に人間にとっての大惨事が野生の動物に繁栄をもたらすことがある。ゲリラ戦、放射能や化学兵器による汚染で、人間が住むことができなくなってしまったところに、今は野生生物が戻ってきて、急速な勢いで数を増やしている土地が世界各地にあるのだ。

ウクライナ、チェルノブイリ原発立入禁止区域:原発事故

英国ポーツマス大学の地球・環境科学教授で、チェルノブイリ原発周辺の野生生物を調査する環境科学者ジム・スミス氏は、2015年10月12日に最新の調査結果を発表し、30年近く人間の手が入らなかったチェルノブイリ原発周辺の危険地帯に、動植物がすんでいる現状を報告した。

1986年、ベラルーシとの国境に近いウクライナでチェルノブイリ原子力発電所が事故を起こし、4100平方キロの土地から11万6000人が避難を余儀なくされた。スミス氏によると、この事故で立入禁止区域に指定された土地に、現在はオオカミ、ヘラジカ、イノシシ、クマ、オオヤマネコ、シカ、その他多くの動物たちがすみ着いているという。「人間がいなくなると、自然界が繁栄します。世界最悪の原発事故の後でさえそうなのです」と、スミス氏は言う。

ほぼ無人となった避難区域は期せずして野生生物の楽園へと変わり、希少なヨーロッパオオヤマネコや、この付近でほぼ1世紀近く見ることのなかったヨーロッパヒグマなどの大型の草食動物や肉食動物も多く確認された。

モウコノウマや、この地へ導入された絶滅危惧種のヨーロッパバイソンも数を増やし、オオカミの数は放射能汚染のない同様の保護区と比較して7倍にも上る。スミス氏は続ける。「放射能レベルが動物たちにとって安全であるというわけではありません。彼らのDNAが損傷を受けていることは確実ですが、土地開発や人間が居住することのほうが、野生生物にとっては脅威であるということです」

朝鮮半島、非武装中立地帯:軍事境界線

世界で最も武装化された国境は、南北朝鮮を隔てる長さ249キロ、幅4キロの「非武装中立地帯」である。その内部には地雷が点在し、掩蔽壕(えんぺいごう)、塹壕(ざんごう)、塀、ゲート、有刺鉄線、さらには数千もの兵士が周囲を取り囲む。しかし、そこには驚くほど多種多様な絶滅危惧種が生息しているという。

「自然公園」と化した土地は、ニューヨーク市の面積をわずかに上回る広さで、沼地、山、平原、潮汐(ちょうせき)湿地、湖、海岸が広がり、希少なタンチョウやマナヅル、ツキノワグマのすみかとなっている。非武装地帯のすぐ外の民間人統制区域にも、希少なアムールヒョウやシベリアトラがいると考えられている。

北朝鮮と韓国の間に緊張が続く限り、ここは野生生物にとって安全な生息地として残されるだろう。

コロンビアとパナマ、ダリエン地峡:ゲリラの領域

北は米国アラスカ州プルドーベイから南はアルゼンチンの最南端ウシュアイアまでをつなぐ全長数万キロのパンアメリカンハイウェイは、途中パナマとコロンビアの国境約80キロの区間のみ道が途切れ、人を寄せ付けない熱帯雨林や沼地、山に覆われている。

中央政府の権力が弱いため道は整備されておらず、コロンビア政府に抵抗するゲリラ軍をはじめ、麻薬密売人や放浪者の温床となっているのだ。しかしここは同時に、ユネスコ世界遺産にも登録されているパナマ・ダリエン国立公園に指定され、広さ5750平方キロの園内にはブラウンクモザルやヒワコンゴウインコ、ジャガー、オウギワシなど多くの絶滅危惧種が生息している。

環境保護団体「パナマ・ワイルドライフ・コンサベーション」で保全プログラムのアドバイザーを務めるリカルド・コレア博士は「道路が完成されていないことがかえって良かったのでしょう」と語る。「ゲリラや貧困が開発の妨げになっているのは確かですが、それによって地域の生物多様性が保たれているのです」

ヨーロッパ、鉄のカーテン:壁の崩壊

朝鮮半島の非武装中立地帯と違って、ベルリンの壁と鉄のカーテンはとうの昔に崩壊した。全長1万2500キロ、欧州最北端から地中海まで24カ国を通るグリーンベルトは、かつては東西ヨーロッパを隔てる死の境界線であったが、今では豊かな自然が広がり、絶滅危惧種を含む約1200種の動植物が生息している。

「比較的狭い土地ですが、大変貴重な土地でもあります」と語るのは、ドイツの環境保護団体「BUND」の副代表であり、中央ヨーロッパ・グリーンベルトの地域コーディネーターでもあるメラニー・クロイツ氏だ。「ここからわずか数キロ離れたところにはいない生物が、ここで確認されています」

米コロラド州、ロッキーマウンテン・アーセナル国立野生生物保護区:有害な過去

デンバーのダウンタウンにそびえる高層ビルを背景に、クロアシイタチやアメリカバイソンなど330種以上が、ここロッキーマウンテン・アーセナル国立野生生物保護区に生い茂る丈の短い草の間を行き来している。第2次世界大戦当時は化学兵器製造施設があったが、現在は保護区となった65平方キロの平原地帯は、プレーリードッグ、ハクトウワシ、コヨーテ、シカ、その他様々な鳥や植物のすみかとなっている。

「戦時中はフェンスで囲まれ、中にいたシカの群れやコヨーテはそのままここにすみ着いて、子孫を残してきました」保護区で10年以上管理官として働くエドワード・タグリエンテ氏は言う。「野生生物が減少している最大の原因は、生息地の消失です。農業、採鉱、都市開発、さらには化学兵器製造といった人間の活動が、彼らのすみかを破壊しているのです」

(文 John Wendle、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年10月15日付]

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