ツイード姿で駆け抜けろ 英発祥の自転車イベント
10月中旬。表参道や渋谷など東京の目抜き通りを、ツイード姿の男女が自転車で駆け抜けた。速さを競うわけではなく、各自がお気に入りの服と愛車で楽しみながら街を走るというのが趣旨。ファッション業界などが催した「ツイードラン」と呼ぶイベントで、ビンテージファッションや自転車の愛好家の間でじわり人気が広がっている。
イベント当日の朝8時過ぎ。東京・代官山のスタート地点には全身ツイード姿の約150人が集まった。例えばある男性の場合、上半身はハンチング帽にツイードのベストとジャケット、襟元にはボウタイ。下半身はニッカーボッカーにブーツ――といった具合だ。
「ツイードラン」はツイードの本場である英国で2009年に始まり、米ニューヨークや伊フィレンツェなどにも拡大。日本版は3年前に始まり、協賛企業には三越伊勢丹や繊維メーカーなどが名を連ね、ツイード消費をもり立てることを狙う。
日本に招致したユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文氏は、「ファッション小売業は洋服を着ていく場所の提供まで十分にできていない。パーティーのようにかしこまらず、気楽に楽しみながらおしゃれをできる自転車レースという形はそうした場としてすごくリアル」と語る。
今年は初めて、毛織物産地として知られる愛知県一宮市を中心とする「尾州(びしゅう)」で11月初旬に開催する。尾州には100年以上の歴史を持つ老舗や、海外有名ブランドと取引がある作り手も少なくないというが、国内での認知度は高くはない。「『メード・イン・ジャパン』を見直して頂くためにもよい機会となる」と栗野氏。
国内アパレル市場は縮小局面から脱し、横ばいから微増で推移している。ファッションにエンターテインメント性をからめたこうしたイベントは、新たな消費を掘り起こすひとつの手掛かりになるかもしれない。
(映像報道部 杉本晶子)
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