ママ層、マニア層に人気 座席指定できる映画前売券日経エンタテインメント!

映画『ジュラシック・ワールド』が興収90億円を突破。その他、『ミニオンズ』(51億円)など、2015年の映画界ではヒットが相次いでいる。年末には『スターウォーズ/フォースの覚醒』の公開も控え、下半期の映画館は混雑が続きそうだ。

ここ数年、『風立ちぬ』(13年)や『アナと雪の女王』(14年)と興収100億円突破の大ヒット作が相次いだこともあり、動員数、スクリーン数が増加。そして今、この盛り上がりを追い風に、さらに動員を増やすべく、劇場で便利なサービスが拡大している。ネットで購入・座席予約ができる電子前売り券「ムビチケ」だ。KADOKAWAグループのエイガウォーカーが運営している。

以前から、映画の前売り券は劇場やコンビニなどで販売されてきた。通常の入場料金より価格が安いため、人数の多い家族連れや若者、映画ファンなどに多く利用されている。しかし、映画公開後に劇場の窓口やオンラインシステムで購入する入場券は座席指定ができたが、前売り券を公開前に買っても、公開後に劇場に行かないと席は指定できなかった。

写真はムビチケのトップ画面 http://www.movieticket.jp/

「周りに迷惑にならないところに座りたい子ども連れのお母さんなどに、お得な前売り券でも座席指定を、というニーズがあった」(エイガウォーカー取締役の高須正道氏、以下同)ため、11年にサービスを開始。前売り券で唯一、映画の公開前に映画館の座席の指定が可能になった。

価格も従来の前売り券と同じで、当日券より最大400円安い。8月4日に業界大手・イオンシネマでの窓口・オンライン両方での利用が可能になったことで、全国のシネコンの96.4%(319館)にまで普及した。

前述の母親層のほか、現在、ムビチケの利用者の過半数が“お得なサービス”に敏感な女性。全体の8割がスマホからアクセスしている。「音楽のライブや演劇などでは、事前のチケット購入が主流で、スマホを使った電子チケットも普及しているので、映画でも前売り電子チケットのさらなる利用拡大は見込める。座席指定が出来て当日料金よりお得な前売り券は日本の映画界にしかない便利なサービス」。

コレクターズアイテムに

裏面記載の購入番号と暗証番号で座席予約できる

もともと、前売り券は映画の公開前から劇場や店舗で販売されるため、売り場にポスターが張られるなど、映画のプロモーションに一役買うアイテムだ。そこで、各配給会社から、ムビチケがプロモーション、そして動員拡大の一助になると見込まれているのがコレクターズアイテムとしての活用だ。ムビチケには、ネットから電子決済で購入・座席指定ができるチケットレスサービス以外に、カードを購入する形態がある。店舗でプリペイドカードを購入して、好きな映画に利用できる「ムビチケオンラインGIFTカード」と、特定の作品の鑑賞用に、キャラクターなどが印刷された「ムビチケカード」の2形態だ。

ムビチケカードは、鑑賞後はカードを手元に取っておくことができるため、コレクション目的で、同作品の絵柄の異なるカードを重複して購入し、リピート鑑賞するファンが見込める。そこで各配給会社も、アメコミやアニメ、アイドル映画など、マニア層に訴求力が強い作品では複数のカードを発売している。『ファンタスティック・フォー』(公開中)では4種類(写真)のカードが売り出された。「スクラッチ面をカードより大きなグッズに印刷すれば、写真も大きくなり、よりコレクター性を高めることも可能です」。

普及目覚しいスマホと、グッズ性をうまく取り入れた電子前売り券の拡大に今後も注目だ。

『ファンタスティック・フォー』(全国公開中/20世紀フォックス映画配給)のムビチケカード。絵柄は右から、インビジブル・ウーマン、Mr.ファンタスティック、ヒューマン・トーチ、ザ・シング

(日経エンタテインメント! 白倉資大)

[日経エンタテインメント! 2015年10月号の記事を再構成]

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