はり・マッサージ、健康保険が使えるケースは

日経ウーマンオンライン

腰痛などで、はり・きゅうやマッサージを受けるという方は多いでしょう。これらの施術は、場合によっては健康保険が使えることがあります。保険適用の条件と注意点を知っておきましょう。
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整骨院・接骨院で健康保険が使える場合

街の整骨院や接骨院などで「健康保険が使えます」といった看板などを目にしたことはありませんか。 柔道整復師(整骨院や接骨院)にかかるとき、健康保険が「使える場合」と「使えない場合」があります。どこに違いがあるか、確認してみましょう。

日常生活やスポーツで捻挫や負傷をしたとき、あるいは同じ動作の繰り返しや間違った動作によって負傷したときなど、ケガや原因のある痛みについては健康保険が使え、「療養費」を受けることができます。

具体的には外傷性の打撲や捻挫、骨折、脱臼、挫傷(肉ばなれ)が対象となりますが、骨折と脱臼については、応急処置を除いて医師の同意が必要です。

一方、日常生活での単なる肩こりや筋肉疲労、体調不良などや、病気(神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなど)からくる痛みやこり、過去の交通事故等による後遺症は対象となりません。

整骨院や接骨院へ行く際は、何が原因で負傷したのかをきちんと話すことが大切です。仕事中や通勤途上に起きた負傷も健康保険の対象となりません。この場合は労災保険の対象となります。

はり・きゅうで健康保険が使えるのは6つの疾患だけ

神経痛などの慢性病であって、医療機関において治療を行ったものの効果が現れなかった場合や、医師による適当な治療手段が見当たらない場合、はり師やきゅう師による施術を受けることについて医師が必要と認め同意があるときは、健康保険から「療養費」を受けることが可能です。

療養費の対象となるのは、次の6つの疾患に限られています。ただし、神経痛やリウマチなどと同じカテゴリーと認められる疾患についても療養費の対象となる場合があります。


はり・きゅうの施術で療養費の対象となるのは、医師による適当な治療手段がない場合です。そのため、はり・きゅうを受けながら、並行して他の病院で同じ傷病の診療を受けた場合は健康保険扱いとはなりません。また、健康保険を使って継続してはり・きゅうの施術を受けるには、3カ月ごとに医師の同意が必要です。

マッサージは施術者の資格を確認して

医師による理学療法の代替的な治療手段として、症状改善のために「あん摩マッサージ指圧師」の施術を受けることを医師が必要と認め、同意した場合に、健康保険から「療養費」を受けることができます。

対象となるのは、国家資格を持ったあん摩マッサージ指圧師が、制限されている関節可動域の拡大と筋力増強を促し、症状の改善を目的として行う医療マッサージです。したがって、単なる疲労回復や疾病予防は対象となりません。また整体やカイロプラクティックなど、民間資格者による施術は健康保険が使えません。

マッサージの施術を療養費として請求する場合、初回申請に医師の同意書が必要になります。さらに、継続して給付を受けるには3カ月ごとに医師の同意が必要となります。

注意したいのは、同じ国家資格であっても柔道整復師、はり師、きゅう師がマッサージを行った場合は、健康保険の対象とならないこと。マッサージで健康保険が使えるのは、あんまマッサージ指圧師(国家資格者)のみですので、施術者が適切な資格を持っているか確認しましょう。

領収書の保管も忘れずに

柔道整復師、はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師から健康保険による施術を受けた場合、本来は窓口で費用の全額を支払った後に、「療養費」を請求して支給を受けることが原則です。

しかし、本人が一部負担金を窓口で支払い、残りの費用を柔道整復師などの施術者が健康保険組合に請求する「受領委任払い制度」という方法が認められている場合があります(健康保険組合によって取り扱いが異なります)。

受領委任払い制度を利用した請求においては、誤った請求が不正受給だとして問題になる場合がときどきあります。こうしたトラブルを防ぐためにも、受領委任払い制度を利用するときは必ず施術内容(傷病名、施術日、施術回数、金額等)を確認したうえで、自分で委任欄に署名・押印をするようにしましょう。

また、施術を受けたら必ず領収証を受け取ってください。こうした領収書は税務上の医療費控除を受ける際に必要となりますので、大切に保管しておきましょう。

佐佐木由美子(ささき・ゆみこ)
 社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。平成17年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、「働く女性のためのグレース・プロジェクト」でサロンを主宰。著書に『知らないともらえないお金の話』(実業之日本社)をはじめ、新聞・雑誌、ラジオ等多方面で活躍。

[nikkei WOMAN Online 2015年10月13日付記事を再構成]