アラフィフ45歳 定年までの収支を先読み「5」の年齢で人生とお金を考える(3)

60歳までに重要なのは「稼ぐ額を増やす」努力と同時に「ためる額を増やす」意識を高めることです。そうしなければお金は右から左に流れていく15年を過ごすことになってしまいます。

仮に年収が現状維持のままでも、節約さえ成功すればためる額は増やすことができます。「稼ぎを増やす」と「出費を減らす」の2方面から、ためる額を増やす方法を考えてみましょう。

今ある資産額に、残り15年でためられる貯金額を合計したものが60歳時点での資産額、ということになります。

現状想定される債務への対応状況を整理する

さて、60歳までの「想定貯金額」がどれだけ高額であっても、全額が残るわけではありません。60歳までにかかる「想定出費」も考え合わせる必要があります。

仮に日常生活のコストが変わらないとすれば、新たに生じる費用がこの想定貯金額を減額させていくことになります。たとえば

・子の進学費用(予備校や塾の費用、受験費、入学金、学費などが生じることになる)

・定年時点で返済が終わっていない住宅ローン残高(今返済中のローンは60歳までの収支にすでに織り込まれているので、60歳時点の残債を考えてみる)

などがライフイベント上大きな出費です。45歳時点でまだ高校や大学に進学していない子どもがいれば、ひとりあたま「900万円前後」を、60歳時点で返済が終わらない住宅ローンについては「60歳時点での借入残高」を想定貯蓄額から引き算します。

ほとんどの場合、たくさんためる努力をしているつもりが、残り15年のうちに教育資金や住宅ローンに消えていき、老後に残せないことでしょう。ほとんど老後に残せないという事実にがくぜんとします。

もし、ここで赤字になる、ということは退職金にツケを送ってなんとかする、ということですし、その赤字が1000万円以上であれば、退職金でも返し終わらないリスクがある、ということです。

しかし、ここまで数字が概算できると話は簡単です。とにかく赤字にはしない工夫を考えてみるのです。もう一度振り返ってみて生涯獲得賃金をアップする方策を再検討したり、60歳までの貯蓄額をアップさせるための節約を考えてみることになります。

できる限り退職金には手をつけず、セカンドライフに入ることが大切です。「45歳から60歳になるまでの15年の収支」を大まかにつかんでみることをオススメします。

45歳は老後に向けて行動を起こす良いタイミング

本日紹介したような人生の収支を概算してみると、たいていは厳しいシミュレーション結果になりますので、結果が悪い試算になってもあまりおびえる必要はありません。

むしろ危機意識が具体的になったほうが、なんとなくアラフィフを過ごす10年より格段によい10年を過ごすことができることでしょう。もちろん、60歳時点の自分の財政が好転するよう有意義な時間とすることが前提です。

45歳というのは「60歳までのお金の問題整理に使う15年」という時間を得られることと「60歳以降のお金の問題整理に使う15年」という時間を確保できることの両面で良いタイミングにあります。

50歳や55歳ではお金をためたり、節約をするとしても、できる選択肢が少なくなっていきます。

ぜひ「45歳」で意識を高め行動をスタートさせていきましょう。「50歳」になったとき、余裕をもって残りの10年のハンドリングができるはずです。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『20代から読んでおきたい お金のトリセツ!』(日本経済新聞出版社)。twitterでも2年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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著者:山崎俊輔
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