「ありえない」、イラッときたらそれはチャンス

日経ウーマンオンライン

こんにちは。Before 9(ビフォア・ナイン)プロジェクト主宰/CONECTA代表、池田千恵です。「普通そうでしょ?」「ありえない!」などと、イラッとしたり、もやもや悩んでしまったとき。実は、ネガティブな感情を生きる知恵に転換できる大きなチャンスかもしれません。
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「ありえない」とイラっときたら、むしろチャンスかも

・ 上司が自分の仕事ぶりについて評価してくれない。

・ 家族が自分の夢に理解を示してくれない。

・ 進めたいプロジェクトがあるのに、周りが協力してくれなくて自分にばかり負担がかかっている。

などなど、もやもや悩んでしまうこと、多々ありますよね。私ももちろんありましたし、今でも時々あります。

でも、わかってもらおうという努力もせず「わかってくれる人はわかってくれている」と自分を慰めたり、「私のことをわかってくれない」とがっかりするのは、もしかしたら傲慢なのでは? と気付いてから、わかってもらえるように伝え方を工夫したり、考えをまとめるためにひとり時間をつくり、気持ちを集中することができるようになりました。

なぜ説明なしにわかってもらおうとすることが傲慢かというと、あなたの「普通」は誰かの「普通」とは限らないからです。

「普通」わかってくれるでしょ?

「普通」このくらい配慮してくれるでしょ?

「ありえない!」

つい口にしてしまいそうになる「普通」は、自分自身が長年培ってきた経験をもとにした、あなたにとっての「普通」であって、それがそのまま他の人に当てはまるかは分からないものだからです。みんな、生きてきた歴史が違えば価値観も違うのですから。

「あの人って気が利かない」と思ったら、あなたの「気が利く感度」は高い

例えば「気が利く」という言葉を例にしてみます。

「あの人ってホント気が利かないよね」
「どうしてあの後輩は、いちいち説明がないと仕事ができないのだろう。もっと察して気を利かせてほしい」

などとイラっとするとき、捉えようによってはあなたの「気が利く感度」は高いとも言えます。なぜなら、「気が利かない」と言われてしまう人は、「気が利く」というものがどういう状態かを理解していない可能性があるからです。

実は私も「気が利かない子」だったからよくわかります。小さい頃から、全体の動きをみて、自分がどう動けば最適かがよくわかりませんでした。親からも「気が利かない」と言われて育ちましたが、そもそも「気が利く」ってどういうことを指すかがわかりませんでした。なぜなら、親がものすごく「気が利く」人だったから、親も「普通そうでしょ」としか言えなかったからです。

今でもそうなのですが、私は飲み会の席で私の前に取り分けるお皿があっても、それをこのタイミングで皆に取り分けていいものかどうか、どうやったらスムーズかが未だにわからず、あえて放置してしまうことがあります。変なタイミングで取り分けて他の人に迷惑がかかってしまうのではないか、ステキ女子アピールしているようで、なんだか気持ち悪いかも、などといろいろ余計なことを考えると怖くなり、だったら何もしないほうがいいや、となってしまうのです。

自然にお皿に取り分けている人には「そんなこと考えたこともなかった」と笑われることが多いですが、このように人によって「普通」の定義は全然違うものなのです。

だとしたら、逆にあなたの「気が利く感度」をリスト化してマニュアル化してみたら、もしかしたら「気が利かない」人が「気が利く」ようになるためにものすごく役立つかもしれません。私も、そんなマニュアルがあったら欲しいなぁと思います。

イラっときた「普通」は、ノートに書き出して分析しよう

「ちゃんと察してよ」「普通はこういえばわかるでしょ」

このようについイライラして、周囲を責めてしまいそうになったときは、冷静にノートに書き出してみましょう。頭の中だけで考えるより、ノートに書くことをおすすめします。頭の中だけだと、自分の思考がどのように飛んでいって、どういう結論に達したかが見えにくいからです。

例えば、こんなふうに自分に問いを立てます。

・ 察してくれなかった理由は何だったのだろうか。
・ そもそも、「察する」ってどういうことなのだろうか。
・ 自分が言った言葉は、どのように相手に伝わったのだろうか。
・ それは、自分の意図と、どのくらいかけ離れたものだったのだろうか。
・ あのときどう伝えればわかってもらえたのだろうか。

このように整理ができれば、感情的に気持ちをぶつけることなく、落ち着いて再度相手に伝えることができます。もちろん、落ち着いて伝えたとしても、最初はもしかしたら思うような反応は返ってこないかもしれません。でも、この作業を繰り返しきちんと発信することができれば、少しずつ前に進んでいくことができるのです。

文句を言っている自分がバカらしくなるジェスチャーをご紹介

余談ですが、周囲の環境や自分の境遇に文句を言いたくなると、私はよく夫をサンドバッグ代わりにして話を聞いてもらいます(夫には申し訳ないですが…)。そのたびに夫は自分の人差し指を旋回させて「しゅしゅしゅ…あ、刺さった!」と言いながら私の心臓に矢を指すジェスチャーをします。

これは、「言った言葉を今からそのままあなたに返しますよ」という意味の我が家のジェスチャーです。「しゅしゅしゅ….」というのは、ブーメランが戻ってくるイメージだそうです。これをされると、「はっ」と我に返り、「おまえが言うか」と自己ツッコミができて、文句を言った自分を笑って許せるようになりますよ。

自分の心を見つめて、Have to から Want toに「架け橋」を

やらなきゃならないことや、理不尽なこと、やりきれないこと、たくさんありますよね。

「こんなこと、機械にだってできるのになんで私がしなきゃいけないの」とか、「もっと自分ならではの仕事をしたい」とか思うことも、ときにはあると思います。

でも、たとえ今目の前の仕事が「自分らしくない」と思っても、働き方を「自分らしく」することだったらすぐにできます。その積み重ねがいつのまにか、「自分にしかできない仕事」につながっていくのではないかと思うのです。

誰かや、何かのせいにして腐っている暇があったら、徹底的に目の前のことに向かい合う。「Have to」な仕事ばっかりでつまらないと思ったら、無理矢理にでも面白さをさがして「Want to」に変える。

そんな「Have to」から「Want to」への「架け橋」探しを日々の生活で続けることができたら、人生はもっともっと楽しめるのではないかと思います。そのための手段として、今回はノートを使った「普通」の分析法、文句を言った自分を笑って許せるためのプチジェスチャーをご紹介しました。

このように、自分を外から眺める手段は実はたくさんあります。あなたなりの方法も、「ひとり時間」でぜひ探ってみてくださいね。

池田千恵(いけだ・ちえ)
Before 9(ビフォア・ナイン)プロジェクト主宰/CONECTA代表。図を活用した思考整理/情報発信/時間管理/目標達成手法を著書や講演、企業研修などで伝えるかたわら、朝9時までの時間を有効活用するための早朝セミナー「Before 9プロジェクト」を2008年より開催。ベストセラーとなった『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)は、朝4時に起きる「ヨジラー」急増のきっかけとなる。『「ひとり時間」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)、『朝活手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など時間管理に関する著書多数。 http://ikedachie.com/

[nikkei WOMAN Online 2015年9月25日付記事を再構成]

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