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独ボッシュが渋谷にカフェ ドイツ料理にビールも

2015/10/24

日経トレンディネット

ドイツの自動車部品・電動工具メーカーとして知られるボッシュが2015年9月10日、渋谷駅から徒歩5分の日本本社1階に、ショールーム併設型カフェ「cafe 1886 at Bosch」をオープンした。ボッシュグループが一般向けにカフェをオープンさせるのは世界初だという。

このカフェを運営するのは、「ビルズ」や「マックス ブレナー」などの日本進出を手掛け、“外食のヒットメーカー”として知られているトランジットジェネラルオフィス(東京都港区)だ。

2015年9月10日にオープンした 「cafe1886 at Bosch」。店舗所在地は、東京都渋谷区渋谷3-6-7。面積167.53平方メートル、85席(店内69席、テラス16席)。営業時間は月~金曜日が8~22時、土曜が11~22時、日曜・祝日が11~20時
ボッシュのウド・ヴォルツ社長と、森川典子副社長。ロゴはドイツの街並みを飾る看板をイメージ。店名は129年前、ボッシュが設立された年にちなんで名づけた

今回の店で提供するコーヒーは、コーヒー豆専門店として注目されている銀座のトリバコーヒーが焙煎したオリジナルブレンド2種類。フードメニューを担当したのは、銀座の人気フレンチレストラン「マルディ グラ」の和知徹シェフ。ボッシュの本社があるドイツ・シュツットガルトを訪れ、ドイツ料理にヒントを得て創作したオリジナルのサンドイッチなどを提供する。

ボッシュは自動車部品大手として知られるほか、電動ドリルやハンマーなど家庭用DIY機器やプロユースの電動工具製品などを製造販売しており、いずれも世界トップクラスのシェアを持つ。世界の約150カ国で事業展開中で、2014年の従業員数は約36万人(2015年4月1日現在)、売り上げは490億ユーロ(約6兆8747億円)に上る超巨大企業だ。そのボッシュがなぜ東京にカフェをオープンさせたのか。とても気になるが、まずはカフェのメニューから見ていこう。

■ドイツ料理のエッセンスを味わえるサンドイッチ

ユニフォームは人気のメンズウエアブランド「marka(マーカ)」がデザインを手がけている

同カフェで最も力を入れているのが、サンドイッチ。サンドイッチと聞くと珍しくない定番メニューと思ってしまうが、各具材に合うライブレッド、ローストオーツブレッドなど、良質の素材を使ったオリジナルブレッドの開発に始まり、ソーセージはドイツ本国から取り寄せた本場のものを使用。ほかでは食べられない個性豊かなサンドイッチ4種類を提供する。

ドイツ料理というとボリュームたっぷりで濃厚な味付けの料理を連想するが、日本人好みの肉料理をよく知る和知シェフのアレンジだけあって、意外にも繊細な味わい。野菜たっぷりでヘルシーな具、ジューシーなドイツソーセージがしっかりした風味のオリジナルブレッドと調和している。ドイツ料理のエッセンスをはっきりと感じられるのに、日本人にも食べやすいサンドイッチだと感じた。サイドメニューも本格的で、本国から取り寄せているドイツビール、ドイツワインに合いそう。

サンドイッチ以外にも、ドイツの郷土料理であるフレーデルズッペをアレンジし、コンソメスープにクレープを入れた「クレープ入りスープ」や、ボッシュの本社があるドイツ・シュツットガルトの伝統的なリンゴ菓子・アップルキューヘレをアレンジした「ベイクドアップルドーナツ&バニラアイス」も、ここでしか味わえないメニュー。特にクレープ入りスープは薄く軽い麺状のクレープが新鮮。口に入れた瞬間に溶け、「今、何を食べたんだろう?」と思ってしまう不思議な食感がクセになりそうだ。

ドイツソーセージのオーバークライナーとマッシュポテト、ザワークラウトをライブレッドで挟んだ「スラバ」(850円)
ドイツソーセージのブラートブルストを、ポテトを練り込んだポテトブレッドで挟んだ「フランコニア」(800円)。コーヒーはジャーマンブレンドをイメージし、スモーキーでリッチな深煎りの「ダークロースト」(400円)、オーダーごとに1杯ずつハンドドリップでいれる酸味の効いた浅煎り「ライトロースト」(500円)がある

ドイツで人気だというカレー味のスナック・カリーブルストをアレンジした「ソーセージ&バターケチャップ、カレーパウダー」は、日本ではここでしか食べられないドイツ風B級グルメ。ソーセージにケチャップ、カレーなどをミックスしたソースをかけた料理で、ベルリンのいたるところにスタンドがあり、日本のたこ焼きのような感覚で食べられている人気スナックだそうで、ドイツビールに相性がぴったりだという。

コーヒーにも力を入れている。ジャーマンブレンドをイメージし、スモーキーでリッチな深煎りの「ダークロースト」(400円)と、オーダーごとに1杯ずつハンドドリップでいれる、酸味の効いた浅煎り「ライトロースト」(500円)2種が味わえる。

銀座の人気フレンチ、マルディグラの名物メニュー「ハーブアンドポテト」をアレンジした、「ハーブフレイバーフライドポテト」(650円)
ドイツのB級グルメとして人気の高いカリーブルストをアレンジした「ソーセージ&バターケチャップ、カレーパウダー」(750円)

ドイツの定番料理フレーデルズッペをアレンジしコンソメスープにクレープを入れた「クレープ入りスープ」(550円)
ボッシュの本社があるドイツ・シュツットガルトの伝統的なリンゴ菓子・アップルキューヘレをアレンジした「ベイクドアップルドーナツ&バニラアイス」(650円)

カフェエリアは古材など温かみのあるマテリアルを基調とし、同社の古い歴史をイメージしている。一方ボッシュの最新技術に触れられるショールームは、ドイツ・レニングンにある同社の最先端研究施設と同様、ホワイトやグレーを基調とし、コネクティビティーを表現。ショールームとカフェには仕切りがなく、過去から現在、未来へのつながりをイメージしたという。

特に注目したいのが、カフェにさりげなく置かれている、ボッシュの歴史をあらわす展示物だ。工具室のようなモノづくりの楽しさを表現したいという狙いで、ボッシュ創業当時からの由緒あるプロダクトをドイツ本国から取り寄せ、展示。点火装置やパワーツール、ホーン、ライトなど、メカ好きな人にとっては、まるで博物館で宝探しをしているような、心躍る空間となっている。

カフェにはボッシュにまつわる歴史的な展示物が飾られている
最新の製品、テクノロジーやサービスを紹介するショールーム

■カフェ出店の理由は認知度の低さ

このカフェを企画したのは、同社コーポレート・コミュニケーション部の下山田淳ゼネラル・マネージャー。「ボッシュは創業129年、日本進出が1911年と古く、日本進出後100年を超えている。しかし日本では自動車関連業界でよく知られているものの、それ以外の認知度は低い。この状況を改善するにはどうしたらいいかと考え、一般の方々とボッシュの縁を作る場としてカフェを思いついた」(下山田ゼネラル・マネージャー)。

日本でのブランド認知が低い理由は2つあるといい、ひとつは日本ではコンシューマーグッズ(消費材)を大々的に扱っていないため、日常的になじみが薄いこと。もうひとつは日本には自国発の世界的メーカーが多く、なかなかマインドシェアを上げるのが難しいことだという。

日本本社ではカフェのアイデアは歓迎されたものの、ドイツの本社では最初、「なぜわれわれがカフェをやらなければいけないのか」と驚かれ、なかなか理解されなかった。しかし「渋谷駅の乗降客数は1日に約300万人。そこから徒歩5分圏内に日本本社があるという地の利を利用しないのはもったいない」と訴えて説得できたという。「CMなどで一時的にアピールするのではなく、息の長い啓蒙活動になると理解してもらえたら、そこから決断は早かった」(下山田ゼネラル・マネージャー)。

同社ではカフェのオープンと同時に、ビーコン技術を採り入れたモバイルアプリ「BOSCH next」をリリース。展示物の詳細などの関連情報を随時、確認できるという。またカフェにはフリーWi-Fiスポット「Cafe 1886 at Bosch Free WiFi」も設置。「ボッシュを知るためというより、便利だから、おいしいから、楽しいからという理由で利用してもらえる場所にしたい。それを縁にボッシュに親しみを感じてもらい、企業文化に興味を持ってもらえれば、認知度がアップしてリクルーティングにもいい影響があるし、社員のモチベーションも高まる」(下山田ゼネラル・マネージャー)と、期待を寄せている。

(注)記事中の価格は全て税込み

(ライター 桑原恵美子)

[日経トレンディネット 2015年9月17日付の記事を再構成]

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