税務署は無申告者を3年間、泳がせる?

最近、掘り出し物をネットで転売して利ざやを稼ぐ「せどり」を始める方が増えているようです。「せどり」をやっている人たちのことを「せどらー」というんだそうですね。今回は、知り合いが「せどらー」だというサラリーマンのAさんとの対話を再現してみました。

A:「飯田先生、『せどり』って、知ったはりますか?」
飯田:「せどり……?」
A:「はい」
飯田:「どんな字書くのん?」
A:「え~~っと。確か、背表紙の『背』か競うの『競』に『取る』で、『せどり』って読むんやったと思います」
飯田:「あ~。古本屋さんで安く見つけてきた本を、ネットで高値で売ったりするやつね」
A:「そうです。でも、本以外にも、いろんなものを扱うんです」
飯田:「もしかして、Aさん、『せどりでもうかりすぎたんですけど、会社にバレずに済む方法はないでしょうか?』って相談?」
A:「違いますよ! 実は、僕の知り合いでB男ってやつがいるんですけど、いっぺん就職したけど、1年もたたないうちに会社を辞めて、引きこもってたんです。そいつが、せどりやってるっていうんです」
飯田:「ふむふむ……」
A:「2年ぐらい前からやってるみたいで、確定申告とかどうしてるんか聞いてみたんですけど、してないって……」
飯田:「申告してないってことは、もうかってないんと違うん?」
A:「いえ、それが、一般のサラリーマンの月収以上は稼げてるっていうんです」
飯田:「え~、そしたら、無申告やん!」
A:「はい、そうみたいです」
飯田:「Aさんは、B男さんに申告するように言ってあげたん?」
A:「言ってはみたんですけど、年末にたくさん商品を仕入れるから、大丈夫やって言ってました」
飯田:「えっ、どういうこと?」
A:「税金かけるお金が手元に残ってないって……」
飯田:「う~ん。税金って、手元に残ったお金に対してかけるものと違うんやけど……」
A:「えっ、そうなんですか?」
飯田:「年末に仕入れた商品は、年末の時点では、まだ、売れてないでしょ」
A:「はい」
飯田:「そしたら、年末に仕入れたけど、売れずに残っている商品は、棚卸し資産になるんです」
A:「棚卸し資産……? 資産ってことは財産って感じですか?」
飯田:「そうやね。平たくいうと在庫かな」
A:「在庫?」
飯田:「せどりやってる人は、仕入れた商品の代金はその場で現金で払っていることが多いから、費用のように思うかもしれないけれど、仕入れた商品は消耗品じゃないってことはわかりますよね」
A:「まあ、なんとなくですけど……」
飯田:「その商品が売れたときに初めて費用として認められるというのが、税金の計算の約束事なんです」
A:「でも、B男は、今年の3月、確定申告しなかったけど、税務署からは何も言ってこなかったって言ってましたよ」
飯田:「税務署はすぐには、動かへんからね。まあ、3年くらいたってから、無申告の税務調査という形で来るんと違うかな?」
A:「え~。ほんまですか!!」

せどりはサラリーマンの副業として、主婦の方のお小遣い稼ぎとして、また、引きこもりの方が始められることも多いようです。初めは「家の押し入れの整理ができて、それで少しでもお金が入ってくるのならラッキー」ぐらいののりの方もいらっしゃるようです。

家の中の物を売り尽くしてしまうと、街の古本屋さんやフリーマーケットなどに仕入れに行くようになります。その人にとっては価値のない物でも、別な人にとっては喉から手が出るほど欲しい物があります。

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし