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カフカス最古の文字発見、ジョージア古代神殿で

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ナショナルジオグラフィック日本版

ジョージア(グルジア)のトビリシ国立大学で考古学を学ぶソフィア・パータシュビリ氏は先月、鉄器時代のグラクリャーニ遺跡の古代神殿の発掘作業中に、変わったものに気づいた。崩れた祭壇下の石板に彫られた一連の模様だ。

ほかの神殿で見つかった碑文とは違い、ここに記されているのは動物や人間でも、不規則な装飾でもなかった。

トビリシ大学考古学研究所の所長で、これまで8年にわたりグラクリャーニ調査団を率いてきたバフタング・リチェリ氏によれば、これはカフカス地方で生じた最古の文字と考えられ、これまでに発見されていたこの地域独自の文字よりもゆうに1000年は古いという。

「この発見は、ジョージアの歴史にとって重要なだけではありません。文字の歴史においても重要なのです」と、リチェリ氏は言う。

発掘された碑板(約80センチ×8センチ)の一部には、岩を深くえぐって刻まれた文字が、少なくとも5種類見てとれる。リチェリ氏は古代ギリシャ語やアラム語の文字との類似点を指摘する一方で、全体的に見て、ほかのどの文字体系とも関連性がないという。

これは装飾ではなく、文字体系の一部であるのは疑いようがないと、リチェリ氏は考える。「装飾なら、2つか、4つか、6つおきに、繰り返しがあります。ここに繰り返しはありません」。なめらかに仕上げた彫刻者の腕についても「とても手慣れていますから、これが初めてということはないでしょう」と指摘する。

リチェリ氏によると、碑文は神殿が建てられた紀元前7世紀のものと考えてさしつかえなさそうだ。指標となるのは同遺跡で見つかった土器の破片。色や素材、デザインにおいて、ジョージア各地の同じような遺跡からの出土品と共通点があるので、年代についてはほぼ疑いの余地はないという。

文明の停滞期はなかった

このわずか数文字が、古代ギリシャや古代ローマの人々がイベリアと呼んだ(イベリア半島とは別)、黒海沿岸まで広がる地域の住民について、従来の歴史認識を覆した。

考古学者たちは長年、紀元前4000年には、この地に文字文化があったことは知っていた。ジョージア各地の発掘調査で、古代アッシリアや古代ギリシャ、古代ペルシャの硬貨やビーズ、土器などが見つかっていた。

だが紀元前2000年末から紀元前5世紀まで続いた鉄器時代に関しては、イベリアに文字があった痕跡はこれまで見つかっていなかった(ジョージアやアルメニアで最古とされてきた文字は、この地域の住人がキリスト教に改宗した直後の、紀元5世紀以降のものだった)。

古代イベリアには停滞期があり、この期間は研究するに値しない、というのが、ジョージアのみならず世界中の考古学者の考え方だった、とリチェリ氏は言う。

多様な出土品

リチェリ氏は、初期の発掘で、さまざまな物を発掘した。石に細工した子どものおもちゃ、古代ペルシャ様式を模した土器、紀元前5世紀の石造りの神殿などだ。この神殿には、古代ペルシャ由来のゾロアスター教式祭壇に加えて、カフカス地域の民間信仰の神々を表す雄ヒツジの彫刻が用いられていた。

こうした発見から、鉄器時代のイベリアの人々は複雑な洗練された文化をもっており、この時代の「きわめて先進的な」社会であった古代ギリシャやペルシャのみならず、メソポタミアやエジプトとも密接な関係があった、とリチェリ氏は推測する。「エジプトのスカラベも、ここにあります」。そう言って、同氏は彫刻を指し示した。

だが、リチェリ氏にはぬぐい切れない疑問があった。イベリアの人々は、文字ももたないのに、なぜそんな豊かな文化を享受できたのか?

イベリアには、紀元5世紀よりずっと昔に文字があったのではないか、という疑問をいだいたのは、リチェリ氏がはじめてではない。11世紀から続く中世ジョージアの年代記にも、古代ジョージアの文字のことが言及されている。20世紀初頭、ジョージアの歴史家、イバネ・ジャバヒシュビリ(ジョージアの首都トビリシ近郊にある鉄器時代の遺跡アルマジシュヘビを発掘した人物)は、文字の存在を証明しようと心血を注いだが、失敗に終わっている。

今、新たにリチェリ氏を悩ませているのが、神殿の石造りの祭壇の一角に刻まれている、3つの文字だ。それはさらなる調査で見つかったものだが、石板の文字とは関連性がないように見える。

「ひとつの神殿に、2種類の言語があったのかもしれません」と、リチェリ氏は推測する。イベリアの人々は、民族的に2つのグループに分かれ、どちらも独自の文字をもち、共存していたという。「ジョージアだけでなく、世界中を見ても、めったにないことです」。

スタート地点に立ったばかりの発掘研究

グラクリャーニ遺跡自体は、1950年代に重要な意味をもつ可能性があると指摘されていたが、ソビエト時代の人手不足もあり、本格的な発掘調査が行われたのは、ようやく2007年になってからのことだった。

今回の碑文は、リチェリ氏が長年追い求めてきたように、ジョージアが世界でも「きわめて高度に発達した社会」だったことを裏づけた。「ジョージアの人々にとって、文化知識はとても大切です。ようやく、自分たちの知識を先祖に帰することができるのです」。

政府からの助成金が増え、研究環境が整えば、ほかにも光の当たる碑文が出てくるだろう、とリチェリ氏は考えている。

「どこかで、また新たな何かが見つかるはずです」そう言って、リチェリ氏は相好を崩した。

(文 Tara Isabella Burton、訳 倉田真木、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年9月24日付]

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