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クリエーターの力で観光開発 舞鶴赤れんがパーク

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日経デザイン
京都縦貫自動車道が2015年7月に全線開通、京都府北部への交通アクセスが改善した。これに合わせ7月18日から京都府北部の5市2町が「海の京都博」を開催中だ。舞鶴市が開催した「まいづるまち博」で起点となったのが「舞鶴赤れんがパーク」。明治期に海軍が建設した赤れんが倉庫群を中心施設とする公園だ。市当局は2013年から市民と協力して観光開発に努めてきた。同パークでは週末ごとにイベントが開催されるなど観光客でにぎわいを見せている。

舞鶴市は、2013年から民間のディレクターとともに、赤れんがの倉庫群「舞鶴赤れんがパーク(以下、赤れんがパーク)」のブランディングに取り組んでいる。「舞鶴赤れんがパークブランディング機構(以下、ブランディング機構)」を発足させ、舞鶴市民と行政が一体となって推進しているのが特徴だ。クリエーターも巻き込み、先鋭的なイベントを開催。かつての日本海軍が軍用施設として建造した赤れんが倉庫の歴史や文化を、クリエーティブの力を借りて発信し、舞鶴市の観光資源として盛り上げていく。 

下の写真は、2014年夏に開催したプロジェクションマッピングの模様。2棟の赤れんが倉庫の壁面を使ったダイナミックな演出は、「地元にもこんないい場所があったんだ」と市民に気付かせる狙いもあった。市民が赤れんが倉庫の真価に改めて気付き、誇りが持てるようになれば、赤れんがパークが交流の「場」として活用されるはず──。市民と一緒に赤れんがパークを育み、人が集う仕組みをつくることが、観光客を増やすことにもつながると考えた。

舞鶴市が本格的にブランディングに着手したのは、3年ほど前。舞鶴若狭自動車道に続き、京都を南北につなぐ京都縦貫自動車道が2015年に全線開通することを見越してスタートした。独自のマーケティングの調査を基に、「赤れんが」と「海・港」というブランド戦略を打ち出していたが、歴史や文化、食、自然などアピールしたい項目が多く、最善のプロモーションの手法は見い出せていなかった。2012年にオープンした赤れんがパークも新しい観光拠点として期待されていたが、閑散とした状態が続いていたという。

多々見良三・舞鶴市長は「行政はブランディングが得意分野とは言えない。実績のある民間のディレクターの知見や人脈を生かすことが最短の道ではないか」と考え、東京駅前の新丸ビル7階のレストランフロア「丸の内ハウス」をプロデュースした丸の内ハウス統括マネージャーの玉田泉氏と、同フロアで店舗を構える佐藤としひろ氏に協力を依頼した。

舞鶴市は、将来的に赤れんがパークの商業施設化も視野に入れている。玉田氏と佐藤氏にも、有名シェフのいるレストランの誘致やそのための新しい施設の建設についても相談していた。

それに対して玉田氏は「有名シェフは、たしかに人を呼ぶ"特効薬"にはなるかもしれないが、一過性では意味がない。商業施設化を目指すにしても、まずは今ある資産を活用し、人が集まる仕組みをつくり、街を活性化させることが先決だ」と考えた。

市民の本音を聞き出す

赤れんがパークのブランディングを手がけるにあたり、玉田氏と佐藤氏が特にこだわったことは市民と一体となりブランディングに取り組むこと。丸の内ハウスのブランディングでも丸の内のオフィスワーカーに向けて情報を発信し、一緒に盛り上がることで成功している。その経験からも「市民との連携は欠かせない」(玉田氏)と言う。

そこで舞鶴市は「ブランディング機構」という団体の発足を提案。町おこしに取り組む市民をはじめ、赤れんが倉庫の保存活動をする市民団体、ボランティアの観光ガイドなどに参加を呼びかけた。「行政と市民が同じ目線で話し合いができるプラットホームになる」(玉田氏)ことを狙った。

ブランディング機構が発足してから最初の半年間は毎月1回、ミーティングを開催。ブランディングの方向性について話し合った。玉田氏と佐藤氏はミーティングが終わると、毎回必ず商店街にも出向いた。「飲食店を3、4軒はハシゴをして、ブランディング機構に参加していない一般の市民からも直接、舞鶴や赤れんが倉庫をどう思っているか聞かせてもらった。市民と一緒に地域活性につながるブランディングを始めることも伝えていった」(玉田氏)。そうした地道な活動の積み重ねにより、当初はブランディングに半信半疑だった市民も徐々に理解を示すようになってきたと言う。

市民に気付きを与えるクリエーティブ

世界的に活躍するクリエーターの視点で舞鶴の魅力を発掘し、市民に伝えていくことも同時に展開。市民との対話から「赤れんがの倉庫群は生まれたときから見ている風景で、そもそも魅力が分からない」という声が多かった。そこで、地元の人が見過ごしがちなローカルの本質を探り、正しく伝えることが必要だと考えた。「ただし、注目を集めるためは誰がどのように伝えるかが重要。グローバルの視点で見れば、ローカルにこそ価値がある。それを見い出し発信ができる"一流"のクリエーターに協力してもらった」(玉田氏)。

赤れんがパークのロゴ・マークも、市民に気付きをもたらす仕掛けがある。縦長文字のロゴとマークのモチーフは、赤れんが倉庫と船。縄文時代から現代まで続く歴史と文化をアピールするために、左右に伸び縮みできるようにデザイン。通常、ロゴ・マークの色や形は固定化されるが、使用するメディアや商品に合わせて「長さや色のトーンを自由に変えていい」というルールにした。逆に言えば、ロゴ・マークを使うたびに、デザインのコンセプトや長さや色について考える必要があるのだ。

2015年3月にはロゴ・マークの発表会も開催。そのとき、新しいマーク入りのオリジナルの扇子を配布した。扇子というメディアに合わせてマークをアレンジ。「ロゴ・マークは舞鶴ブランドの旗印。発表会を機にブランディング機構の一体感が増した。クリエーティブの力を実感している」(玉田氏)。

ブランディングは始まったばかりだが、着実に成果を上げている。2013年度の赤れんがパークの来場者数は19万人だったが、2014年度は1.9倍の36万人に増加。舞鶴市への観光客も2003年度は115万人だったが、2014年度は2倍の231万人訪れた。観光協会が運営する赤れんが倉庫内の土産物売り場もブランディング機構のアドバイスを基に拡充したところ、2013年度は900万円だった売り上げが、2014年度は4500万円と5倍も伸びた。今では地元の菓子メーカーなどからの引き合いも増えている。

2015年度は、芝生に設置した貸店舗「ブリックハウス」の運営が始まった。7月18日から9月27日までは、赤れんがパークを起点に「まいづるまち博」を開催した。行政と市民が一体となり、クリエーティブでローカルの魅力を際立たせるブランディングは、地域創生の新しいモデルケースとも言えるだろう。

(ライター 西山薫)

[日経デザイン 2015年6月号の記事を再構成]

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