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データで検証 あなたに医療保険は必要か

2015/9/26

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寿命の伸びを背景に医療保険に関心が高まっている。がんなど3大疾病なら入院日数無制限で給付金が出るなど、新商品も相次いで登場している。ただ医療保険は全員に必要とは限らない。実際の入院日数や費用といったデータを知ったうえで検討したい。

「医療保険への加入を考えているけど、本当に保険料に見合うのか」と迷うのは都内のフリーアナウンサー、佐久間あすかさん(34)。

医療保険は基本的に入院日数に応じて給付金が払われる。厚生労働省によると入院日数の平均は2013年で31日で、保険会社の勧誘ではよくこの数字が使われる。ただし平均日数は医療費抑制のため5年間で1割短縮している。今後も短期化は進みそうで「医療保険の効用は小さくなりつつある」(保険コンサルタントの後田亨氏)

入院、短期多く

しかもこの数字は平均なので、一部の長期入院で押し上げられている。実際の入院日数はどれくらいだろうか。厚労省の「患者調査」で病気別にみると、がんで30日以上入院するのは患者の約15%、心筋梗塞などで約4%(グラフA)。がん患者のおよそ2人に1人は9日未満、心筋梗塞などは3日未満で退院する。データを見た佐久間さんは「思った以上に入院は短期が多い。医療保険の保険料はもったいないかも」という感想を持った。

病気や症状によっては長期入院する場合もある。脳梗塞で30日以上入院する人は約45%いる。このため給付日数が原則無制限のがん保険だけでなく、最近は「脳梗塞などの脳卒中」「心筋梗塞」も含めた3大疾病であれば、日数無制限で給付するタイプも一部で登場している。従来型に比べ保険料がそれほど高くない例もあるので、心配な人には選択肢だ。

ただし入院日数が長くなるのは高齢になってからが多い。例えば脳梗塞の入院日数が一気に長期化するのは70歳代後半から。医療情報の分析で知られる長浜バイオ大学の永田宏教授によると、40歳代前半の男性が1年間に脳梗塞で入院する確率は0.1%程度に過ぎない。医療保険の勧誘の際に聞くことが多い「40代のご主人が脳梗塞になって1年半も入院して」というのはかなりまれなケースだ。

次に医療費はどれくらいかかるかをみてみよう。全日本病院協会によると、急性心筋梗塞など医療費が200万円近くになる病気もある(グラフB)。しかし患者が窓口で払うのは医療費の3割。加えて公的医療保険には高額療養費という仕組みがある。収入に応じて1カ月当たりの自己負担限度額が定められ、上回った分は申請すれば還付される。医療費が高額でもすべて1カ月におさまった場合、平均的な収入なら実際の自己負担は8万~9万円ですむ。

月をまたげば自己負担額は増えるし、高額療養費の対象外である差額ベッド代がかかると費用は膨らむ。ちなみに厚労省によると差額ベッド代の平均(11年)は1人部屋で1日約7500円、4人部屋で同2300円だ。

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