布団掃除機 東芝、打倒レイコップへ 総合力で優位
「ユニーク白物家電」実力テスト(中)
「レイコップ」が市場をつくったと言っても過言ではない布団掃除機。2015年に入って国内外のメーカーから新製品が次々に発売された。レイコップ・ジャパンの最上位モデル「レイコップRP」に続いて、ダイソンとシャープ、東芝ライフスタイルが参入。いずれも吸引力やダニ対策などを訴求している。
そこで、これらの実力を比較した。疑似花粉として使われるヒカゲノカズラの胞子を布団にまき、シーツを敷いた上から掃除したところ、吸引力で他を圧倒したのは「ダイソン V6 マットレス」(ダイソン)だった。これに「トルネオ V コードレス VC-CLF1」(東芝)、レイコップRP、「コロネ EC-HX100」(シャープ)の順で続いた。
ただし、ダイソン V6は強力な吸引力ゆえか、シーツの糸を吸い込んでしまうこともあった。使い続けることで布団の中綿まで吸ったり、シーツを傷めたりする可能性にも留意しておくべきだろう。
レイコップ、70℃の温風乾燥機能も
レイコップRPとシャープのコロネ EC-HX100は付加機能をアピールしている。レイコップRPは初代モデルから継承した紫外線ランプによる殺菌機能などに加えて、約70℃の温風で布団を乾燥させる機能を搭載。コロネ EC-HX100は約40℃の温風を布団に吹き付け、「ダニが熱から逃げようとして布団の繊維から爪を離すと同時に吸い取る」(シャープ)という。
これらの機能については、「紫外線はダニへの効果は見込めず、短時間の照射では殺菌作用も期待できない」(アレルギー疾患とダニの生態に詳しいペストマネジメントラボの高岡正敏社長)との指摘もある。また、「布団の表面以外のダニは、熱が伝わるとさらに奥に逃げる」(高岡社長)など、さまざまな見解があることも知っておきたい。
最もバランスに優れるトルネオ V
本体が最も軽く片手で掃除しやすいのは、ダイソンV6。ヘッドと吸入口の幅がほぼ同じなので直感的に掃除できるうえ、コードレスなので取り回しもしやすい。これらの長所は、ダイソンよりわずかに重い東芝のトルネオ Vも同等といえる。
ただし、ダイソンV6はバッテリー駆動時間が短めなので、複数枚の布団を掃除するには不向き。電源ケーブルがあるレイコップRPとコロネ EC-HX100は時間を気にすることなく使えるのが利点だが、ケーブルが邪魔に感じることがある点では一長一短だ。
気になったのはレイコップが3.4kgと重いこと。移動させる際には両手で持ち上げたほうが無難だ。収納用に使うドックが付属する利便性も考慮すれば、バランスに優れるのはトルネオ Vとコロネ EC-HX100といえる。
手入れのしやすさで最も優れていたのは、ダストカップやフィルターだけでなく、サイクロン機構まで分解して丸洗いできるトルネオ V。ロボット掃除機と同様に、メンテナンス性では国内メーカーに一日の長があった。総合的に評価すると、トルネオ Vが最もバランスに優れているといえる。
(日経トレンディ 瀧本大輔)
[日経トレンディ2015年10月号の記事を再構成]
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