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女性が目立たない関西? 活躍推進の動き広がる 企業や大学の取り組み、活発に

2015/9/19

女性の活躍が目立たない関西で、企業や大学の取り組みが活発になってきた。女性就業率が全国平均並みに高まれば、経済効果は1.5兆円との民間の試算もある。取り組みの現場を追った。

「このままでいいかなと思っていたけど、前向きなキャリアプランを考えるようになった」。大阪ガスは先輩社員をメンター(助言役)に、1年間相談に乗る「メンタリングプログラム」を昨年度から始めた。8月に開いた中間会議ではこんな手応えの声が聞こえた。

メンター制度の中間会議で意見交換する大阪ガスの幹部候補の女性社員(8月31日、大阪市中央区)

大ガスは総合職の女性採用比率30%以上を保ち、2020年度までに女性管理職比率を5%に上げる目標を掲げる。現在、管理職の女性比率は2%強。女性管理職の育成に向け、メンタリングを整備した。

15年度は主任とその手前にいる26人の女性社員が対象だ。人事部ダイバーシティ推進チームの伊藤郁恵副課長は「出産や育児で職場を離れることもある。メンタリングを通じて社内の人脈が広がれば復帰後に生きる」と狙いを話す。

積水ハウスはグループの20年度の女性管理職比率5%を目指す。全国に16ある営業本部には各1人以上の女性店長を置く目標だ。兵庫シャーメゾン支店神戸3店(神戸市)の店長、吉田雅子さん(53)は志願して一般事務職から営業職に転じた。4人いる部下のうち2人は入社1年目と2年目の女性。「社内に応援団をつくろう」と様々な部署との交流を勧める。

同社は今年、技術職の男女が1回は現場監督を経験する仕組みを始めた。兵庫シャーメゾン支店の設計長、石井清江さん(47)は先駆け。現場監督を8年余り務め「視野が広がり、設計の業務にも反映できる」と話す。

企業間の連携も活発になってきた。関西企業のダイバーシティー担当者が集まる「ダイバーシティ西日本勉強会」は04年に5社程度で顔合わせをしてから、38社まで増えた。「大阪はダイバーシティーに関する情報やセミナーが少ないので、自分たちで何とかしたい」(武田薬品工業の佐久間文恵マネジャー)

大和ハウス工業は女性の管理職候補の研修を始めるため、勉強会が作った育成マニュアルを活用。コクヨS&Tは参加企業の例を参考に、介護の相談を受け付ける社外窓口の導入を決めた。

一方、関西経済連合会は13~14年にダイバーシティ研究会を設け、女性の活躍を妨げる要因を探った。7、8月には男性管理職の意識改革を促すセミナーを開き、昨年からは加盟企業の中堅社員を米国に派遣している。

14年に訪米した関西電力の片本真代さん(37)は「ネットワーキングの重要性を学んだ」と振り返る。終了後も持ち回りで月1回の朝活を続け、参加者は様々な企業の約30人に広がっている。

関西学院大学が主宰する管理職の養成講座を受講する人たち(4日、大阪市北区)

関西学院大学は文部科学省の委託事業として大学院レベルの「ハッピーキャリアプログラム 女性リーダー育成コース」を開講した。主宰する大内章子准教授は「総合職の女性であってもスキルを身につける機会が得られない人が多い。機会をつくるプログラムを用意したかった」と話す。

昨秋にマネジャーになった情報通信会社の女性(44)は「人脈も自信もない状態を何かでカバーしたい」と考え、女性リーダー育成をうたう同講座のポスターで興味を持った。出版社の営業所長の女性(42)は大阪への転勤をきっかけに受講。「社内の会話についていくビジネス感覚がない」と感じ、「東京に戻るまでにスキルを磨きたい」と意気込む。

プログラムには1期生と2期生を合わせて35人が参加し、受講生の輪も広がる。「業界も年齢も違うけど、コアな悩みは共通している。出会いは生涯の財産になりそう」(出版社の女性)。この後は飲み会に行くと笑顔を見せた。

■女性就業、経済効果1.5兆円

アジア太平洋研究所(大阪市北区)の関西経済白書(2014年版)によると、都道府県別の女性の就業率(10年)は奈良県(39%)、大阪府(41.1%)、兵庫県(42.0%)とワースト3を関西が占め、全国平均(44.7%)を下回る。関西2府4県の女性の就業率が全国平均まで高まればGRP(域内総生産)は1.55兆円増の85.67兆円になると試算する。

同白書の編集委員長を務めた稲田義久・甲南大副学長は「子育てを分担できる3世代世帯の割合が少なく、県外で働く人が多いことが主な理由」と分析する。

性別による役割分担の意識も根強い。内閣府が6月に発表した「地域における女性の活躍に関する意識調査」で「自分の家庭の理想は『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ」との問いに「そう思う」「ややそう思う」と回答した男女の割合は、奈良県(50.4%)が全国で最も高く、関西の2府4県全てが全国平均(44.2%)を上回った。

奈良県は昨年5月、女性起業家を支援する窓口「Leapなら」を設けた。県女性支援課は「女性起業家は女性を雇用する確率が高く、県内に企業があれば通勤時間も短くできる」と説明する。

(越川智瑛、大西康平)

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