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消えない帯状疱疹の痛み 神経ブロックで悪循環絶つ

2015/11/22

日経ヘルス

痛い! 赤い発疹も出てきた…。疲労やストレスで免疫力が低下した体を容赦なく襲う病気、それが「帯状疱疹」(たいじょうほうしん)だ。女性に多く、3人に1人がかかるといわれている。つらい痛みから解放され、跡を残さず治すには、素早い治療が鉄則だ。帯状疱疹の症状や治療について、3回に分けて解説する。最終回は、皮膚症状は消えたのに痛みが残るケースの治療について見ていこう。
(イラスト:いい あい)

皮膚の症状は治ったのに、痛みが消えない──。そんな症状が3カ月以上続くのが、「帯状疱疹後神経痛」だ。うずくような痛みや焼けつくような痛みが残り、日常生活にも支障が出る。年単位で続くことも珍しくない。

「発症初期から痛みがひどかった人や免疫力の低下した高齢者などは、神経のダメージが大きく、後遺症として神経痛が残りやすい」とNTT東日本関東病院ペインクリニック科の安部洋一郎部長は話す。

50代以下ではまず大丈夫だが、それでも皮膚症状が治った後に「関連痛」を引きずるケースがある。「この段階で神経ブロック療法などの治療を始めると、激痛を減らすことができる。痛みの緩和によって睡眠や食欲なども改善し、回復が促される」(安部部長)。

■神経ブロック注射が効果的

神経ブロックは、痛みを感じる場所に局所麻酔薬を注射して、神経の興奮を一時的に遮断する治療法だ。痛みがあると交感神経が興奮して血流が悪くなり、痛み物質が滞ってますます痛みがひどくなる。痛みへの不安感も悪化要因になる。神経ブロックで一時的に痛みを取り除くと、この悪循環に歯止めがかかる。

痛みがあると交感神経が興奮して血管が収縮。血流が悪くなって痛み物質が滞り、さらに痛みがひどくなる。神経ブロックは一時的に痛みを抑え、この悪循環を断つ。逆に運動や入浴などで血流がよくなると、痛みを和らげる良循環が生まれる。強い痛みを抑えると体を動かしやすくなる点でも有効だ (イラスト:三弓素青)

「薬自体の作用時間は1時間程度だが、悪循環が絶たれることで数日~数週間にわたり効果が続く」と安部部長。このほか、鎮痛薬や抗うつ薬、漢方の桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)なども痛みの緩和に効果がある。

痛みが多少残っていても、極力体を動かすことが大事だという。「血流がよくなり、痛み物質も早く流される。自然治癒力が働いて神経も修復され、痛みが治まってくる」と安部部長は説明する。

■50代からは予防にワクチンも有効

帯状疱疹は年齢が上がるほどかかりやすく、また重症化しやすい。そこで期待されるのが、ワクチンによる予防効果だ。「水疱瘡予防のワクチンで、帯状疱疹も予防が可能」と、まりこの皮フ科の本田まりこ院長は話す。

また、発症したとしても、症状が軽くて済むという。「50歳以上の人、アレルギー疾患がある人、ハードな仕事をしている人、いずれ妊娠を希望している人…。そういう人はワクチンを打っておくと安心だ。また、がんや膠原病などの持病がある人は担当医に相談してほしい」(本田院長)。

費用は医療機関によって異なるが、1万円程度が目安だ。

■この人たちに聞きました

本田まりこさん
まりこの皮フ科(横浜市鶴見区)院長。専門は帯状疱疹などの皮膚のウイルス感染症。「アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息、膠原病などのアレルギーの病気がある人は、水疱瘡ウイルスを抑え込む『細胞性免疫』の力が弱いので、帯状疱疹になりやすい。気をつけてほしい」
安部洋一郎さん
NTT東日本関東病院(東京都品川区)ペインクリニック科部長。麻酔科医。専門は神経ブロックなど。「痛みは不安を招き、それが痛みを悪化させる。我慢せず、早く痛みを取り除く治療を。最初に痛みが出た時点でペインクリニックを受診してもいい。抗うつ薬や抗てんかん薬も、神経の痛みによく効く」

(ライター 佐田節子、構成:日経ヘルス 黒住紗織)

[日経ヘルス2015年10月号の記事を再構成]

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