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手厚さの医療保険vs安さのがん保険、入るならどちら

2015/9/11

日経トレンディ

保険料は高めだがカバー範囲が広い医療保険と、安くてがんに特化したがん保険。どちらがより有効なのか。専門家の意見や試算を基にすると、軍配はがん保険に上がりそうだ。

医療保険の特徴はその幅広さで、がん、心疾患、脳血管疾患などの病気の他、けがもカバーする。だが、そのぶん保険料もやや高めの傾向。がん保険は、診断された際に給付される「診断一時金」の額が大きく、保険料も比較的安い一方、カバー範囲はもちろんがんに限られる。

がん保険並みの診断一時金を特約で付加できる医療保険もあるが、コストはさらに増大。死因1位のがんに絞って保険料を安く抑えるか、安心を得るために医療保険で広く対応するか。専門家や試算を基に結論を導いた。

■十分な貯蓄あれば医療保険は不要

医療保険の保障範囲は主に2つ。入院日数に応じてもらえる入院給付金と手術給付金だ。ただ、「医療保険程度の保障であれば貯蓄で賄える」とFP&コミュニティ・カフェ代表の内藤眞弓氏は話す。

40代前半男性の糖尿病の入院日数は15.3日、脳梗塞は33日…。厚生労働省が2011年に発表した退院患者の平均在院日数を見ると、60日を超えるような病気は意外に少ない。「緊急用の貯金を150万円程度持っていれば、医療保険は必要ない」(内藤氏)。

死因におけるがん(悪性新生物)はほぼ3割と高いが、罹患リスクは40代男性では2.4%、50代男性では7.7%と低い。60代からリスクは跳ね上がる。三大疾病である脳血管疾患は、死因として見ると9%と、がんに比べると大幅に低い
悪性新生物だけではなく、初期状態のがんである上皮内新生物に対しても診断一時金を支払う保険がある。ただ、「上皮内新生物の治療は健康保険だけで問題ないはず」(後田氏)と言うように、この部分の保険は不要という声も多い

「医療保険は保険に頼らなくていい部分まで保障していると思う。日帰り入院などに対応する必要があるのか、大いに疑問」と話すのは、保険コンサルタントの後田亨氏。保険が本当に必要になるのは、むしろ貯金で賄えない長期の入院のとき。「『ロング』(楽天生命)のように短期入院はカバーしないことで長期入院に安く備えられる保険を考えたい」(後田氏)。

医療保険の分が悪いのは、支払った保険料に対する返戻率からも見て取れる。下表で示したのが、保険料を20年支払った後、実際に病気にかかったときの試算だ。オリックス生命保険「新キュア」で、脳内出血、胃がんになった際の返戻率はさほどよくない。

■月額600円のがん保険も

内藤氏、後田氏は、どちらかに入るならがん保険と口をそろえる。後田氏の理由は「まとまった給付金に対する保険料の安さ」。表の試算の通り、「ビリーブ」(オリックス生命保険)は月額保険料が一番安いにもかかわらず、給付金の額、返戻率とも最も高かった。

がん保険の特徴は診断された際に受け取れる診断一時金で、悪性新生物に対して100万円を給付するものが多い。出色なのがテラ少額短期保険の「がん免疫細胞療法保険」で、40~44歳の月額保険料は何と600円。「アクサダイレクト生命の『カチッとがん保険』も近い水準の保険料。月数千円が当たり前という感覚のほうがおかしい」(後田氏)。

40代男性の場合、がんの罹患率は2.4%。これを高いと見るか低いと見るかには個人差が出るだろうが、無理をしてまで高い保険に入り続けるよりも、その分を貯蓄に回す。これも立派な“保険”であることは知っておきたい。

【結論】 どちらか1つに入るなら、返戻率の高いがん保険。ビリーブの場合は、診断一時金と治療給付金などで、支払った保険料は2倍以上になって返ってくる計算に。医療保険はカバー範囲の広さが災いしてか、個々の病気に対しての返戻率は相対的に低め。保険に入ったと思って、貯蓄に回すのも手だ。

(日経トレンディ編集部)

(日経トレンディ 2015年10月号の記事を再構成)

参考]日経トレンディ2015年10月号(9月4日発売)の巻頭特集は「どちらが得するお金の○×」。そのほか、特集記事として「ユニーク白物家電を実力テスト」「ずるい!出張術」などを掲載。

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